●いやー、笑った>TVドラマ版「のだめカンタービレ」。ひょっとしたら寒いギャグの連発になるんじゃないかと心配していたのだが、大健闘だったのでは。ていうか、実際に見てみるともう一視聴者としてなんて見てられない(いや確実に一視聴者なんだけど)。さすが「月9」というか、全般に予想以上の周到さ。楽器の扱いもTVドラマであれだけできたら十分。特にのだめ役の上野樹里はキャラもぴったりだし、ピアノ弾いてる姿もちゃんとできてて(むしろ千秋が心配)、よくこんな人がいたなーと感心(←注:TV事情に疎いから竹中直人以外の役者を一人も知らずに書いてます)。モーツァルトの2台ピアノの場面は秀逸。のだめ役は上野樹里だけじゃなくて中の人もがんばってた。
●まず冒頭、ヴィエラ先生役の指揮者、これってズデニェク・マカル本人っていうことであってる? いきなり画質が変わってチェコ・フィル振ってる映像ソフトかなんかが挿入されてウケる。が、なんということであろうか、この曲名がわからないじゃないっすか。ドヴォルザークの曲だろうけど、この曲は知らんぞ。おいおい。
●しかしその後は有名曲オンパレード。なにしろ画期的なのはドラマのテーマがベートーヴェンの交響曲第7番そのものってこと。中身はクラシック音楽ラブコメなのに、テーマ曲はJPOPの人が歌いますっていうんじゃなくて、本当によかった。ほら、最近の例だと映画「バルトの楽園」、ベートーヴェンの第九を主題にした話だっていうんだけど、キャンペーン・ソングは「マツケンのAWA踊り」、それってありかよ阿鼻叫喚地獄絵図ありえねーっていうパターン。
●エンディング・テーマはガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」。それどころかドラマ中でガンガンとクラシックが流れているのであって、リストアップしようかと思ったけど、長すぎるから止めておくっていうくらいのものであるが、少しだけ挙げておこう、やっぱり備忘録として。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」および「月光」、モーツァルト:2台ピアノのためのソナタ、ヴェルディ「レクイエム」、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」、ベートーヴェン「第九」の頭、モーツァルト「魔笛」から「夜の女王のアリア」、リムスキー・コルサコフ:「小蝿熊蜂の飛行」etc.
●クラヲタ的には大満足デス♪ ……とも限らないか。ヲタ心は複雑だから微妙な疎外感を味わってたりして(ドキッ)。でも、フツーのファンが増えてくれるっていうのは絶対的に歓迎すべきことっすよ。ヲタもマニアもプロも、大多数のフツーの愛好家が市場を作ってくれてはじめて成立するんだから。あ、クラシック音楽の話ね。ていうか、たいていのものはそうか。
News: 2006年10月アーカイブ
TVドラマ版「のだめカンタービレ」スタート!
新・作曲家占い for ケータイ
●ご好評いただいた「ラヴリー作曲家占い」に続いて、ケータイ版の「作曲家占い」を作ったのだ! 「ラヴリー作曲家占い」では設問1つに対して自由回答する形だったけど、今回はYes/No式で質問に答えてゆくタイプ。アクセスするには、以下のQRコードをケータイで読み取るか、各キャリアのトップメニュー→着メロ→音友クラシックコンサートとメニューをたどってGO! ケータイサイトだから100円/月かかっちゃうけど(スマソ)、月末までに退会しちゃえば最初の100円だけでオッケだから許せ。ちなみにワタシは「ベートーヴェン」であった。
●占いの鑑定はおなじみ(?)、須栗屋敏先生である。ますます活動のフィールドを広げる須栗屋敏先生、これからも目が離せないぞっ!
11/27(月)夜、六本木に来れっ!
●えー……。えーっと。11/27(月)の夜なんすけど、よかったら六本木まで来てくれない?
