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News: 2008年4月アーカイブ

April 30, 2008

ELLE JAPONで「クラシック音楽に夢中!」

●明日の朝まで、マンチェスター・ユナイテッドvsバルセロナの結果を知らずに過ごせますように。地上波の放送は本日深夜。でもムリかなー、駅売りのスポーツ新聞の見出しとか、目に入りそうな予感。
ELLE JAPON●今月のELLE JAPON (エル・ジャポン) 6月号で、クラシック音楽特集。企画構成といくつかの記事の原稿をお手伝いさせていただいた。雑誌の性格や対象読者層によって、ページの作り方というか、手順や作法がぜんぜん違う。また一つ、大いに勉強になった。それにしてもオールカラーで、これほど質のいい紙を使って、写真や印刷がこんなにキレイで、388ページの分厚さなのに、定価がたったの580円。理屈としては承知しているけど、現物を目の前にすると、魔法としか思えん。
●メイン特集は「もっと地球を愛したい!」。ディカプリオをはじめとするスターたちが地球環境を憂う。「エコセレブ」という言葉を知った。ECO TRAVELのコーナーにある知床とか屋久島の鮮やかな緑が目にまぶしい。別冊付録に「カルティエBOOK」。これは縁がなさそう(笑)。

April 28, 2008

「ラ・フォル・ジュルネ」週間、はじまる

●いよいよ「ラ・フォル・ジュルネ」ウィーク。事前にチケット予約してスケジュールをきっちり決めて行くというのが性に合わないような「当日ぶらり参加」派の方も、無料コンサートや関連イベントも含めてきっと楽しめるはず。ただし、1枚だけでもなにか有料公演のチケットを持っていないと、入場できるエリアが限られてしまって何かと不自由。これからの方は、まだ残券が十分あるホールAやホールCで、シューベルトのミサ曲なり交響曲なりをゲットするのが吉かと。
●今年は並行して「ラ・フォル・ジュルネ金沢」もある。金沢のほうは東京の第一回がそうであったように、テーマはベートーヴェン。有料公演は5月3日~5日まで。ホールも3つしかないので、有楽町の巨大な規模に比べれば小ぢんまりしている。でも環境的には東京にはないぜいたくさもあって、メインの会場となる石川県立音楽堂は1500席ほどのシューボックス型音楽専用ホール。オーケストラ・アンサンブル金沢の本拠地だからこのサイズなんだけど、この小ささがずごくぜいたく。もう一つ、同じ音楽堂にあるのがなんと邦楽ホール。普段、邦楽専用ホールとして使われている場所を、室内楽やピアノ独奏に使うという。あともう一ヶ所は金沢市アートホールという場所で、こちらはよく知らず。東京ともナントとも全然違う「ラ・フォル・ジュルネ」になるんじゃないかと期待している。
●あ、ヨソから「ラ・フォル・ジュルネ金沢」に行く方は、観光ついでに金沢21世紀美術館もマストかと。
●ワタシは東京も金沢も行く。今年も東京の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」公式レポートを山尾氏らと更新しつつも、4日と5日は金沢へ。今のところ、公式レポート以外では、2日夕方に東京でクラシック・ソムリエ・ボックスに入り、3日にデジタルラジオOTTAVAに出演、4日の朝に飛行機に乗って午後イチで金沢の地元局MROラジオLFJ特番に出演、5日に金沢からOTTAVAに電話出演、夜に帰京して、6日はまた東京に復帰という予定あり。終わった後もあれこれ続くから、とにかく体調を崩さないように気をつけねば。

