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News: 2012年7月アーカイブ

July 27, 2012

ミンコフスキとOEK

●25日は金沢へ。石川県立音楽堂でミンコフスキ指揮オーケストラ・アンサンブル金沢。プログラムは古い時代の作品ではなく、20世紀前半プロ。ヴァイルの交響曲第2番、プーランクの2台のピアノのための協奏曲(独奏はギョーム・ヴァンサン、田島睦子)、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」バレエ版。かなり思い切ったプログラムだが、出色の出来、客席の反応もとても良好。ていねいで繊細に整えられた響きなんだけれど、ミンコフスキが全身から発するオーラで自然と熱を帯びていくのがすばらしい。プーランクも洒脱というよりも一段柄の大きな腕白っぷりがあらわれていて、きかん感じやね(←金沢弁)。
●OEKの7月定期って、ハーディングとミンコフスキなんすよね。スゴすぎる。金沢の都市圏の大きさ(というか小ささ)では同一演目二公演は現状無理、しかしこれで一公演ではあまりにもったいないわけで、ハーディングは新潟市妙高市でもう一公演開かれた。ミンコフスキは26日東京と、さらにこの後28日(土)に横浜みなとみらいでも公演が開かれる。
●ちなみにOEKの来シーズンのプログラムには、ミンコフスキ指揮ルーヴル宮音楽隊の公演が入っている。OEKの定期なんだけど、OEKは出演しなくてルーヴル宮音楽隊が演奏するという方式。東京だと「どして?」となるかもしれないが、中規模以下の都市では理にかなっている。客席の大半は定期会員だし。あと、エンリコ・オノフリ&OEKという公演もあって、これはバッハ・プロ。

July 25, 2012

SONYのMusic Unlimited

●クラシック音楽ファンの間ではあまり話題になっていないようなのだが、SONYの定額制音楽配信サービス Music Unlimited が今月からスタートしている。「洋楽中心で最新のヒット曲から名曲まで1,000万曲」という謳い文句といい、トップページのデザインといい、クラシックは関係なさそうに見えるのだが、実はメジャーレーベルを含む多数の音源が入っている。たとえば、はい、カルロス・クライバーのページ。なんと、SONYのサービスなのにユニバーサルの音源が!
●いくつかためしに検索してみたところでは、Naxos Music Library(以下NML)で聴ける音源もかなりの程度含んでいるように思えるのだが、100%まるごとというわけでもなくて、よくわからない。入会しなくても検索はできるので、あれこれ試してみるといいかも。
●30日間定額制で1480円はきわめて安価。ただし、NMLと違って(クラシックに関しては)アルバム情報は日本語化されていないので、「カルロス・クライバー」で検索してもなにもヒットしない。また、一見したところ「レーベル」という概念が希薄なようで、なにかと探しづらい。
●あとは音質。HE-AAC 48Kbpsというクォリティだ(ちなみにNMLはAAC 128k)。一見48Kbpsというビットレートはひどく落ちるように見えるが、HE-AACは通常のAACやmp3とは圧縮方法が少し違っており、聴感上のクォリティは48Kbpsという感じはしない。もっとよい。しかし、じゃあどれくらいまでよいかというのが問題で、これは試聴してみればいいんである。会員にならなくても、30秒の試聴はできる。
●クラシック系利用者のレポートを待望。

July 23, 2012

スダーン&東響、バイロイト2012

●21日(土)はサントリーホールでスダーン指揮東響へ。マーラーの歌曲集「さすらう若人の歌」(ヴォルフガング・ホルツマイア)とリストの「ファウスト交響曲」(チャールズ・キム、東響コーラス)。リストの「ファウスト交響曲」がカッコいい。プログラムの流れから言っても、「千人の交響曲」と共通する「ファウスト」という題材からしても、リストの交響曲がマーラーの予見的作品に聞こえてくる。過剰であり絢爛として中二病的でもあり。オケからすばらしく豊麗な響きが発散されていた。
●合唱が入らないまま第3楽章「メフィストフェレス」に突入し、どうなるのかなと思ったら、出番直前ほとんどギリギリのタイミングでゾワゾワゾワッと全員が高速入場した。こんなにすばやく合唱が入場できるなんて。しかも足音をほとんど立てずに。忍者?
●今年は少しでも聴けるかどうか、バイロイト音楽祭が7/25にティーレマン指揮「さまよえるオランダ人」で開幕する。例年のようにopera castの放送予定表が役立つ、かもしれない。「オランダ人」は直前になって題名役のエフゲニー・ニキティンが胸のハーケンクロイツの刺青が理由で降板となり、サミュエル・ユンに交代している。

