January 17, 2023
ワールドカップ2022カタール大会 補遺 メッシのリケルメ・ポーズ
●先月のワールドカップ2022カタール大会について書き忘れていたことをひとつ。荒れた試合になった準々決勝のオランダ対アルゼンチンだ。ABEMAの中継ではよくわからなかったのだが、メッシがPKを決めた後、わざわざオランダベンチの前に向かって、リケルメのポーズ(トッポジージョ・ポーズ)をとった場面があった。両手を耳の横につけて広げるポーズだ。その場面の写真をここに載せたいところだが、権利上無理なので代わりに日刊スポーツの写真をリンクしておくけど、メッシはわざわざオランダのファン・ハール監督にあのポーズを見せに行ったんである。メッシにとってファン・ハール監督はバルセロナ時代に自身のアイドルであるリケルメを干した監督。キックオフ前からオランダの挑発が続いていたこともあり、メッシは復讐するかのようにわざわざリケルメのポーズを見せつけた。あまり感情を表に見せないメッシにしては珍しい行動だが、よほど腹に据えかねていたのだろう。
●ファン・ハール嫌いは他のアルゼンチンの選手たちにも浸透していて、メッシの盟友ディ・マリアもファン・ハール監督時代のマンチェスターユナイテッドで不遇をかこった。のちにディ・マリアはファン・ハールを最悪の監督だったとこき下ろしている。
●上に掲げた映像は、そのメッシの元ネタとなったリケルメのトッポジージョ・ポーズ。リケルメはアルゼンチン代表の一員として、キリン・チャレンジでジーコ・ジャパンとも対戦している他、トヨタカップでボカ・ジュニアーズの一員としても来日している。古典的な10番タイプのファンタジスタで、モダンフットボールとの相性はよくない。ゴールしたときの両手を耳の横で広げるポーズについて尋ねられた際、「娘がトッポジージョを好きだから」と言ったそうなのだが、それは方便みたいなものだろう。見たままに解釈するのが自然だと思う。この歓声を聞け、と。
December 23, 2022
ワールドカップ2022カタール大会をふりかえる
●さて、忘れないうちにワールドカップ2022カタール大会を総括しておこう。今大会、競技面に関していえば、近年のワールドカップでもっとも盛り上がった大会になったと思う。ニッポンがドイツとスペインを破ってグループリーグを1位で突破するという、だれも予想しなかった大健闘を見せた。が、ニッポンだけではなく、世界中のサッカーファンにとってエキサイティングな大会だったんじゃないだろうか。理由はいくつかある。ひとつは決勝戦が劇的な名勝負になったこと。アルゼンチンが優勝し、伝説として語り継がれるであろうメッシが最後の大会で栄冠を勝ち取った。そんなストーリー性も満足度を高めてくれる。久々にヨーロッパ以外のチームが優勝したのも大きい。ワールドカップが欧州選手権になってしまうと盛り上がらない。おおむねワールドカップは、欧州/アフリカで開催されると欧州のチームが優勝し、南米/アジアで開催されると南米が優勝するのだが(例外は2回ある)、今回もその法則が適用された。あとは、正直なところ、事前の期待値が低かったせいもある。サッカーの熱狂がまるで感じられないカタールで開催され、気候を理由に秋に開催するなどの無茶がまかり通ってしまい、始まる前からこの大会は失敗であり、マネーの力に屈した大会だという屈辱感があった。だが、終わってみたら予想外によい大会になった。それは競技内容そのものがすばらしかったということに尽きる。
●今大会はいくつも従来から大きな変化があった。大会前から各国のリーグで採用されていたものではあるが、5人交代とVARはサッカーを変えたと思う。コロナ禍から生まれた5人交代(ただし交代回数はハーフタイムを除いて3回まで)ルールのおかげで、厳しい日程にもかかわらず「消耗戦」にならなかった。5人交代はベテランの活躍も後押ししたのでは。従来、キーパーとセンターバック以外は32歳にもなればそろそろトップレベルでは厳しい印象だったが、今大会ではメッシ35歳をはじめ、オリヴィエ・ジルー36歳、モドリッチ37歳、クリスチャーノ・ロナウド37歳など、ベテラン勢が目立った。ネイマールですらもう30歳なのだ。交代枠のおかげだけではないとは思うが、場合によっては前半だけでお役御免という起用法も可能になったのは大きい。それとVARに関しては、どちらかといえば攻撃の選手が恩恵を受けていると思う。すぐにPKチェックが入るので、ペナルティエリア内でディフェンダーが慎重なプレイをするようになった。
