●休暇終了。本日より平常モード。
●備忘録。今年モスクワで行われたチャンピオンズ・リーグ決勝の表彰式では、スッペの「軽騎兵」序曲のファンファーレが使われていた。表彰式までは毎年見てないからよくわからないのだが、なぜスッペなのかはよくわからず。来月はじまるEURO2008は決勝がウィーンだから、むしろそちらで使われそうな曲という気もする。
●at the end of the dayさんのところで知ったニュース。レイフ・セーゲルスタム、ついに大台の交響曲第200番に到達!! Fimicの作品表ではまだwork in progressと表示されているが、交響曲を200曲以上手がけた作曲家をほかに知らない。どれくらいのペースで書いているかというと、今年だけで交響曲第191番から交響曲第200番までの10曲を作曲中。仕事が速いぞ。昨年2007年は、交響曲第174番から交響曲第190番(標題が"UFO, Under F & Over..."。日本で売り出すなら後半はワザと無視して「UFO交響曲」だな)までの17曲を書いている。60代の現在も量産ペースは衰えない。仮に誰かが(ていうか本人しか考えられないが)セーゲルスタム交響曲全集を録音することにしても、録音より創作のほうが先に進んでいきそうな勢いなわけで、全集完結は光速で遠ざかる事象の地平面のように遠い。
●長生きして交響曲第1000番まで書くに10エリクサー。
News: 2008年5月アーカイブ
光速セーゲルスタム面
シカゴ響とiTunes Store
●遅ればせながら自分メモも兼ねて。2010/11シーズンより、リッカルド・ムーティがシカゴ交響楽団音楽監督に就任。ていうか、歴代音楽監督の名前を見てて思ったんだけど、バレンボイムって1991年から2006年までいたのか。ショルティの22年にはかなわないにしても、バレンボイムで15年っすよ。そんなに長かったという気がしないのは、新譜が減って身近じゃなくなったのか、単に自分が歳をとって対人生比で一年の長さが相対的に短くなっているだけなのか。
●シカゴ響には自主レーベルCSO Resound がある。ハイティンクのマーラー3番、マーラー6番、ブルックナー7番、チョン・ミョンフンのショスタコ5番他。もうすぐムーティのスクリャービン「法悦の詩」&「ボレロ」他もリリースされる。CSO Resoundは日本のiTunes Storeでも買えるんだけど、どれもiTunes Plus(著作権管理技術なしのファイル)になっているのが購入者フレンドリーですばらしい。チョン・ミョンフンのショスタコ5番はiTunes版のみでCDでは販売されていなかったと思うんだけど、にもかかわらず、ちゃんとジャケとDigital Bookletが用意されているのはさすが。
●でも残念な点。iTunes StoreでCSO Resoundの一覧を検索する方法がわからない。CSO Resoundで検索しても一点しかヒットしない。どうしてパワーサーチの検索項目には「レーベル」という概念がないんだろう。そんなものを必要とするのは圧倒的な少数者ということなんだろか?
METライブビューイング「連隊の娘」
●METライブビューイングでドニゼッティの「軍人たち」……じゃないや、「連隊の娘」を見てきた。品川と迷った末にMOVIX昭島へ。ニューヨークのメトロポリタン・オペラの最新の公演をシネコンで超高画質映像で上映。生中継とはいかないが、現地4月26日の公演をもう見られるんだから、「既存のDVDを上映しました」っていうのとは本質的に違う。今シーズンはこの「連隊の娘」でおしまい。基本的に上映日が各劇場2日間(日曜と月曜午前)しかないので、うまく日程を合わせないと見逃してしまう。
●で、この「連隊の娘」なんだけど、スゴかったですよ。ありえない楽しさ。オペラなのに(?)腹の底から笑えた。ナタリー・デセイのコメディエンヌぶりは完璧だし(もちろん歌も)、ファン・ディエゴ・フローレスのハイC連発の「友よ今日は何て楽しい日」では観客総立ちになるし、演出(ローレン・ペリーっていう人)はどこをとっても「間が持たない瞬間」ってのががなくて、どんな小さな場面にもお客を楽しませるためのサービス精神とアイディアに溢れていた。とても贅沢な娯楽に接したという満足感あり。「笑い」の質は、最上の「ドリフ」とか「吉本新喜劇」と同じくベタなものなんだけど、だからこそ非凡な演出と役者がそろってはじめて可能なんだと思う。
●幕間でルネ・フレミングがマイクを持って登場して歌手にインタビューしてて、そこでシュルピス役のアレッサンドロ・コルベッリとベルケンフィールド侯爵夫人役のフェリシティ・パルマーが二人で登場したんすよ。で、こんな感じのことを話していた、「コメディは真摯に演じれば自然におかしくなるようにできている、わざわざ笑わそうとする必要はない」「そうそう、まったく同感だね」みたいな。すばらしい。
