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News: 2005年12月アーカイブ

December 30, 2005

アニヴァーサリー@2006、ただしモーツァルトを除く

ショスタコーヴィチ。忘れないでくれオレを●帰省ラッシュもスタート、ネット上からは人も減りはじめる頃。もういくつ寝るとお正月、これ微妙で2回かもしれないし1回かもしれないし、なかには全然このまま寝ない人とかいたり、3回も4回も寝ちゃう寝太郎ライクな人もいるかもしれんわけだが、ともあれ2006年。クラシック音楽業界的には大々的にモーツァルト生誕250周年である。あまりにモーツァルトの存在が大きすぎて、その陰に隠れちゃうかもしれないついてない人々を挙げてみよう。
●まずは唯一モーツァルトにちょっとは対抗できるかもしれない人。ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)生誕100年。お正月はぜひ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」で祝いたい(ウソ)。メジャーどころではロベルト・シューマン(1810-1856)没後150年ってのもあるのだが、「没後150」ってのがちと弱い。それでも力強く祝うのならお正月はブログ立ち上げてeダヴィッド同盟を結成するが吉。
●ほかにもまだまだ、こんな作曲家たちが記念年を迎える。

アレンスキー(1861-1906) 没後100年
アリアーガ(1806-1826) 生誕200年
ミヒャエル・ハイドン(1737-1806) 没後200年。ヨーゼフ・ハイドンの弟。
ブルクミュラー(1806-1874) 生誕200年
パッヘルベル(1653-1706) 没後300年

 アリアーガは「スペインのモーツァルト」とも呼ばれた人なので、モーツァルトとセットで祝うのもいいかもしれない。ミヒャエル・ハイドンはヨーゼフの弟というただでさえ日の当たりにくいポジションにいながら、ここで今度はモーツァルトと重なり影が薄くなるというついてなさ。ブルクミュラーはどうか。記念音楽祭で延々とブルクミュラーを聴かされるとか弾かされるとか、そんな悪夢のフェスティヴァルがあったらイヤだ。パッヘルベルは没後300年。これもカノンを延々300回反復するとかって罰ゲームだよ、それじゃ。
●番外編。こんな人たちもいる。今後しばらく生誕100年は演奏家・指揮者が続々登場してくる、きっと。

アンドレアス・ヴェルクマイスター(1645-1706) 没後300年。オルガン奏者、音律論の人。
アンタル・ドラティ(1906-1988) 生誕100年。指揮者。
ピエール・フルニエ(1906-1986) 生誕100年。チェロ奏者。
パウル・ザッハー(1906-1999) 生誕100年。指揮者。同時代作曲家への委嘱多数。
ルキーノ・ヴィスコンティ(1906-1976) 生誕100年。映画監督、演出家。

December 27, 2005

フルトヴェングラーの「第九」

フルトヴェングラー●年末だからといって「第九」を聴くということもないのだが、たまたま立ち寄ったレコード屋でフルトヴェングラーの「第九」がかかっていた。名盤中の名盤として崇められている一枚。ワタシはヒストリカル・レコーディングにはあまり興味がないんだけど、これは懐かしかった。はじめて買った「第九」のレコードだし。ぼんやり漫然と一小節、二小節耳にしただけでも「うわ、なんじゃこりゃ」と強制的に覚醒させられてしまうくらいインパクト極大。
●もしこの録音が80年代後半以降のデジタル・レコーディングで残っていたらなあ。そしたら、フツーに今でも聴くかも。まあクラシックでそんなこと言い出したらキリがないんだけど。でも、当然のことながら、リアルタイムでライヴを聴いていた人にとってはフルトヴェングラーもトスカニーニもメンゲルベルクも、窮屈でくすんだモノラル録音じゃなくて、フツーにクリアで色彩的でひょっとしたらブリリアントなオーケストラ・サウンドを聴かせていたはずなんである。だって、ライヴなんだから。もしフルトヴェングラーが現在生きている人だったら、サントリーホールにウィーン・フィルを引き連れてやってくるだろう。そのときにワタシらが聴く音は、音楽の質は違っても物理的音響的にはムーティやゲルギエフが指揮するものとなんら変わらない。
●その架空の来日公演を聴いて、ワタシはあの「第九」と同じような印象を受けるだろうか。たぶん、そうはならない。「あ、これは今までに聴いたことのない新しい音楽だ」って感じるような気がする。古いモノラル録音に対する想像力が普段から鍛えられてないから、全然別ものとして受け取ってしまうんじゃないか。