April 22, 2008

「魔弾の射手」

新国立劇場●18日、新国立劇場でウェーバーの「魔弾の射手」を観てきた。ダン・エッティンガー指揮東フィル、マティアス・フォン・シュテークマン演出。序曲の前にセリフだけで一芝居あり。隠者のところにアガーテ(エディット・ハッラー)が食糧を運んであげて会話するんすよ。で、「なんか不吉だから」とかなんとか言って、隠者がアガーテに白いバラを与える。なるほどー。これで3幕の運命の射撃シーンにきちんと伏線が張られてわかりやすい。序曲の前ならダラダラする心配もないので、とても良かったのではないかと。以降、演出はト書きに忠実なタイプ。安心できる一方、狼谷のシーンとか学芸会っぽくなるワナもあって微妙。悪魔ザミエルの衣装にはのけぞった。たとえるなら、現代の仮面ライダーキバに初代ライダーのショッカー戦闘員が出てくるくらいのインパクト(←なにそれ)。
●「魔弾の射手」って、終幕が長々と説教くさくてダレるというか、セリフ配分の手際がイマイチみたいな印象があって、音楽のすばらしさに比べると劇としてはどうかなと思わなくもないけど、テーマは文句なしに共感できるいい話だと思う。主人公の若い猟師マックスは、森林保護官の娘アガーテと結婚したい。でも、そのためには射撃の腕試しに合格しなきゃならない。人生を賭けた「絶対に外せない的がある」状態で力を問われる。
●でもそれって根本的におかしいわけっすよ。無謬性を最優先で求める社会で生き残れる人間は、何もしない人間だけであって(誰もがミスをする。何かをやればやるほどミスは増える。ミスしないのは何もしない人間だけ)、そんな社会からはいずれ果敢さや活力は失われるに決まっている。射撃のスランプに悩んだマックスは、悪魔と取引をして百発百中の魔弾を手に入れる。マックスの弱さを非難できる人間はいない。人は過ちを犯す、だが悪魔の弾なら百発百中だ……。
●ところが実は悪魔だってミスをする。予定では7発の弾丸の内、最後の1発はアガーテの命を奪うはずだった。だが、その一発は隠者の花冠の持つ聖性ゆえか、アガーテを逸れて己の走狗たるカスパールに当たってしまう。
●最後に隠者が登場して領主を諭す。このような無謬性を礎とした社会制度は止めよ、と。となれば、猟師マックスの過ちに対しても寛容な裁きが下されるのは当然だ。百発百中を求めるな。完全無欠な者などいない。あなたも私も誰もがミスをする。だから、このオペラを見終わって、「肝心のところでホルンが外した」とか言ってる人には、ぜんぜん物語のテーマが伝わっていない。

April 13, 2008

レッツゴー!クラヲくん まとめエントリー

●「おかか1968」さんのところに「レッツゴー!クラヲくん」まとめエントリーができていた。これ見ていちばんウケるのはワタシ自身だろうな。ありがたいことである。

「おかか1968」ダイアリー: クラヲくんまとめ

April 11, 2008

オネーギンとレンスキー

●13日から始まる「東京のオペラの森」、チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」のゲネプロを見てきた。小澤征爾指揮、ファルク・リヒター演出、ウィーン国立歌劇場との共同制作。本公演前なので中身には触れないけど、先鋭すぎる演出ではなく、歌手陣もそろっていて楽しめるのでは。レンスキー役のマリウス・ブレンチウはなかなかの美声。
●関連記事。東京のオペラの森:制作は今年限り(毎日新聞)。
●チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」は、登場するそれぞれの人物像が魅力的で、普遍性のあるテーマを何重にも盛り込んでいるのがいい。オネーギンとタチヤーナ、オネーギンとレンスキー、レンスキーとオリガ、タチヤーナとグレーミン公爵、どういう組み合わせをとっても、それぞれに興味深い関係性があって、オペラの脚本では珍しいくらいよくできている(プロットはアンバランスで特異だけど)。
●たとえば、男性だったらオネーギンとレンスキーのどちらに共感するか。遊び人オネーギンか詩人レンスキーか。放浪者オネーギンか土地の者レンスキーか。モテ男オネーギンか非モテ系レンスキーか。前者は自尊心を失って破滅し、後者は自尊心が強すぎて破滅する。二人の決闘の場面はやはり見ごたえがある。「なんで、そんな決闘する必要なんかあるのさー」ってのがワタシらには不条理であるにしても。
●3幕で、オネーギンが旅をして帰ってきて、見違えるように美しく成熟した女性になったタチヤーナと再会するところで歌うじゃないですか。「オレは家庭も持ってないし、仕事も持ってない、あてもない旅をして帰ってきた……」。オネーギンは粗野なハミダシ者であると悪評を買ったりもするけど、こうしてブラブラしてて、それでもちゃんと華やかな社交界に帰って来れる場所があるんだから、文化資本的にはとても恵まれた人物であることにちがいないんすよね。でも言ってるセリフだけ聞いてると、現代だったら漂流するネットカフェ難民みたいな人物像が該当しなくもないわけで、仮にそうするとレンスキーとかタチヤーナはどういう設定にするのがふさわしいだろう……とか勝手演出を考えると楽しい。
●ちょい役みたいな感じだけど、再会したらタチヤーナが結婚していたという相手、グレーミン公爵も印象に残る人物で、薄っぺらに描かれがちなよくある「金持ちの年寄り」とは全然違う。終場でタチヤーナがグレーミン公爵を裏切らないのは必然だろう。でも、幕切れで、音楽は強烈なクライマックスを築くのに対して、「オネーギンが絶望する」という脚本の腰砕け感がどうもちぐはぐで落ち着かない。かといって安直に自死されても台無しだしなあ。プッチーニやヴェルディならどうやって終わらせただろうか。

