●おっと、そうだった、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を観に行って知ったのだった、グレン・グールドの映像ドキュメンタリー「グレン・グールド 27歳の記憶」が上映される、と。ビバ生誕75周年。といっても上映館はワタシが今把握しているのは銀座テアトルシネマと吉祥寺バウスシアター(ともに10/27より)で、「モーニング&レイトショー」ってあたりに小声で「無慈悲なり」と呟いてしまうのであるが。
●この映像、グールド好きは大半の人がすでに見てるはず。もともとは「グレン・グールド Off the Record/On the Record」として、LDとかVHSで発売されたものだったと思う(えっ、LDって何の略だって? 平成生まれならググってみれ!)。テレビでもきっと放映されてる。で、それが後にDVD化されて発売され、さらに映画館でも上映される。フツーの映画の流通コースから逆流してる感じ。
●映像の内容は? もし未見なら必見。LD時代に見たきりなので、さすがに記憶は薄れているが、バッハのイタリア協奏曲第2楽章を頭グルグルまわしながら芝刈り機みたいになって弾くアレが入ってたんじゃないか。ていうか芝刈り機じゃ意味不明か。シューベルトの交響曲第5番をピアノで弾き出す場面とかも印象的。そしてピアノを弾く陶酔的な姿は、ごく控えめに言って美しい。他のグールドの映像(たとえばゴルトベルク変奏曲)とかと何が違うかって言えば、「27歳」っていう若さなんだと思う。まだコンサートから引退する前のグールド。
●一応言っておくが、これは1時間足らず、モノクロ、モノラルである。料金も上記2館では1200円ってことなのでリーズナブルなんでは。てかモーニング&レイトショーが立ちはだかる壁。まあレイトか。
News: 2007年9月アーカイブ
映画館でよみがえる「グレン・グールド 27歳の記憶」
学生限定。エッシェンバッハ指揮パリ管リハーサル&コンサートご招待
●学生の方専用告知を一つ。11月7日サントリーホールで行われるエッシェンバッハ指揮パリ管弦楽団の公開リハーサル&コンサートに100名様をご招待。ただし条件があって、音楽を学んでいる、あるいはアマチュアで音楽活動をされている学生の方が対象(中学生以上、当日要学生証)。曲はベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番(ピアノはラン・ラン)、ベルリオーズの幻想交響曲。詳細および応募は以下のページから(10/6〆切)。
TDK オーケストラコンサート2007 パリ管弦楽団「公開リハーサル&コンサート」ご招待
●「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」、見るべきかどうか……うーん、迷う、でもやっぱ見るべきだな。よし見よう!と決めたが、しかし意外と上映館の数が少ないのが惜しい。ウチから射程内にある劇場だと、スクリーンの画質とか音響設備的にイマイチだし。ていうか、都内全域でこれじゃあ足りんと思うのだが、ワタシのなかでのヱヴァの存在感が大きすぎるのか?
ザ・ファイヴ・ブラウンズ初来日公演
●ザ・ファイヴ・ブラウンズの初来日公演へ行ってきた。東京文化会館大ホール全席完売の人気ぶり。実の兄弟姉妹5人のピアノ・アンサンブル、全員がジュリアード音楽院卒業、まだ20代でカッコいい。つまり一般的には注目度が高くてこれからさらに人気出てきそうな感じ、でもクラヲタには関心を呼ばなさそうなポジション。曲と曲との間にはトークも入る。休憩の間にメンバーは着替えて雰囲気がガラリと変わる(で、その衣装に「わぁー」と軽いため息みたいなのが客席からもれる)……といったようにサービス精神にあふれた舞台で、客席の若者率もかなり高め。
●といったノリなんだけど、油断大敵、選曲は容赦ないんすよ。第1曲目こそガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーなんだけど、その後、レクオーナの「アンダルシア組曲」から「マラゲーニャ」、ローウェル(ロルフではない)・リーバーマンの「ガーゴイル」(ゴルゴイユ)から、と来て、ラヴェル、ラフマニノフを経てヒナステラの「アルゼンチン舞曲集」ともう一曲で前半。後半はヴォーン・ウィリアムズの「富める人とラザロ」幻想曲とか、ルトスワフスキの「パガニーニの主題による変奏曲」、ストラヴィンスキー「火の鳥」他。軽いノリで来てしまったお客さんたちはのけぞっていたか? いや、全然。思いっきりみんな楽しんでた。なかなか痛快な光景である。
●前半の最後にグレゴリー・ブラウンがソロで弾いた曲があった。予定と違う演目を弾くために客席に二者択一させるという演出があったりして、で、弾いたのがアーロン・ジェイ・カーニス(1960- 米国。会場表記はケルニス)の「スーパースター・エチュード」第1番。「クレイジーな曲だ」というからどんな曲かと思ったら、確かにクレイジーで猛烈に鍵盤を叩きまくってしまいに両手じゃ足りないとばかりに左足まで使うという反則技系(笑)。で、これはロックスターのジェリー・リー・ルイスにインスパイアされて作曲されたっていう説明で、そこで「ああ、だからね」と納得できればよかったのだが、ジェリー・リー・ルイスがわからないクラ者なワタシは帰宅してググってからやっと合点。ピアノに火を放って燃やしながら演奏したっていうんだから、左足使うくらいはかわいいもんだな。あ、でも第1番があるってことは第2番以降もあって、もっと過激になっていくのか!?
パヴァロッティの時代
●ルチアーノ・パヴァロッティ死去。ワールドカップでの三大テノール・コンサートだとか、いろいろな話題があったけど、自分の中に「パヴァロッティの時代」が来たことはなかった。ところが今年になってマネージャーのハーバート・ブレスリンが書いた暴露本(?)「王様と私」を読んで以来、急にパヴァロッティに親しみがわくようになってしまい、あろうことかパヴァロッティのベスト盤を買い求め、リビングに常備するようになってしまった。現在形のスーパースターであるあいだは近寄る気にならなくても、表舞台から退くとある意味素直に楽しめる、みたいな。でもドミンゴでは同じことは起きないはず。オペラを歌手で聴かないワタシみたいな者までも魅了してしまう、甘くて明るい声。クラシックの枠を超えたポピュラリティを獲得した。横紙破りな生き方をした人なんだろうけど、「お客こそわが命」という徹底したショーマンシップはきっと筋が通っていた。また訃報エントリーになってしまった。
サントリーホールがリニューアルオープン
●4月からの5ヶ月間、全館改修工事のため休館していたサントリーホールが、いよいよ本日よりリニューアル・オープン。先立って行われた記者発表会および内覧会&ミニコンサートに出席してきた。詳細については来週更新のクラジャン@日経パソコンPC Onlineあたりで書くつもりだが、主な改修ポイントだけを挙げておこう。
●その1。設備。大ホール&小ホールの舞台迫が増設された。音響設備や調光設備等が更新。楽屋も全面改装でグレードアップ。その2。ユニバーサルデザイン。特に車椅子への配慮。車椅子席も増えたし、ホワイエにスロープ、リフトが設置された。
●音響面については「これまでと同じである」ことが目指された。改修工事後の残響時間は以前と変わらず。なので、これまでサントリーホールの響きを気に入っていた方々は、これからも安心して通えるはず。ていうか、客席から見える部分の変化はそう大きくはないので、「ん? なんか小ぎれいになったぞ」と漠然と感じるくらいかも。注意深く観察するとあちこち変わってるんだけど。