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Disc: 2021年5月アーカイブ

May 19, 2021

ロスレス配信時代の到来へ

昨日のAppleの発表によれば、6月よりApple Musicのカタログ全体がロスレスオーディオになる。一部の音源を対象とするのではなく、「カタログ全体」と言い切っているのが頼もしい。しかも、サブスクリプションの登録者は追加費用なし! プレスリリースに「Apple Musicのロスレスのレベルは、16ビット/44.1kHzのCD品質から、最大24ビット/48kHzまで」とあるので、ここでいうロスレスとはCD品質とハイレゾの両方を含んでいる(一部24ビット/192kHzも提供されるが対応デバイスが必要)。ファイルサイズが大きくなるので、利用者は明示的に設定をONにする必要があるようだ。
●そこで気になるのはライバルのSpotify。Spotifyはすでに今年2月に「今年の後半よりSpotify HiFiに音質をアップグレードする」と発表している。CD品質のロスレスオーディオを指しているのだが、日本が対象に含まれているのかどうかはわからず。料金体系も気になるところ。Apple Musicがこうなった以上、同水準のサービスを提供してくれるものと強く期待。
●これまでストリーミング配信といえば、原則としてなんらかの方式の圧縮音源を指していたが、今後はCDと同品質かそれ以上が標準になっていくのだろう。これがどれくらい歓迎されるのかはよくわからない。自宅のオーディオ装置でじっくり聴く人はロスレスを選ぶだろうし、主に屋外で聴く人はそもそも環境ノイズが多いのにデータ量が爆増するロスレスを求めようとは思わないかもしれない。いずれにせよ、ひとついいことがある。これで「ストリーミングはCDより音が悪いからダメだ」という話にならずに済む。正直なところ、自分にとって音楽をオーディオで楽しむうえで、音源のスペックに大した重要性はないのだが(スペック≠録音の質)、この点だけでも十分な意味がある。

May 11, 2021

Spotifyアプリでの再生回数

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●最近、Windows用Spotifyアプリのデザインが少し変更されて、トラックごとの再生回数が明示されるようになった。これまではメーターで大雑把な人気度がわかるだけで、再生回数を知るためにはマウスポインターを置いて一息待つ必要があったのが、今やどうやっても目に入る位置にバーンと表示されるように。そんなに見たい数字でもなかったんだけど、見えるとつい見ちゃうわけで、なんだか生々しい。
●で、この数字を見ると、かつての常識では判断できない人気度がうかがえる。つまり、メジャーレーベルのスターアーティストが有名曲を録音するとたくさん売れて、その逆だとあまり売れない……みたいな先入観を抱きがちだけど、そういうのは要注意だなと思った。たとえば、たまたま自分がお気に入りに入れていたアルバムなんだけど、ドイツハルモニアムンディ・レーベルの録音で、ボリス・ベゲルマンのヴァイオリンによるテレマンのヴァイオリン・ソナタ集がある。このアルバムでいちばん再生回数の多いトラック2は156万回も再生されている。スゴくないすか? これがドイツグラモフォンのネルソンス指揮ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集だと、いちばん多いトラックの「運命」第1楽章でも11万9千回。一桁少ない。ボリス・ベゲルマンのテレマンがネルソンス指揮ウィーン・フィルのベートーヴェンをぶっちぎる世界。
●もちろん、これはSpotifyに限った再生回数なので、Apple Musicとか他のサービスでは違った光景が広がっているのかもしれないし、レーベル側が特定トラックの再生回数が上がるようなプロモーションをしたのかもしれない。あるいは人気のプレイリストに収められたとか? いろんな背景があるのだろう。少しおもしろいなと思ったのはドゥダメル指揮ウィーン・フィルのムソルグスキー~ラヴェル「展覧会の絵」。このアルバムで「展覧会の絵」の各トラックは10万~30万回台程度の再生回数なんだけど、最後に入っているチャイコフスキー「白鳥の湖」ワルツは100万回を超える再生数で、このアルバムでは断トツ。ムソルグスキー・アルバムを制作したら、一番人気はオマケのチャイコフスキーだった、という形。こういう例は探せばいくらでもありそう。

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