July 20, 2012

レッツゴー!クラヲくん 2012 同じ音源を何度も買い続ける編

●連続不条理ドラマ「レッツゴー!クラヲくん」第18回 同じ音源を何度も買い続ける編


コクがあるのに、すっきりした後味
家族にも評判が良く
お財布にやさしいお値段が嬉しいですね。
今回リマスタリングされたのを機にリピしました♪


July 19, 2012

セーゲルスタムとヒッグズ粒子と読響と

●読響の先々のスケジュールを見て驚愕したのだが、来年の1月にご存知交響曲量産王レイフ・セーゲルスタム(セゲルスタム)が指揮台に立つんである。で、そこで自作の交響曲第252番「ヒッグス粒子に乗って惑星ケプラー22bへ」を指揮するという。いつもなら「うぉ!252番って」とその創作マシーンぶりに驚くわけだが、今回は違う。なんと、つい先日CERNで発見されて大ニュースとなった、あのヒッグス粒子だ。恐るべし、セーゲルスタム、時流に乗りすぎ。物理学の「標準理論」の最後のピースを埋めるといわれるヒッグス粒子の発見を予見していたかのごときプログラミング。そしてぜんぜん関係なさそうなケプラー22bがタイトルにくっついていたりする謎度の高さ。「ヒッグス粒子に乗って惑星ケプラー22bへ」。ぜったい書いてる本人も「ヒッグス粒子」の意味わかってないと思う(笑)。
●しかし「ヒッグス粒子」発見は大ニュースになったものの、「ヒッグス粒子」がなにかについてまともに説明できる人はほとんどいないんじゃないかって気がする。本当に難解。理解のために必要となる物理学的素養が半端じゃない。とりあえず「ヒッグス粒子と質量」(キッズサイエンティスト)、HiggsTan(ひっぐすたん)、ヒッグス粒子(日本大百科全書)あたりを読むしか。結構よくできているのが「ヒッグス粒子が見つかったらしいけど、何がすごいのか」(ニコ動)。セーゲルスタムは必見。

July 14, 2012

広上淳一指揮読響定期、AKB48松井咲子「読響シンフォニックライブ」

●12日はサントリーホールで広上淳一指揮の読響定期へ。武満徹「トゥイル・バイ・トワイライト」(1988年の読響創立25周年記念委嘱作品)、ベルリン・フィル首席の清水直子を独奏に迎えたバルトークのヴィオラ協奏曲(ピーター・バルトーク版)、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」というプロで大盛り感あり。広上淳一指揮の武満作品は5月にN響で「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム」を聴いたばかりなので、ここでも打楽器無双な編成の「トゥイル・バイ・トワイライト」で姉妹編を聴くかのような気分に。精悍なヴィオラ協奏曲の後は、意外なアンコールで、ソリストの清水直子さんとヴィオラ首席の鈴木康浩さんとでバルトークの「44の二重奏曲」から2曲という趣向。聴きごたえ大。二人はベルリン・フィルでいっしょに弾いていた間柄のよう。後半の「シェエラザード」は広上節炸裂で豪快だった。もっちり濃厚なアラビアン・ナイト。ブラボー多数。
●同日、AKB48の松井咲子が日テレ「読響シンフォニックライブ」の新司会に抜擢されるというニュースが! おそらくAKBファンがいっせいに「読響ってなに?」と検索したはずであり、この日は読響史上に残る被検索数が打ち立てられたのでは。一方ワタシは「松井咲子って誰?」って画像検索したのであった、スマソ、赤羽48。