●過去の大会よりゴールが増えたという話もあったが、それに関してはアディショナルタイムが長くなったことも影響しているはず。厳密にアディショナルタイムを取ることになり、7分や8分はあたりまえといった調子。実はこれはあまりうれしくない。ただでさえ長い試合がさらに長くなる。実質、前後半それぞれ50分はかかるイメージ。だったら45分ハーフじゃなくて、もう40分ハーフにしてしまえばいいんじゃないの。時間稼ぎのプレーは減ってほしいけど、試合そのものが長くなるのはうれしくない。
●あまり話題にならなかったが、女性審判が参加した。フランス人の女性審判が史上初めて主審を務めた。日本からは山下良美さんが参加。ただ、「6試合で第4審判を務めた」ということなのだが、主審が無理でも、せめて副審くらいは任せてほしかったという思いも残る。ワタシはJFLの試合で山下さんが主審を務めた試合を観戦したことがあるので、心情的には応援モード。ワールドカップで主審を務める雄姿を見たかった。
●今回、開催国カタールはまったくいいところがなかったけど、代わってモロッコ代表がアラブ世界の代表としてベスト4に入る健闘を見せた。モロッコ対フランス戦の場内の雰囲気は、あれがアフリカ対ヨーロッパではなく、アラブ対ヨーロッパなのだということを知らしめたと思う。フランスがボールを持つたびに出るブーイングにはいろんなニュアンスがあったんじゃないかな……。フランスといえば決勝戦後のセレモニーにマクロン大統領が出てきたが、まったく場違い。自国開催ですらないのに、なんのつもりなのか。世界中のサッカーファンが心のなかでブーイングをしたと思うが、ひょっとしてそこまで計算に入れてカタールはマクロンの乱入を許したのかも、と思わなくもない。
December 19, 2022
アルゼンチンvsフランス 最後に訪れた戴冠式 ワールドカップ2022 決勝
●一か月に及んだワールドカップ2022カタール大会もついに決勝戦。キックオフが日本時間の24時で意外にも早い時間帯。暑さは?と思ったら、12月も後半に入りさすがのカタールの空気もひんやりとしてきた、らしい。アルゼンチン対フランス、そしてメッシ対エムバペの決勝戦は、決勝戦らしからぬスペクタクルになった。
●アルゼンチンは4-3-3の布陣。34歳ベテランのディ・マリアを左ウィングで先発させた。本来の右ではないが、右にはメッシがおり、中央に運動量豊富なアルバレスがいる。フランスは試合前、感染症で体調を崩す選手が多かったと言うが、ふたをあけてみればどうということもなく、4-3-3の布陣。前評判では(自分の予想でも)完成度の高いフランスが押す展開になると思われていたが、序盤からアルゼンチンがハイテンションで立ち向かい、なんとフランスが守勢に回る。ディ・マリアは動きにキレがあり、持ち前の技術の高さで左サイドを支配、対面するクンデをちんちんにする無双ぶり。そのディ・マリアが左サイドからカットインしてエリア内に切れ込んだところをデンベレが後ろからひっかけてPK。誘って取ったPKという感も。PKをメッシがキーパーの動きを見て落ち着いて決めて前半23分にアルゼンチンが先制。さらに前半36分、アルゼンチンは自陣から流れるようなパスをダイナミックにつなぎ、右からマカリスターが入れたラストパスを走り込んだディ・マリアが決めて2点目。ディ・マリアの大活躍で2点リードする予想外の展開になった。フランスはデシャン監督が前半41分のタイミングでデンベレとジルーを下げて、コロムアニとテュラムを入れる早い決断。これでテュラムを右サイドに置き、ここまで目立たないエースのエムバペを中央に置く布陣に。
●前半はそのまま終了し、後半半ば、アルゼンチンはディ・マリアを下げて、4-4-2のブロックで守る態勢に入る。これで試合が終わると思えたが、後半34分、フランスはコロムアニがオタメンディに倒されてPKを獲得。エムバペが決めて1点差。その直後、エムバペがテュラムとのワンツーで抜け出して、浮き球を美しいボレーで叩き込んで同点弾。あっという間に追いついてしまった。
●2対2のまま延長戦に突入すると、延長後半3分、アルゼンチンはゴール前の細かいパス交換からラウタロ・マルティネスがシュート、キーパーのロリスが弾いたところをメッシが蹴り込んでゴール。今度こそ試合が決まったと思ったが、延長後半13分、フランスは相手のハンドから得たPKをエムバペが決めて3対3の同点。これはシュートのブロックに入ったモンティエルの腕にたまたま当たってPKとなったもの。試合は盛り上がるが、判定としてはつまらない。こんなPK、1点ではなく0.5点にしたいくらいだ。