●オペラで唯一なにかイヤかといえば、コミカルな役の歌手が滑稽な動きとかおどけた仕草で安い笑いを取りに来た瞬間。生まれてこの方ブーイングなどしようと思ったことがないという寛大な人でも、この種の「笑いの強要」に対しては思わず前の座席の背中をガツガツと蹴り飛ばしたくなるんじゃないか(えっ、そんなことない? )。たとえばおどけた役だからクネクネと内股歩きをしたら笑ってもらえるかな~、みたいな、そういう安さ。しかも悔しいことにそんなので客席がウケたりして、それどころかカーテンコールで客席がわいて「儲け役」みたいになってたりして、もうそういうときにワタシの気分はドン底。おどけた役はマジメに演じたほうがおかしいし、シリアスな役がおどけると笑える。歩くだけで笑わせられるのは、モンティ・パイソンの「シリー・ウォーク」だけだよ。
●なので、本気で笑えるメトの「連隊の娘」に気分爽快。演技と台詞で笑わせ、歌で感動させる。見事すぎて、ほとんどファンタジー。
●来シーズンの予告がここに乗っている。劇場で上映されたものと同じ予告編動画あり、画面は小さいけど。
祭の後。ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2009は「バッハとヨーロッパ」
●ついにラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2008、終了。まず来年のテーマについて。記者発表直後の公式レポートにあるように、次回のテーマは「バッハとヨーロッパ」。すでに2月のナントでは来年のテーマがオフィシャルに発表されていたので、東京もバッハ絡みになるということは予測されていたわけだけど、どれくらいバッハの前後左右に広がるのか(時間的空間的に)ってのがこれである程度イメージできるかと。マタイやヨハネみたいな長い曲をどうするのかとか、5000人のホールでできる演目に何があるのかとか、あれこれ思うわけだが、大変楽しみなテーマである。テレマンやラモーらのバロック音楽、ストコフスキによるトランスクリプション、バッハの息子たちあたりに期待大。
●で、今年の「ラ・フォル・ジュルネ」を振り返ってみると、シューベルトでホントによかったなと改めて思う。シューベルトって孤独で暗い音楽だし、たくさん聴くと心が病んできそうな気がしてて、去年までは数少ない敬遠する大作曲家の一人だった。でももう大丈夫、というか健やかに病む術を見つけたというか。2月のナント以来、CDも含めて大量摂取して、抗体ができた。おかげで好きな作曲家の仲間入り。ピアノ・ソナタあたりはまだまだ聴き足りないくらい。
●5月1日にプレナイト、2~3日は東京国際フォーラムに詰め、4~5日はラ・フォル・ジュルネ金沢、再び6日に東京国際フォーラム。公式レポートと並行して、この間ほぼ毎日OTTAVAの出演があり、金沢では地元局MROのラジオにもおじゃまして、やたらしゃべっていた気がする。石川県立音楽堂の前でケータイで現地レポートをOTTAVAのスタジオに届ける回がいちばんヘンだった。一人だけで立ってて、マイクもイヤフォンもない状態でただケータイに向かって「はーい、こちらは金沢駅すぐそばの石川県立音楽堂の……」とかしゃべってるんだから、怪しさ全開。
●肉体的疲労度もピークに達して、もうぐったり。でも楽しかった。期間中、ご挨拶いただいたみなさま、お仕事でお世話になったみなさま、ありがとうございました。
●目先の仕事を片付けたら、一日横になってぐうたら読書でもしたい。
今日から「ラ・フォル・ジュルネ」
●いよいよ「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」がスタート、昨夜レセプションに出て、プレナイトのレネゲイズ・スティール・バンド・オーケストラを聴く。ナントではシューベルトしかやってくれなかったんだけど、東京では彼ら本来の音楽(なんて呼べばいいのかわからない)もやってくれて驚く。本来こういう団体だったのか。衣装もカラフルなTシャツで蝶ネクタイのナント仕様とはぜんぜん雰囲気が違う。OTTAVAにも顔を出す。いや、声か。今日は初日じゃなくてまだ0日目。なのに、なんだかもう初日を終えたような気がする。謎。
●で、この連休中は「ラ・フォル・ジュルネ」公式レポート等々あり、ゴールデンウィークでもあるので、当欄も不定期更新に。これから数日は以下に出没。
「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」公式レポート
OTTAVA(インターネットラジオ)
ラ・フォル・ジュルネ金沢