July 11, 2012

「ファジル・サイ ピアニスト・作曲家・世界市民」(ユルゲン・オッテン著)

「ファジル・サイ ピアニスト・作曲家・世界市民」●つい先日の来日公演は行けなかったのであるが、来日に合わせて刊行された「ファジル・サイ ピアニスト・作曲家・世界市民」(ユルゲン・オッテン著/アルテスパブリッシング)を読んだ。ファジル・サイ、初のバイオグラフィー。サブタイトルに「ピアニスト・作曲家・世界市民」とあるが、特におもしろいのは「世界市民」としてのサイの姿。なるほど、トルコに生きるアーティストにはこんな軋轢が待ち構えているのかと多くを知った。つい先日、ファジル・サイがTwitter上でイスラム教の価値観を侮辱したということでトルコで起訴されたというニュースが流れたが、そこに至るまでの経緯、さらに大きな背景としてトルコにおける世俗主義とイスラム主義の対立が芸術家にどう影響するか、といったあたりがわかる。
●個人的にはファジル・サイはワーナー系レーベルで世に出た頃の印象が鮮烈で、その後活動の幅が広がってからは関心を失っていたこともあり、なんとなくサイには2種類の人物がいるような印象を抱いていた。その二人のサイがこの本を読んでやっとつながった気がする。あと、最初に世に出てくるまでの話も興味深い。ニューヨークのヤング・ コンサート・アーティスト国際オーディションで優勝して、全米弾丸ツアーでチャイコフスキーの協奏曲を山ほど弾かされていたという「アメリカン・ドリーム」実現時代とか。そのままアメリカを拠点に活動していれば普通のピアニストとしてキャリアを積んだだろうが、彼は9.11を一つのきっかけにしてイスタンブールに帰国する。トルコには兵役の義務もあるんすね。サイはお金を支払ってこれを1ヵ月に短縮し(普通は16ヶ月、学位があれば8ヶ月)、中身も形ばかりのものに変えることができたということなんだけど、一般的なトルコ人男性にとっては人生の一大事になるようだ。

July 10, 2012

クシュシュトフ・ウルバンスキが東京交響楽団の首席客演指揮者に就任

●先にfacebookページのほうでお伝えしたように、クシュシュトフ・ウルバンスキの東京交響楽団首席客演指揮者就任が発表された。任期は2013年4月からの3年間。1982年ポーランド生まれで、まだ29歳という若さながら2014年5月のベルリン・フィルへのデビューが決まっているとか。現在、インディアナポリス交響楽団音楽監督とノルウェーのトロンヘイム交響楽団首席指揮者(偶然だけどここもTSOだ)。今後どんどん名前を耳にする機会が増えそう。東響にはこれまでに何度か客演しているが、すぐに聴ける機会というと、「フェスタサマーミューザ」の2公演ということになる。8/7のドヴォルザークの交響曲第7番他と8/12のショスタコーヴィチの交響曲第5番他。ミューザ川崎がまだ使用できないので、会場はテアトロ・ジーリオ・ショウワ。思わぬ形で「フェスタサマーミューザ」への注目度が高まったかも。
●パーヴォ・ヤルヴィのN響首席指揮者就任に続いて、ノーマン・レブレヒトがウルバンスキの件もネタにしている。
●下はインディアナポリス響作成のプロモーション・ビデオ。イケメン、なんすかね。キュート? トロンヘイム交響楽団とのオルフ「カルミナ・ブラーナ」映像もあり。