●延長戦の終盤に両者ビッグチャンスを迎えたが決まらずPK戦に。コイントスで、フランスが統計的に有利な先攻を得たものの、2本目、3本目を失敗。全員成功させたアルゼンチンが勝者となった。そもそもPK戦は「試合は引分けたが、先に進む勝者を決めるためのもの」と考えると、決勝戦にPK戦が必要なのか疑問も感じるのだが、とはいえ両者優勝では盛り上がらないのもたしか。それにしても、この試合もそうだが、大会全体を通して「PK」が主役になりすぎているとは思う。あと、PKを下に蹴る選手が多かったのも印象的(ニッポンもそうだったが)。一時期、上に速いボールを蹴れば読まれても止められないとして、上に蹴る選手が増えたと思っていたが、今は明らかに下が多い。きっと根拠があるのだろう。ともあれ、ハンドによるPKと、PK戦はルール再考の余地があると思う。
●内容的にもアルゼンチンが勝者にふさわしいと思っていたので、PK戦に勝ってくれてよかった。メッシが自身に唯一欠けていたタイトル、ワールドカップ優勝を手にしたのもうれしい。35歳なので最初で最後の優勝だろう。メッシはマラドーナも含めて歴史上最高のプレーヤーだと思うが、あまりにも傑出しているがゆえに、不合理な批判にさらされることが多かった。重圧から解放され、セレモニーで家族と一緒に喜びあう姿が印象的。そして、なぜかセレモニーに加わっているフランスのマクロン大統領。はっきり言って、場違いだ。
アルゼンチン 3(PK4-2)3 フランス
娯楽度 ★★★
伝説度 ★★★★
December 15, 2022
フランスvsモロッコ スーパースターの大会 ワールドカップ2022 準決勝
●もうひとつの準決勝はフランス対モロッコ。前回王者のフランスはグループリーグから圧倒的な強さを見せながら順当に勝ち上がってきた。モロッコはアフリカ勢として初のベスト4進出。というよりはアラブ勢として、というべきか。場内は完全にモロッコ・ホームで、フランスがボールを持つとブーイングが出るほど。
●フランスはラビオとウパメカノのふたりが不在、モロッコはアマラーとアティヤットアラーがベンチスタート。モロッコはセンターバックを3枚にして5バックでブロックを敷く布陣。ニッポンがドイツやスペイン相手に成功を収めた試合を思い出させるが、開始早々の前半5分にいきなり失点してしまう。ゴール前の混戦からエムバペのシュートがこぼれたところに、テオ・エルナンデスが浮き球を鮮やかなボレーで決めて、フランスが先制。
●早い時間帯の失点はモロッコにとって大誤算だったと思うが、その後、センターバックのサイスが負傷交代して4バックに変更。本来の4バックのほうが中盤の厚みも増し、モロッコは攻撃が機能し始める。これを見ると、最初からいつも通り4バックにしていればと思わなくもないが、一方でフランスが先制していたのでモロッコにボールを持たせたとも言える。フランスになんどか決定機が訪れたが、モロッコは前半を1失点で耐えた。モロッコは前半45分、エルヤミクによるアクロバティックなオーバーヘッドシュートが最大の見せ場。枠をとらえていたが、フランスのキーパー、ロリスがファインセーブ。
●後半はモロッコがボールを持ち、フランスがカウンターを狙う展開に。フランスはジルーを下げてテュラムを投入。あのフランス大会でフランスが初優勝したときのリリアン・テュラムの息子だ。父は名ディフェンダーだったが、その父のアドバイスでフォワードになったのだとか。やはりアタッカーのほうが脚光を浴びるからなのか。後半34分、左サイドのテュラムからパスを受けたエムバペがゴール前の密集地帯をすり抜けるようなドリブルで突破、シュートが相手ディフェンダーに当たって右に流れたところに、途中交代で入ったばかりのコロ・ムアニが楽々と押し込んで追加点。コロ・ムアニはファーストタッチがゴール。これで勝負は決まり。2対0でフランスが完勝。あと一歩で1950年以来のヨーロッパ不在の決勝戦が実現するところだったが、フランスが強すぎた。
●決勝はアルゼンチン対フランス。波乱の多い大会と言われたが、最後はみんなが見たいカードが実現したのでは。モロッコが決勝まで勝ち進めばカタール大会が「アラブの大会」として記憶される可能性もあったわけだが、どうなんだろう、ヨーロッパの人々にはほっとした気持ちもあるんじゃないだろうか。
●今大会、異例の秋開催のため、各国とも準備期間がほとんど(あるいはまったく)なく、ぶっつけ本番ワールドカップのようになった。だから波乱が起きるのではないかと予想していたが、準備期間がないからこそ(そしてシーズン中でコンディションが万全だったからこそ)、アルゼンチンのメッシとフランスのエムバペという突出した個の能力で試合が決まった感が強い。決勝はメッシとエムバペのスーパープレイの応酬になればおもしろいが、だいたいは堅い試合になるんすよね。