April 10, 2008

レッツゴー!クラヲくん2008 名盤編

●連続不条理ドラマ「レッツゴー!クラヲくん」第12回 名盤編


「これはスゴいベートーヴェンだっ! すべての音に意味がない!!」

 

April 8, 2008

映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」

●先日、朝日の夕刊見てたら、映画「つぐない」評が載ってたんだけど、思いっきり豪快に筋を割っていた。おかげで先日ご紹介したマキューアンの原作「贖罪」にとても忠実だってことはわかったんだけど、いいんすかね。

●これから上映される映画を一本ご紹介。映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」。これはもう「のだ◎め」どころじゃないっすよ、クラヲタ・ポイント突きまくりで。史実と虚構が実にバランスよくミックスされた本格伝記風映画、しかも全編ロシア語。しかし話の内容は字幕を読まなくてもなんの場面かわかりそうなくらい、音楽好きにはなじみ深いエピソードが続く。
映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」
●本筋としてラフマニノフと彼をめぐる女性たちっていう核があるんだけど、まあそれは置いといて(おいおい)、クラヲタ的に盛り上がれる場面を挙げてみる。たとえば、ラフマニノフの交響曲第1番初演大失敗シーン。史実として、この曲の初演は失敗だったんだけど、それにはオーケストラの演奏がひどすぎた、特に指揮をしたグラズノフが酔ってたっていう話があって、それをちゃんと映画内で再現してくれている。その場に臨席してたリムスキー=コルサコフがこれまた本物そっくりでおかしい(ていうかラフマニノフ役もかなり本物に似てる)。このとき、ロシア五人組の一人キュイが新聞で苛烈な批評を寄せた話は有名だ。「地獄の音楽院の課題にこの作品が交響曲『エジプトの7つの災難』として提出されれば、きっと地獄の住民を熱狂させるだろう」みたいなヤツ。あれもこの映画のなかでほんの一瞬だけど間接的に登場してサービス満点。
●で、音楽面のストーリーでハイライトになるのはピアノ協奏曲第2番、やっぱり。交響曲第1番で傷ついたラフマニノフが、精神科医ダールの治療で立ち直る。ダールがラフマニノフに向かって懐中時計をぶらぶら左右させて「あなたは眠くな~る」みたいなのをやってくれちゃう。まさに「のだ◎め」の千秋真一飛行機恐怖症克服の元ネタともいうべきシーンがここに!
●ロシア時代だけじゃなくて、アメリカに渡ってからのスタインウェイとの微妙な交流なんかも描かれていて、96分ながら中身はもりだくさん。虚構のさしはさみ方もうまい。ハリウッド的な快速テンポで語られる話ではないので、古典的なスケール感で悠然と味わうのが吉。4月19日(土)Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ他にて全国順次公開。

PHOTO ©2007 THEMA PRODUCTION JSC ©2007 VGTRK. ALL RIGHTS RESERVED

April 1, 2008

ハーブに聴かせる名曲の調べ、健やかに生長

ワイルドな香りが芳しいイタリアン・パセリ 南東京市三角谷村でハーブ作り名人として知られる草村踏雄さん(88)が、クラシック音楽をハーブに聴かせる取り組みをはじめ話題を呼んでいる。名曲を聴きながらすくすくと育ったイタリアン・パセリはこの夏、フィッシュベル村で開催されるハーブ品評協議会に出品される予定だ。「美しい音楽は人間だけではなく植物も豊かに育てる」と耳にした草村さんは、村の音楽教育委員である蔵尾太郎さん(256)にハーブに聴かせる音楽について相談したところ、クセナキスの音楽が選ばれた。草村さんは朝、昼、夕方、夜、深夜と一日5回、「メタスタシス」や「ヘルマ」「プレイアデス」などが入ったCDを聴かせている。南東京市農業試験場によれば「使用しているスピーカーの出力が十分とはいえず、効果の有無は断定できない」(音響担当)とのことだが、草村さんは「音楽を聴かせるようになって以来、香りがより力強くなった。毎朝の水やりも名曲を聴きながらできるので楽しい」と喜んでいる。

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