July 9, 2012

先週はオケ週間

●先週はたまたまオケ週間に。4日はN響「外山雄三の世界」へ(サントリーホール)。作曲家外山雄三に焦点を当てて「ノールショピング交響楽団のためのプレリュード」、ピアノ協奏曲、管弦楽のためのラプソディー、交響曲「帰国」。協奏曲のソリストに中村紘子、司会に檀ふみ、トーク・ゲストに池辺晋一郎という「ドキッ!大御所だらけの管弦楽大会」。指揮は広上淳一で、最後の「帰国」のみ作曲者自作自演。外山雄三が指揮台に立ったとき、オケからものすごく張りつめた音が出てきて驚愕。トーク部分は池辺先生のダジャレ炸裂。これはTwitterに書いた。
●6日はハーディング指揮新日本フィル(すみだトリフォニー)。シューベルト「未完成」+R・シュトラウス「英雄の生涯」。おもしろいし、気力にあふれている。オケの響きは相変わらず美しい。
●7日は日帰りで名古屋遠征。常任指揮者に就任するマーティン・ブラビンス指揮の名フィル(愛知県芸術劇場コンサートホール)。バックスの「ティンタジェル」、ウォルトンのヴァイオリン協奏曲(独奏はコンサートマスターの田野倉雅秋)、ラフマニノフの交響曲第3番という意欲的なプログラム。昔はたくさん聴いた名フィルだが、約四半世紀ぶりに聴くことに。記憶の海に沈んでいるおぼろげな姿からは、すっかり進化している。客席も歓迎ムード全開、沸いていた。マーティン・ブラビンス、以前プロムスでブライアン作曲の「ゴシック」を振ってたっけ。
●8日はオーチャードホールの「N響オーチャード定期」。キンボー・イシイ=エトウ指揮。小菅優独奏のシューマンのピアノ協奏曲が見事。N響定期とは客席の雰囲気がずいぶん違って、若者の姿も多い。年齢層が上にも下にも広がっている。以前はこんな感じがフツーだったような記憶があるんだけど……。

July 7, 2012

N響首席指揮者にパーヴォ・ヤルヴィ。2015/16シーズンから

N響首席指揮者にパーヴォ・ヤルヴィが就任。これはびっくり。N響とは2002年と2005年に共演しているとはいえ、前回からかなり時間も経っているし、次期指揮者の候補として予想していた人は少なかったのでは。就任は2015/16シーズンからの3年契約。パーヴォ・ヤルヴィは現在パリ管弦楽団音楽監督、フランクフルト放送交響楽団音楽監督、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団芸術監督。来季はベルリン・フィルの定期にも招かれるなど超多忙という印象だが、N響には就任に先立って2015年2月の定期公演に出演するとのこと。海外公演も計画されているという。
●在京オーケストラの指揮者陣がどんどん豪華になっていく。現状でもかなり華やかだけど、まさかこんな最前線の人がやってくるとは。
●Twitter上の本人アカウントもNHKニュースのURLをつぶやいている。本人すよね?

July 5, 2012

Naxos Music Libraryにワーナーミュージックが参加

●今日からNaxos Music Library(以下NML)にワーナーミュージックの3レーベル(Warner Classics、Erato、Teldec)が加わった。ついに(いや、ようやく)メジャーレーベルの一角が参加したわけだ。
●NMLは定額制のストリーミング配信サービスとして、ナクソス以外にも多くの主要中堅&マイナー・レーベルが参加している。レーベル数は500を軽く超え、CD枚数は6万枚以上。どんどん参加レーベルが増えてきた上に、最近は有名アーティストがメジャーを離れて独立系レーベルからCDを出すケースが増えてきたこともあって、このNMLさえあればかなり充実したライブラリーを手にすることができる。なによりストリームなので「所有しなくて済む」のがいい。物も増えないし、データも増えない。聴くだけ。
●CD時代から音楽配信時代への移行の着地点はおおむねこういう形になるだろうと期待していた。まだまだ新譜はCDが必要であるとは思う。コンサート会場ではCDが飛ぶように売れる。ライブの思い出の品、おみやげとしても最適。メディア向けのプロモーションにも物理媒体が必要。でも旧譜になったら、定額でストリーム配信だろう、と。
●2、3年前にナクソスの創立者クラウス・ハイマン会長にインタビューする機会があり、そのときにNMLについて「これだけ参加レーベルが増えてきたのだから、メジャーレーベルも参加しないのか?」と尋ねたことがある。なんとなく、メジャーがナクソスに乗るというのは業界的にありえないんじゃないかとか、ウチはメジャーとは違うやり方をしますよ、的な答えが返ってくるのかと予期していたら、そうではなく、「そうしたいと思っているが、メジャーは配信に関して国ごとに契約が必要になっていることが多い。一括してワールドワイドに配信できなければ困る」というような返答だった。純粋にビジネス視点だし、メジャー側も門前払いという状況ではないんだなという印象を受けた。
●今回、Warner Classics、Erato、Teldecが加わったことで、アーノンクールやバレンボイムもNMLに入ってきたわけだが、とはいえ、まだこの3レーベルのタイトル数はほんのわずか。膨大な音源があるわけで、これからどこまで拡充してくれるのか、気になるところ。
●以前購入したCDが家の棚にあるのに、同じ音源をNMLで聴くことがある。棚のどこにあるかわかならい1枚のCDを探してウロウロと時間を費やすくらいなら、NMLで検索して聴くほうが手っ取り早いから。
●とまあ、NMLは大変結構なものなのだが、残念なところもあるのでそちらも書いておこう。まず、1)ブックレットを置いていないアルバムが多い。PDFでブックレットも添えてくれるところもあるが、音源だけ置いてそれっきりというところも多い。 2)連続するトラックの間で音が途切れる。たとえば「運命」の第3楽章と第4楽章の間に一瞬の空白が入る。3) 本国版NMLには以前からEMIが参加しているのに、日本国内では聴けない。
●しかしナクソスの先見の明はすごい。メジャーの一角がナクソスが作ったプラットホームを利用するようになったわけだ。彼らが廉価レーベルとして登場した頃にタイムマシンで戻って、将来こんなことが起きると業界関係者に教えても、絶対に信じてもらえない。