フランス 2-0 モロッコ
娯楽度 ★★
伝説度 ★
December 14, 2022
アルゼンチンvsクロアチア 王様と従者たち ワールドカップ2022 準決勝
●異例の秋のワールドカップもとうとう準決勝。アルゼンチン、クロアチア、モロッコ、フランスの4チームが残った。ここからは一日一試合のみの開催で、まずはアルゼンチン対クロアチア。ともに中心選手が明確で、アルゼンチンは4-4-2でトップにメッシ、クロアチアは4-3-3で中盤にモドリッチがいる。両者はまったく対照的で、メッシは多くの時間を歩いており、前線からの守備にエネルギーを浪費しない。一方、モドリッチは神出鬼没で、ビルドアップの場面にはディフェンスラインに加わる形で最後方からチームをサポートし、一方で前線にも顔を出してプレスにも参加する。後ろにも前にもいるモドリッチ。
●前半はお互い慎重で膠着状態が続いたが、前半32分から一気に試合が動く。アルゼンチンのフェルナンデスから浮き球の縦パス一本に抜け出たアルバレスが、飛び出してきたキーパーのリバコビッチとぶつかってPK。この判定にクロアチア側は納得がいかないようだが(VARもなかった)、メッシがPKを決めて先制。ここまでPK阻止で大活躍してきたリバコビッチだが、メッシは右上にズドンと蹴り込んだ。人類には絶対に止められないというコースとスピードなので、キーパーの技術も読みも関係なく決まる。さらに前半39分、相手コーナーキックからアルゼンチンがカウンターアタック、ハーフウェイライン手前からアルバレスが大爆走。左にフリーの選手がいたが、中央を突進、相手ディフェンスに2度もボールを触られながらも、その度にボールがアルバレスに帰ってきて、そのままシュート。ややツキもあったが、これで2点目。
●粘りのクロアチアもさすがに前半で2点を奪われると、動きが重い。選手たちの疲労も蓄積しているようで、高さの勝負に頼りがち。次々と交代選手を投入するがゴールが遠い。後半24分、メッシが右サイドからドリブルで深い位置まで斬りこんで、折り返したところをアルバレスが楽々とゴール。3対0でアルゼンチンが完勝した。
●アルゼンチンも5人の交代枠を使い切って選手を入れ替えるんだけど、35歳のメッシは下げない。なるほどと思ってしまった。走らないメッシを下げるよりも、メッシの分まで走り回らなきゃいけない選手たちを下げて、次の試合にフレッシュな状態にしておくことのほうが大切だというのは理にかなっている。メッシという超越的な異能を前提としたアンチ・モダンフットボール。それでペナルティエリア内の細かいパス交換とかドリブル突破など、ファンが見たいスペクタクルを見せてくれたのだから言うことなし。メッシ時代以降、アルゼンチン代表はあまりにメッシ依存度が高く、もっと別の戦い方のほうが強いんじゃないかと疑っていたが、アルゼンチンは2014年ブラジル大会以来の決勝に進出した。
アルゼンチン 3-0 クロアチア
娯楽度 ★★★
伝説度 ★★
December 11, 2022
モロッコvsポルトガル イベリア半島制圧 ワールドカップ2022 準々決勝
●ワールドカップ準々決勝二日目、スペインをPK戦の末に制したモロッコは、今度はポルトガルと対戦。ジブラルタル海峡を渡りイベリア半島へと進撃するモロッコ。スペイン戦と同様、相手にボールを持たせて、堅い守備を武器にカウンターをくりだす試合展開に。ポルトガルは前の試合に続いてクリスティアーノ・ロナウドがベンチ。前のスイス戦で代役の若いゴンサロ・ラモスがハットトリックの大爆発を見せたのだから、勢いのある若手をそのまま先発させるのはフェルナンド・サントス監督ならずとも自然な考え方だろう。
●ポルトガルは技術が高く、スペインよりも攻撃のアイディアが豊富。モロッコのディフェンスをたびたび脅かすが、決めきることができない。押され気味のモロッコだったが、前半42分、左サイドからアティヤットアラーがクロスボールを放り込むと、中央でジャンプしたエンネシリが驚異的に高い打点からヘディングで合わせて先制ゴール。ニッポンが失点した場面にも言えることだが、クロスを入れる選手に対してノープレッシャーだと、本当に中でドンピシャで合ってしまう。この後、ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドらを投入し、惜しいチャンスをなんども作ったが、守ると決めたモロッコは堅い。そのまま1点を守って逃げ切った。モロッコの、そしてアフリカ勢の初のベスト4進出が決まった。ここまで劇的な試合が多かっただけに、この逃げ切りはやや味気ない気もしたが、実際にはワールドカップは先に進むほどこういう試合が増えるのが常か。
