●カルロス・クライバー死去の報(Die Welt, SPIEGEL)。享年74歳。すでにずっと前から指揮台からは遠ざかっていたにもかかわらず、どこかで「クライバーがまた指揮してくれたら」といった希望を抱いていた人も多かったと思う。これで「伝説的指揮者」の時代が終わったように感じる。
●クライバーは現役の頃だってなかなか指揮台に立たなかった。指揮者が指揮をするのは当たり前のことであるはずなのに、クライバーの場合は「×年×月、×××で指揮をする」ということだけでニュースになった。一頃、夏ごろに発表される世界各地の主要オーケストラの来季スケジュール表のなかに tba (= to be announced) と印刷されているだけで、「これはもしやクライバーと交渉中なのでは!」と囁かれる時代があった。結局クライバーではなかったとしても、「これはクライバーとギリギリまで交渉したけど、それがダメで誰それになったのではないか」などと根も葉もないんだかあるんだかわからないようなウワサが跋扈していた。
●録音・録画も少ない。追悼セールなんかされても買うものがない。特に自分にとって強烈だったのは、ベートーヴェンの交響曲第4番。曲そのものの印象がこれを聴いてガラリと変わった。それくらい鮮烈だった。
News: 2004年7月アーカイブ
July 20, 2004