July 3, 2012

二期会の「カヴァパリ」

二期会の「カヴァパリ」
●昨日、二期会の「カヴァレリア・ルスティカーナ」&「パリアッチ(道化師)」公演(7月13日~16日、東京文化会館)の通し稽古を見学。演出は田尾下哲、指揮はパオロ・カリニャーニ。歌手はダブルキャストで、この日は14&16日組。写真のように(元)体育館での稽古で、装置や衣装はほとんどわからないのだが、演出の田尾下氏が見学に先立ってプレトークをしてくださり、コンセプトはかなり伝わった。
●舞台設定としては「カヴァレリア・ルスティカーナ」はオリジナルそのまま、一方「パリアッチ」は1960年代のシチリアという設定になっている。で、この「パリアッチ」演出は秀逸! どの程度まで事前のネタバレが許されるものか悩むところだが、やはり何も知らずに見たほうがおもしろいと思うので詳細は控えるとして、例の「前口上」の場面でなるほどと膝を打つことになるはず。アイディアばかりが先行する読み替えではなく、もともとのドラマにより明快に筋を通し、なおかつ物語に現代的なリアリティを回復させるためのものとして、作品本来の意図に寄り添った演出になると思う。オリジナルでは書き割りみたいなキャラのシルヴィオにも納得できる役柄が与えられていて、「なぜネッダにとってシルヴィオなのか」が、はっきりわかる。あと、ネッダ役の髙橋絵理さんがすばらしい。歌も演技も。

July 1, 2012

東京ドームで「トゥーランドット」

●フィレンツェ歌劇場が今年11月の来日を発表している。なんと、チャン・イーモウ演出の「トゥーランドット」を東京ドームで上演するのだとか(Il Maggio torna a Tokyo con Turandot)。指揮はズービン・メータ。
●東京ドームでオペラというとバブル期の「アイーダ」を思い出す。代々木体育館でもあったっけ。「オペラ」という言葉が誰でも知っている日本語に登録されたのは、世の中全体が狂騒的なお祭り気分に浸っていたあの時代だったと思う。
●さてEURO2012、まもなく決勝戦、スペイン対イタリアへ。ここまでを見ているとスペインにはかつてほどの輝きは感じられない。ポゼッションという点では相変わらず最強で、イタリアに対してもゲームを支配するだろうが、見ようによってはゲームを停滞させるための守備的ポゼッションであって、「伝説」の予感はかなり薄い。あるとすればイニエスタのなにか。傍から見てイタリアのほうがおもしろそうとはなんという予想外な展開なのか。1-0でスペインが勝つといういかにも寂しい決勝戦は避けたいものだが。

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