●過去21回の歴代ワールドカップを振り返ると、2度の例外を除いて、欧州/アフリカで開催した場合は欧州が優勝し、北中南米/アジアで開催した場合は南米が優勝している(例外は1958年スウェーデン大会のブラジル優勝と2014年ブラジル大会のドイツ優勝)。今回はアジアなので南米優勝の可能性が高いという見方もできるが、カタールがアジアなのはFIFAの分類にすぎないわけで、初めてのアラブ世界での開催とみなせば、アラブの一員であるモロッコこそが優勝にふさわしいのかもしれない。
モロッコ 1-0 ポルトガル
娯楽度 ★★
伝説度 ★★★
December 10, 2022
クロアチアvsブラジル 延長戦の王者 ワールドカップ2022 準々決勝
●ニッポンと引き分けてPK戦で準々決勝に進出したクロアチアは、ブラジルと対戦。前の韓国戦では4対1のお祭りサッカーをくりひろげたブラジルだが、この試合はまったく違った渋い展開になった。クロアチアは意外と前線からプレスをかけてくる。個々の守備能力が高く、ブラジル相手に一歩も引くことのない戦いぶりで、なんと前半はボール保持率でブラジルを上回った! 時間帯によってはブラジルがブロックを敷いて守る場面もあったほど。運動量も豊富。
●クロアチアはやはりモドリッチが獅子奮迅の働き。今大会、ニッポンは4バックのところを3バックにして(つまりセンターバックを1枚増やして)強豪と対戦していたが、そこには後ろを一枚増やさないとボールを持てない、ビルドアップができないという事情があったと思う。クロアチアの場合はどうするかというと、中盤のモドリッチがバックラインに入ってビルドアップに参加する。ブラジルはネイマールが守備をしないので、モドリッチはネイマールの近くでボールを持つと、余裕を持って前にボールを供給できるのだ。その一方、ブラジルがディフェンスラインでボールを持っているときには、気がつくとモドリッチが前線にいて、相手にプレッシャーをかけていたりする。前に行ったと思ったら、後ろに帰ってくる。モドリッチが戻りっち。これがクロアチアの生命線。
●しかし、後半の後半あたりからさすがのクロアチアにも疲れが見え、次第に耐える展開に。モドリッチが戻れないっちになる。キーパーのリバコビッチのファインセーブもあって、かろうじて持ちこたえたものの、延長戦に入るともはや限界に。ブラジルの華麗なパス回しから中央突破したネイマールがキーパーを交わして、先制ゴール。これで決まりと思った試合だったが、延長後半12分、オルシッチがドリブルでペナルティエリア左に侵入、折り返したところをペトコビッチがシュート。これが相手ディフェンスに当たって角度が変わり、ゴールに吸い込まれた。もう執念のゴールと呼ぶしか。ブラジルにとっては不運な失点。1対1の同点。
●PK戦ではクロアチアが有利な先攻をゲット。ブラジルは最初のロドリゴと4人目のマルキーニョスが失敗。日本戦に続いてまたしてもPK戦でリバコビッチがヒーローになった。それにしてもクロアチアのメジャー大会における延長戦突入率の高さと、その突破率は相当なものでは。この後もすべて延長PK戦で優勝してくれたら最高だ。そもそもクロアチアはこの大会で1勝しかしていない。5試合やって、1勝4引分け(記録上、PK戦は引分け扱い)。カナダに1勝しただけで優勝したら……それは伝説。
●ちなみにもう一試合、オランダ対アルゼンチンはやはり延長PK戦でアルゼンチンが準決勝に進出した。この試合はかなり荒れた内容になった。アルゼンチンが2点リードして何事もなく終わりそうだったのが、選手同士の余計な揉め事をはさみながら、オランダが2点を追いついた。PK戦でも選手間の挑発などがあったようで、詳しいところまではわからない。
●今回、ABEMAが全試合無料ネット配信してくれたのはありがたいのだが、ライブでは高画質なのに、見逃し配信だと画質がいまひとつ。なので深夜の試合はなるべくテレビ中継の録画を観たいのに、全部の試合は放送してくれない。クロアチアvsブラジル戦はテレビ放映があったが、オランダ対アルゼンチンはABEMAのみ。ABEMAに見逃し配信でも高画質になる有料オプションがあればいいのにと思うが、そういうものは見当たらない。
クロアチア 1(PK4-2)1 ブラジル
娯楽度 ★★★
伝説度 ★★★
December 8, 2022
モロッコvsスペイン ジブラルタル海峡対決 ワールドカップ2022 ラウンド16