December 20, 2005

くるみ割り人形とねずみの王様

くるみ割り人形とねずみの王様●もうすぐクリスマス。となれば、チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」が定番。ところであなたは「くるみ割り人形」の筋を言えるだろうか。ワタシはよくわかんなかった。クララ(またはマーシャ)がクリスマスにくるみ割り人形をプレゼントされて、夜中になるとネズミ軍団とくるみ割り人形部隊が戦闘して、でクララが人形を手助けして勝つ、するとくるみ割り人形が王子様になって、いっしょにお菓子の国に行って、えーと、それで楽しく踊って終わるんだっけ? で、ぜーんぶ夢でしたみたいなオチが付いたりとか?
●大元の原作、E.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」からチャイコフスキーのバレエに至るまでは、間にデュマとプティパの手が入っているから、ずいぶん雰囲気が違ってるらしい。いや「らしい」ってのもなんだなと思って、ホフマン原作を読んでみた。これ、おもしろい! これが本来のメルヘンなんだと思うけど、なかなかダークな味わいがあって、かわいくもありグロテスクでもあり、夢もあるけど苦味もあって味わい深い。そもそもネズミ軍団とくるみ割り人形部隊はなぜ戦わなければいけなかったのか。その戦争にいたる歴史(笑)まで克明に記されていて抱腹絶倒。あと、原作だとこの戦闘で主人公マリー(バレエではクララまたはマーシャ)とくるみ割り人形は敗退するんすよ。王子様には簡単には会えなくて、そこに至るまでにマリーにもささやかな喪失があったりとか、子ども視点で見てもドキドキする物語になってる。もちろん夢オチなんていう即物的な結末にはならない。
●ちなみに、マリーとくるみ割り人形がお菓子の町チョコレート菓子市(コンフェクトブルク)に着いたところの描写、家々が砂糖菓子でできてて、レモネードとかの泉が吹き上げてたりするシーン、ここで「愛らしい小さな人間たち」が登場する。彼らは何千もいて、笑ったり、冗談を言ったり、歌をうたったりするとあって、まさにこれって「チャーリーとチョコレート工場」なんじゃないか!と思ったんだけど、あれは映画のほうしか見てないんだよなあ。
●チャイコフスキーの曲、どうせCDで聴くなら全曲盤。ゲルギエフ盤は80分以上を1枚に詰め込んでるのが吉、輸入盤のほうはジャケもクリスマス向き。
P.S. ワタシが読んだのは本文中写真にある種村季弘訳の「くるみ割り人形とねずみの王様」(河出文庫)。しかしこれはどうやら品切っぽい。大河原晶子訳「くるみわり人形」(ポプラポケット文庫)や上田真而子訳「クルミわりとネズミの王さま」(岩波少年文庫)などが入手しやすいようだ。

December 2, 2005

「大フーガ」自筆譜、2億3千万円で落札

これはベートーヴェンの別の曲の自筆譜。記事本文とは無関係っす●先日「ピアノ連弾用大フーガ自筆譜発見」でご紹介したベートーヴェンの自筆譜だが、予定通りサザビーズ@ロンドンでオークションが行われた(→共同通信)。共同の記事では「予想以上に高額での落札」とされているが、先日の朝日では3億円くらいの予想だったので、2~3億円くらいが想定レンジだったんだろう。落札者の氏名は公表されていない。もしや、あなたでは?(ギクッ)


大フーガ。犬フーガ。太フーガ。  
 犬フーガ。太フーガ。大フーガ。 
  太フーガ。大フーガ。犬フーガ。
大フ-ガ。大フー力。犬フーガ。  
 犬フーガ。太フ-ガ。大フー力。 
  太フー力。大フーガ。犬フ-ガ。
大フ→ヵ〃。大フー力。犬フーガ。  
 犬フーガ。大フ→ヵ〃。大フー力。 
  太フー力。大フーガ。犬フ→ヵ〃。♪

December 1, 2005

「クラシック」跡、更地に

●しばらく前に惜しまれつつ(?)閉店した中野の伝説的名曲喫茶「クラシック」、跡地をちらっと眺めてみたら更地になっていた。それにしてもこの名曲喫茶の話って、全然クラシック系じゃない人にもかなり通じるのには驚く。まあ、マヨネーズのキャップにミルク入れて持ってきたり、粉末を水で溶かしたジュースを出したりする喫茶店が、わずかな期間とはいえスターバックスと半径100m以内に共存していたわけだから、かなりレジェンド。激マズコーヒー、最凶サウンド。あ、全然ファンじゃなかったっすから。
●ところで「クラシック」の跡地にはなにができるんだろうか。中野という街の現状を考慮すれば、名曲喫茶はメイド喫茶に変わるのが自然だろうが、しかし場所が駅に近すぎるんだな。濃い店は中野ブロードウェイより駅寄りに作ってはいかん気がする、フツーの人とヲタクの共存のために。案外、また名曲喫茶ができたりして(なわけない)。
●ちなみに総本山中野ブロードウェイだが、相変わらず濃いようである。残念ながらあそこで扱ってるようなジャンルに関しては、ワタシゃ全然ヲタクじゃないんだが、ついついウォッチしてしまうんである。ものすごく小さなお店で「平面スピーカー専門店」とかあるんだけどちゃんと売上げあるんだろか。「ダーツショップ」なんてのもできてる(ダーツで遊ぶ場所ではない。お店に置くようなダーツ用品を売っている)。コスプレショップも健在。レンタルショーケースはますます増殖中。自慢の逸品をお持ちの方はどうぞ。

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