●っていうか、どうも気恥ずかしくてしょうがないなー、これは。でもがんばって営業しなきゃ。11/27(月)18:30~20:00、カルチャー・セミナーというものの講師(?)をします。お題は「知識ゼロからのクラシック」@DHC 秋のカルチャー・セミナー。ワタシがしゃべるわけです(ええっ!)。タイトルは間口を広げようと思って「知識ゼロからのクラシック」って言ってるんだけど、実際にしゃべることはまだ決めてないし、クラシック音楽入門者向けという看板を掲げつつも、相応に「おもしろい話題」で構成しなければとこれから思案することになるのであるが、しかし。
●ワタシは人前でしゃべる経験がほとんどないし、本来寡黙な人間なのだなあ。大丈夫なんだろか(悪魔)。でも頼まれたことはできることのはず、できることしか依頼されないよ(天使)。だけどお客さんが一人とかだったら、どうしよう(悪魔)。いやいや、そんなに少なかったらセミナー自体中止になるから(天使)。もしクラヲタに敵意を持つお客さんにイジワルな質問を連発されたら?(悪魔)。頭が痛くなるようなうるさい騒音みたいなCD聴かせて反撃すればオッケ(天使)。でももし突発性対人恐怖症になったら(悪魔)……って、なに書いてんだ、ワタシは。
●そんなわけで、11/27(月)18:30~20:00、「知識ゼロからのクラシック」@DHC 秋のカルチャー・セミナーをご聴講いただける方、こちらからお申し込みください。あー、ドキドキ。
レッツゴー!クラヲくん あるいはクラヲタ0.2
●連続ドラマ「レッツゴー!クラヲくん」第8回
上司: 海山商事まで出かけてくる。外苑前だから渋谷乗換えで20分もありゃ着くよな?
クラヲ: つYahoo
映画「トリスタンとイゾルデ」。楽劇にあらず
●10月21日より公開される映画「 トリスタンとイゾルデ」(ケヴィン・レイノルズ監督/リドリー・スコット製作)を試写で。
●クラヲタ的には「トリスタンとイゾルデ」といえばワーグナーである。ワーグナーは中世の悲恋物語であるトリスタン伝説にもとづいて、自ら台本を書いて楽劇とした。で、官能的で陶酔的な音楽は物語中に登場する愛の薬のごとく強烈なものであるが、ところでそもそのもこの物語、みなさんはとりあえずでも筋を承知してオペラを聴いていらっしゃるだろうか。ワタシは全然理解していなかった(トリスタン伝説についてまるで無知。岩波の「トリスタン・イズー物語」も未読)。「トリスタンとイゾルデが毒薬じゃなくて愛の薬を飲んじゃって、大変なことになるのであるよなあ」などと漠然とした筋だけ頭の片隅に入れてはいるが、実際には雄弁な音楽だけで頭グルグル状態、物語への関心はひたすら薄い。あー、そういやこの二人って、どうして困ったことになったんだっけ? みたいな。
●でも、これってしょうがないんじゃないだろか。だってワーグナーの楽劇では、幕が開けたらいきなりもうトリスタンとイゾルデはいっしょに舟に乗っている。イゾルデがマルケ王と結婚するためにコーンウォールへと向かう場面からスタートする。かつてトリスタンがイゾルデの許婚を殺したことや、二人の出会いなどといった、物語の前史が描かれていない(あるいはセリフでしか語られていない)。
●で、この映画「トリスタンとイゾルデ」をみて、ワタシはやっとわかったんですよ、この二人やマルケ王の関係性や、どういう因果があってワーグナーの楽劇の冒頭につながっているのかを。なんかすっごくすっきりした気がする。
●とはいえ、映画「トリスタンとイゾルデ」とワーグナーの楽劇は直接的には無関係。同じ伝説を素材にしているだけ。たとえば映画では愛の薬なんて出てこない。登場人物は同じなんだけど、途中で微妙に違う道を辿って同じ場所にたどり着いて、また別の場所に向かっていくみたいな関係で、まるでパラレル・ワールドの出来事みたいに感じられる。映画で「マーク」って呼ばれてるオジサンがマルケ王だったりするのも含めて。
●ところでワーグナーのほうだけど、最後にイゾルデが死ぬのはどうしてなんだっけ(←結局わかってないっぽい)。