●さて、ワールドカップはベスト8が出そろった。ラウンド16のモロッコ対スペイン戦は、延長戦まで戦って0対0。PK戦になって、なんと、スペインは3人連続失敗して大会を去ることになった。PK戦といえばニッポンもこれでクロアチアに敗れたわけだが、スペインのルイス・エンリケ監督は試合前に「選手たちに大会に向けてPKの練習を1000本するように命じてある」といい「PKはクジではない。練習すればうまくできる」と豪語していたという。それでもスペイン代表の名手たちが全員外してしまうのがPK戦。ルイス・エンリケ監督の発言こそが、逆説的にPK戦はクジであることを示しているようにも思う。
●しかも、なにがカッコ悪いかといえば、ルイス・エンリケ監督は延長戦の終盤で途中交代で出場していたニコ・ウィリアムズを下げて、わざわざPK戦要員としてパブロ・サラビアを投入していたのだ(そして彼は一人目に蹴って失敗した)。ニコ・ウィリアムズはチャンスを作っていただけに、この策はなんとも間が悪い。そしてニコ・ウィリアムズはもう監督を信頼しないだろう。PK戦について確実に言えることは、統計的に先攻が明白に有利であるということくらい。
●で、試合内容だが、モロッコは5バックこそ敷かなかったものの、ニッポン対スペイン戦を参考にしたかのような戦いぶりだった。試合序盤からスペインにボールを持たせて、自陣にブロックを敷いて、粘り強く守りながらカウンターのチャンスを狙う。ボール支配率もパスの本数も成功率もスペインが圧倒的に高かったのだが、実際には数字とはうらはらに五分の戦いだと感じた。というのも、スペインに決定的なチャンスをクリエイトする力が不足しており、むしろモロッコのほうが質の高いチャンスを作っていた。120分で、スペインの枠内シュートはセットプレイからの2本だけ。同じパスサッカーをしていると言っても、かつてのシャビやイニエスタがいた「ティキタカ」全盛期とはだいぶ違っている。内容的にはニッポン戦よりも低調だったかも。
●これでアフリカ勢が一か国だけベスト8に残った。もっとも「アフリカ勢」という呼び方にどれだけ意味があるかとは思う。4年前のワールドカップ2018ロシア大会テレビ観戦記にも書いたことだが、アフリカのヨーロッパB化が進んでおり、アフリカといってもヨーロッパの育成組織の出身だったり、そもそもヨーロッパの生まれや育ちだったりする一方、ヨーロッパの主要強豪国はアフリカにルーツを持つ最高の選手たちを代表選手に迎えている。象徴的だったのは、グループステージでのスイス対カメルーン戦。スイス代表のエンボロがゴールを決めた瞬間、ぐっとこらえて歓喜のポーズを自制した。この選手のことを知らなかったけど、なにが起きたかはすぐに察した。エンボロはカメルーン生まれの選手なのだ。子供の頃にフランスに移り、その後、スイスで暮らしている。スイスとカメルーン、どちらの代表になることもできただろうが、スイス代表を選んだ。そして、大舞台で母国と対戦することになり、決勝点となるゴールを決めた。ニッポン代表の選手たちがよく言う「国を背負って戦う」という概念がここではかなり複雑化している。
●ベスト8の対戦カードはクロアチア対ブラジル、オランダ対アルゼンチン、モロッコ対ポルトガル、イングランド対フランスに決まった。モロッコはスペインを破って、さらにポルトガルと対戦するのがおもしろい。この勢いで優勝しないだろうか。異例づくめのカタール大会だけに「初優勝国」が誕生するのではないかと期待している。ちなみにモロッコ代表を大会前まで率いていたのは、かつてニッポン代表監督を解任されたハリルホジッチで、主力選手との確執から今年8月に解任された。それでレグラギ新監督が快進撃をしているわけで、どうにもハリルホジッチという人はついていないと言うべきなのか、それともそうなってしまう必然があると考えるべきなのか……。
モロッコ 0(PK3-0)0 スペイン
娯楽度 ★
伝説度 ★★★
December 6, 2022
ニッポンvsクロアチア ふたたびPK戦に阻まれる ワールドカップ2022 ラウンド16
●最近、夜更かしはしない主義だったが、ライブでテレビを観る。午前0時からの試合だけど、2時には終わってくれないんすよね、延長PK戦に入ると。だが、試合中に眠くなる瞬間は訪れなかった。決勝トーナメント一回戦、ニッポンは前回準優勝のクロアチアと対戦。クロアチアは37歳のモドリッチが中心選手として健在。団結力がありチームとして戦うという点で、ニッポンと似たタイプ。優勝も狙える強豪ではあるが、個の力ではグループステージで戦ったスペインやドイツほどではない。
