●27日は東京ミッドタウンで冨田勲「イーハトーヴ」交響曲世界初演公演制作発表記者会見。ビルボードジャパンと日本フィルの共催で冨田勲作曲の新作「イーハトーヴ」交響曲が11/23東京オペラシティにて開催されるのだが、なんと、初音ミクが大友直人指揮日フィルと共演するんである。オーケストラに合唱団が加わり、さらに初音ミクが歌う。
●「イーハトーヴ」は「注文の多い料理店」や「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」といった宮沢賢治作品に着想を得た交響曲。「注文の多い料理店」で、さあこれから自分たちが食われるかどうかという場面で、「ここに出てくるのは初音ミクしかない」(冨田勲)ということで、要所要所に初音ミクが登場する。初音ミクの「かりそめのボディ」「パソコンの中からは出られない」といったキャラクター性が、冨田御大のお気に召した模様。
●クラシック畑には「初音ミク、誰それ?」という方もいらっしゃるかもしれないが、彼女はキャラクターを有した歌唱ソフトウェアである。写真は初音ミクのフィギュアを持って登場した冨田先生。これまでMOOGシンセサイザーからオーケストラまでを駆使して数々の名作を残し、「僕にとってはいまだに電気的な音とアコースティックな音の区別はない」という氏だけに、初音ミクを起用しても不思議はない。
●冨田勲、指揮の大友直人とともに会見に出席したクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表は、「これまでも初音ミクはコンサートを行なってきたが、今回は今までと違い初音ミクがオーケストラに合わせなければならない。音だけでなくCGによるモーションも同期しなければならず、技術的なハードルは高いが、めどはたっている。バーチャルシンガーが人間の演奏に合わせるという点で野心的な試みになると思う」と語った。初音ミクは歌って踊るということなので、映像も入るんすね。
●なお、公演では「イーハトーヴ」交響曲に加えて、交響詩「ジャングル大帝」など、これまでの冨田作品も演奏される。冨田ファンと初音ミク。果たしてどういうノリの公演になるのか。
News: 2012年8月アーカイブ
冨田勲「イーハトーヴ」交響曲を大友直人&日フィル、初音ミクが世界初演
TDKオーケストラコンサート2012~マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団公開リハーサルに学生200名を招待
●TDKオーケストラコンサート2012~マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団来日公演の公開リハーサルに、中学生以上で音楽を学んでいる学生200名が招待される。12月1日(土)サントリーホールにて、午前10:30から2時間程度を予定。ネット応募可、応募者多数の場合は抽選で。応募〆切は10月26日。
●特に曲目は予告されていないが、この日の本番は19時からベートーヴェンの交響曲第8番と「第九」が予定されている。交響曲全曲演奏シリーズの最終日。学生の方はぜひ。
東京芸術劇場リニューアルオープン内覧会
●9月1日にリニューアルオープンする池袋の東京芸術劇場で内覧会が開かれた(9日)。いくつか写真でレポートを。まず一目瞭然、最大の違いはあの「恐怖のエスカレーター」がなくなったこと。
●このように、壁際に沿って2段階で上る方式になった。最初にまっすぐ上り(ここは階段も併設される)、その後直角に左方向へ上る(こちらはエスカレーターのみ)。従来と高度は変わらないが、壁に沿っているので怖くない。アトリウムの空間も広々と感じられるようになった。かつての長い一本道のエスカレーターは意味もなく緊張を強いられるものだった。
●ホール全体の基本構造は変わっていない。コンサートホール入り口は上の写真のように、明るく暖かみのあるデザインに変わった。内部もそうだが、以前は無機的でクールなトーンのホールだったのが、全体に暖色系中心の落ち着いたムードに変わっている。「あの殺伐とした雰囲気こそ池袋にふさわしかったのに!」と以前を懐かしむ方もいらっしゃるかもしれないが、より常識的なデザインになったともいえる。
●なお、ホールのエントランス奥に3階席まで行けるエレベーターが新設された。
●こちらがホール内部。2回客席から撮影している。色合い以外の変化はわかりにくいかもしれないが、壁面も変わっているし、天井反射板もリニューアルされており、音響面でも刷新されているものと思われる(内覧会では演奏はなし)。また、ステージが広くなった。客席の最前列を撤去し、その分、ステージが前方に広がっている(後方に客席を増やすなどして、客席総数は変わっていない模様)。舞台はヒノキ材に張替え。
●こちらはステージ上から客席を眺めた図。座席も座り心地のよいものを目指して作り替えられている。厚みも増して、お尻にやさしい、かもしれない。
●ステージ袖からバックステージへ。写真は楽屋の並び。バックステージは基本的に変更はない模様だが、無線LAN環境が整えられることになった。
●このほか、東京芸術劇場には演劇用のプレイハウス(中ホール)や地下の小劇場シアターイースト&ウエストがあり、これらも改修されている。こちらはもともと足を運ぶ機会がなかったのでチラッと一瞥したのみだが、演劇だけではなく音楽系でもなにかできないものだろうか。プレイハウスのガサガサした雰囲気は悪くない。なお、地下のフロアには以前、ずらり並んだ自販機とか休憩用の椅子などがあったように記憶しているが、今日の時点では何も置かれていなかった。
●こうしてそれぞれのホールを出入りしていると、それだけでも劇場ならではの高揚感みたいなものが胸に湧き上がってきて楽しくなる。全体としてはぐっと快適性があがった印象で、あとは実際に音がどんな風に聞こえるか。期待するしか。
フェスタサマーミューザKAWASAKI 2012開催中
●7/28から今年もフェスタサマーミューザKAWASAKIが開催中。現在復旧工事中のミューザ川崎は使用できないので、昨年に続いて川崎市内のいくつかの会場で分散して公演が開かれている。昨夜の垣内悠希指揮東京都交響楽団は川崎市教育文化会館での開催。川崎駅から徒歩15分の会場で、初めて。昭和スタイルの典型的多目的ホールで、きれいに響かないし、客席まで音が飛んでこないもどかしさはあるんだけど、昨年のブザンソン国際指揮者コンクール優勝者で川崎出身の垣内さんが、歯切れよくダイナミックなベートーヴェンを聴かせてくれた。交響曲第2番とピアノ協奏曲第5番「皇帝」(ピアノ:清水和音)。フェスタサマーミューザは8/12まで、首都圏のオーケストラが続々と登場する。手頃な価格設定も特徴。
●最近、音楽専用ホールが当たり前のようになってきて、こういうホールは少数派だけど、休憩中の飲食には便利な点もあるんすよね。自動販売機が並んでいて、暑いからみんなガッチャンガッチャンと缶コーヒーや炭酸飲料を買っていく。この身も蓋もない感じが耐えられない人もいるだろうけど、嫌いじゃない。いちばんスゴいと思ったのは売店でサンドイッチなんかと並んで売られていた「から揚げ」300円。から揚げっすよ。から揚げは男子の弱点。ふらふらっと買いたくなる。新国あたりなら「生ハムとピクルスと冷製カッペリーニのなんちゃらかんちゃら(←その日のオペラの登場人物名が入る)プレート」とか売ってそうなものであるが、昭和の文化会館は、ずばり「から揚げ」。「いいね!」ボタンがあったらクリックしてた。
●新生ミューザ川崎にも「から揚げ」コーナーだけは置いてくれないかな~(置きません)。