●この前メルマガでも紹介したけど、シェーンブルン宮殿での野外コンサートで、ヴェルザー=メスト指揮ウィーン・フィルが「スター・ウォーズ」を演奏したんである。で、その様子がちらりとYouTubeに。「スター・ウォーズのテーマ」「帝国のマーチ」「レイア姫のテーマ」(もし削除されてたらスマソ)。もうワタシゃ感涙。なんというまろやかなスター・ウォーズ(笑)。カッコよすぎる。あ、最初の「スター・ウォーズのテーマ」は一瞬「あれ、それ別の曲」と思うかもしれないけど、そこから続くから。「帝国のマーチ」はおしまいに軽い演出がついていて、これはまさにニューイヤー・コンサートのノリかと。
●「スター・ウォーズ」はオリジナルのサントラはロンドン交響楽団だっけ? その後、いろいろな演奏が出てるが、ウィーン・フィル以上のインパクトはありえんよなあ。
●この野外コンサートの模様は、DVDやCDとして発売予定なんだそうです。同じ演奏会でブロンフマンがリストのピアノ協奏曲第2番を弾いてたりとか、わけわからんプログラム(笑)。いやー、楽しみだ。
●どうせなら来日公演でも「スター・ウォーズ」弾いてくれないか、ウィーン・フィル。
News: 2010年6月アーカイブ
ウィーン・フィルの「スター・ウォーズ」
スピノジ祭り
●6月4日(金)はサントリーホールでジャン=クリストフ・スピノジ指揮新日本フィルへ。スピノジ圧巻。ハイドン、ロッシーニ、モーツァルト。
●このフランスの指揮者&ヴァイオリニストの名前を最初に知ったのは、NaïveのVivaldi EditionのCDで。ヴィヴァルディのオペラ「グリセルダ」や「オルランド・フリオーソ」でアンサンブル・マテウスとの鮮烈な演奏を耳にしたのがきっかけ。古楽界にまた新たなタレントが出てきたなと思ったら、どんどん活躍の場を広げ、もうスカラ座デビューも決まっているんだとか(あと今年のBBC Promsにも出ます)。去年新日フィルの新シーズン・プログラムが発表されたときに一公演だけスピノジの名前が載っているのを見て「うおっ」とのけぞった。
●で、プログラムは自分のやりたいものをやりました感、全開。ハイドンの交響曲「めんどり」とか「熊」がメインなんすよ。スピノジは超アグレッシヴで感情表現は猛烈に豊か、こんなに演劇的で描写的な指揮をする人は初めて見たというくらい。「めんどり」の第1楽章ってまさに描写的なめんどりの音楽なんだけど、指揮者までクビを前後にコキコキ動かせてめんどり化してるんだから(笑)。でもそういった過剰なくらいの表情付けがちゃんとオーケストラに伝わっていて、音楽に躍動感があふれていた。悪戯小僧がそのまま大人になったようなキャラで、仕掛け満載。「めんどり」第2楽章でアクシデントがあってスピノジの顔からどっと汗が吹き出る場面があったんだけど、そこで思いっきり動揺しつつも、だんだんと持ち直して、しまいには汗かきをネタにしてしまうのも立派。
●「熊」の終楽章で客に終わったと思わせて実は終わってませんでした的なワナが仕掛けてあった。きょうびの聴衆は簡単にワナには引っかかってくれない(情報の伝達速度は速く、ネタはかなりのお客にバレている)。そこでスピノジは二重、三重、四重くらいにワナを仕掛けた。それ、ドリフだよ! サービス満点。たぶん、こういうのは嫌いな人はとことん嫌い。でもこの日のお客さんはみんな喜んでいたのでは。ワタシも心底楽しんだ。
●いち早くスピノジを招いた新日フィルはスゴい。ただ、お客さんは入ってなかったんすよ、惜しいことに(業界関係者は大勢いた)。そしてせっかくの初来日に公演はこの一晩のみ。うーむ。次の機会はあるんだろうか、生スピノジ。映像で見るとこんな感じ。ビーバー「バッタリア」、ヴィヴァルディ「グリセルダ」シンフォニア。
Hakuju Hallでリクライニング・コンサート
●Hakuju Hall(白寿ホール)には「リクライニング・シート」というのがある。これまでワタシは何度もこのホールに足を運んでいたが、どうもこれがピンと来ていなかった。コンサートってのは基本、どちらかというと前のめりになって聴きたいもので、でもホントに前のめりになると後ろの人に迷惑だからしょうがなく背もたれ使ってますよ、みたいな理解をしてたから。が、先日ついにこのリクライニング席を初体験したんである。
●5月27日の曽根麻矢子チェンバロ公演、フランス・バロック・プログラム。平日昼間の1時間の短い公演だった(同じ日の夜にも同内容の公演あり)。「リクライニング・クラシック」と題されたシリーズの一公演で、前方が普通席、後方がリクライニング席になっている。これは超ぜいたくなんである。なぜかというと、リクライニング席は後ろに倒せる。するとその直後の列の席は使えなくなる。もともとHakuju Hallは300席しかない小さなホールでそれだけでも贅沢なのに、さらにそこからリクライニングのために何列か犠牲にしてしまうわけだ。そんな環境で平日の昼間にすばらしいクープランやらデュフリやらラモーを聴いた、リクライニングで。たとえるなら、朝寝朝酒朝風呂レベルの快楽度。どんだけ優雅なのかと。
●座ってみるとリクライニングは確かに楽チン(←死語?)。自然と視線が演奏者に向かってまっすぐではなく、少し上方を向くことになる。この風景が新鮮。リクライニング席でなくても、1時間の短時間公演は気軽でいろんな面で利点がある。平日昼公演、夜19時半公演それぞれの設定がありがたいというお客さんの層がいるはず。
●この「リクライニング・クラシック」、9月からの2010/11シーズン前期の予定がすでに発表&発売されている。個人的にはN響メンバーによるバルトークの弦楽四重奏曲や広田智之オーボエ・リサイタルあたりに興味。あと、クラシックのシリーズ以外に「リクライニング・ジャズ」というのも年4回開かれる。それぞれのシリーズの詳細は以下に。
Hakuju Hall主催公演
http://www.hakujuhall.jp/top/concert/index.html
●「リクライニング・クラシック」シリーズのキャッチコピーって、「あなたは聴きますか、それとも眠りますか?」なんすよね(笑)。先日の公演で最初に舞台上のスクリーンにこの文言が映されたら、客席のあちこちから「クスクス」って笑いが起きた。そだよな。もちろん寝に来てるわけない。わけないとみんな承知の上でのこのコピー。吉なり。まあ、図らずも寝ちゃう人はいるだろうけど(笑)。