●だから、もしかすると森保監督は4バックに戻して、多少攻撃的な布陣にするかも、と期待していた。センターバックの板倉が出場停止で、右サイドバックの酒井が初戦以来ケガから復帰しているので、4バックだとセンターバックを吉田と冨安、あるいは冨安がまだ万全でなければ吉田と谷口で組める。その場合は左ウィングに三笘を先発させるかも……。が、森保監督は現状で機能している布陣を優先する方針で、3バック(5バック調)を採用。GK:権田-DF:冨安、吉田、谷口-MF:伊東、遠藤、守田(→田中碧)、長友(→三笘)-堂安(→南野)、鎌田-FW:前田(→浅野)。序盤は5バック調だったので、ほとんどの時間帯でクロアチアにボールを持たれる展開。相手が攻撃に人数をかけていないのに引きすぎだと思ったが、次第に両サイドの長友、伊東が高い位置まで上がるシーンが増えて、ニッポンもボールを持つ時間が増えるようになる。クロアチアも慎重。しかし前半43分、ニッポンのショートコーナーから堂安が入れたクロスにファーサイドで吉田が折り返したところに、すばやく反応した前田が蹴り込んで先制。とてもよい時間帯の先制点で、クロアチアとしては大誤算だったはず。
●しかし後半10分、クロアチアは右サイドからロブレンがクロスを入れると、これをペリシッチが頭で合わせて同点ゴール。サイドを深いところまでえぐられたわけではなく、なんでもないクロスだったのだが、クロスを上げる選手にプレスをかけなかったため、すごい精度のボールが飛んできてしまった。これはスペイン戦の失点とまったく同じ。この日の悔やまれるプレーはここだけ。その後、一進一退の状況が続き、途中出場の三笘が長い距離をドリブルして惜しいシュートを放つなど見せ場は作ったが、得点には至らず。途中出場の浅野、南野もインパクトを残せない。どちらがゴールを奪ってもおかしくない状況だったが、延長戦に入ると互いにリスクをとらずペースダウンして、PK戦へ。
●ニッポンは統計的に有利な先攻だったが、いきなり南野、三笘が続けてセーブされ、浅野は決めたが、4人目の吉田までセーブされてしまう。枠を外すのではなく、3人もキーパーにセーブされてしまったのだから、これはもうクロアチアのキーパー、リバコビッチの鬼セーブを称えるしかない。クロアチアはワールドカップでもEUROでもいつも延長戦までもつれこんでいる印象があり、相手の型にはまったという気もする。2010年南アフリカ大会のパラグアイ戦と同じく、ニッポンはPK戦にベスト8を阻まれた。PK戦の本質は抽選であり、試合の勝敗としては引分けなので、クロアチアに「負けた」という感覚はない。「勝てなかった」というのが実感。こうなったらクロアチアに優勝してほしい。モドリッチはすでに伝説だが、37歳で優勝したら新たな伝説が誕生する。
●ニッポンの今大会、冨安を筆頭に遠藤、酒井などコンディション面でやりくりが苦しかった。絶対的エースと期待された南野の今シーズンの不調も誤算。谷口、長友にここまで出番が回ってくるとは。守田も本調子には遠い様子。それでもトータルでは史上最強チームだったと思う。5人交代制、VARといった新しいルールを味方につけた戦いも印象に残った。そして、個々の選手が普段から欧州の高いレベルでプレイすることが強化の王道だと改めて感じるとともに、その礎となるのはJリーグのレベルアップであり、中田英寿のいにしえの名言「Jリーグもよろしく」は今なお真実。
●その後のもう一試合はブラジルが韓国に4対1で圧勝。これで決勝トーナメントに進出したオーストラリア、日本、韓国がそろって敗退。明日、モロッコがスペインに勝たない限り、ベスト8は「欧州選手権+ブラジル・アルゼンチン」という毎度おなじみの顔ぶれになって、ここまでの波乱などきれいさっぱり忘れられてしまいそう。
ニッポン 1(PK1-3)1 クロアチア
娯楽度 ★★★★
伝説度 ★★
December 4, 2022
アルゼンチンvsオーストラリア アジア勢の健闘はどこまで? ワールドカップ2022 ラウンド16
●ワールドカップ2022カタール大会は決勝トーナメントに入った。開催国カタールがまったくいいところなく敗退してしまったが(アジア・カップではあんなに強かったのに)、アジアからはオーストラリア、日本、韓国の3チームがグループステージを勝ち抜いた。アジア勢3チームは史上初。敗退したサウジとイランもそれぞれアルゼンチン、ウェールズに勝利しており、これまでのようにアジアは「やられ役」にはなっていない。特に韓国の第3戦はポルトガルに勝利した上で、もうひとつの試合が理想的な結果に終わってくれて大逆転での決勝トーナメント進出で、これにはびっくり。もちろん最大の驚きはニッポンがドイツとスペインに勝って1位通過したことだが。あと、3戦全勝が1チームもない。
●16強の内訳は欧州8、アジア3、南米2、アフリカ2、北中米1。アフリカも健闘している一方、南米はブラジル、アルゼンチンのみ。北中米1はいつものメキシコではなくアメリカだ。
●で、ここからは一発勝負。ラウンド16のアルゼンチンvsオーストラリア戦は、予想通り、アルゼンチンが攻めてオーストラリアがブロックを敷いて守る展開。オーストラリアはファジアーノ岡山のフォワード、ミッチェル・デュークがこの日も先発。J2の選手がワールドカップに出場し、さらに決勝トーナメントで戦っているという未来がここに。ディフェンスのミロシュ・デゲネクも元マリノスの選手。アルゼンチンはやはり35歳になったメッシが中心のチーム。メッシはおおむね歩いている。代わりに他の選手が走る。アルゼンチンはそういうサッカー。前半35分、縦パスを受けたオタメンディがワンタッチで落としたところにメッシが左足を振り抜いて先制ゴール。オーストラリアは前半をこの1失点で凌いだ。
●後半、オーストラリアは前線へプレスをかけ、前に出る。ところが後半12分、前線へのプレスを実らせたのはアルゼンチンのほう。メッシは歩いていても他の選手が走るのだ。デパウルがディフェンス・ラインにプレスをかけ、オーストラリアのキーパー、ライアンがバックパスの処理をわずかに誤って前にボールが流れたところをアルバレスが奪って、ゴールに流し込んで2点目。ふたりの連動したプレスから相手のミスを誘った。悔やまれるのはオーストラリアのキーパーのライアンで、バックパスをそのままダイレクトで蹴り返せばなんでもなかったところを、甘いトラップを刈られてしまった。
●後半32分、オーストラリアはグッドウィンの思い切り打ったシュートが相手ディフェンスにリフレクトしてゴールに入って1点を返す。ここからパワープレイを交えながらオープンな攻め合いになったが、今のオーストラリアは一昔前と違って案外とパワープレイがうまくない。むしろときどき爆発的に躍動するメッシが脅威を与えていた。終了直前にゴール前の混戦からクオルにビッグチャンスが巡ってきたがこれを決めきれず、アルゼンチンが2対1で勝利。アジア勢にはここからの壁が高い。
アルゼンチン 2-1 オーストラリア
娯楽度 ★★★
伝説度 ★
December 2, 2022
ニッポンvsスペイン 伝説はくりかえす、コピペのように ワールドカップ2022 グループE
●朝4時からの試合を5時半から追っかけ再生で観戦した。グループEはすべてのチームに決勝トーナメント進出のチャンスがある状況で、ニッポン対スペイン戦とコスタリカ対ドイツが同時キックオフ。コスタリカ戦で敗れて意気消沈したが、ここでニッポンとコスタリカが勝利すればそろって勝ち抜け、スペインとドイツが敗退するわけで、ひそかにそんな事態を夢見ていた。なにせ大会前はだれもがグループEは2強2弱の無風区と決めつけていたのだから。
●試合は奇妙なくらいドイツ戦と似た経緯をたどった。ただしニッポンは最初からセンターバックを3枚にして3バック、いや、もう完全に5バック。左の長友はともかく、右のウィングバックと思われた伊東までディフェンスラインに吸収されている。中盤のキープレーヤー遠藤はベンチ、冨安もベンチで、谷口がセンターバックの一員として大会初出場。GK:権田-DF:伊東、板倉、吉田、谷口、長友(→三笘)-MF:田中碧(→遠藤)、守田-久保(→堂安)、鎌田(→冨安)-FW:前田大然(→浅野)。
●前半は一方的なスペインペース。開始早々に高い位置で奪って伊東がシュートを打つなどチャンスはあったが、以降はひたすら耐える展開。前半11分にスペインはモラタのヘディングシュートであっさり先制。完全に右サイドバックの位置まで下がる伊東。前田はプレスをかけるだけで疲弊する。センターバック3人が3人とも前半のうちにイエローカードをもらう厳しい展開。スペインの攻撃を凌いで、ようやくボールを奪っても、それが次につながらない。この相手にはもう一段階、技術に精度がないとボールが持てない。前半だけで3失点くらいしてもおかしくない内容で、ドイツ戦と同様、1失点で済んだのは運もあったと思う。
●後半、森保監督は長友を三笘に、久保を堂安に交代。前線からのプレスがはまり、後半開始早々の3分、右サイドから中に入った堂安の豪快なシュートが相手キーパー、シモンの手をはじいて同点ゴール。得意の形。これもドイツ戦の再現のよう。さらに後半6分、堂安のパスにファーサイドでゴールラインぎりぎりで追いついた三笘が折り返し、中央に走り込んだ田中碧が押し込んで逆転!……なのだが、これはゴールラインを割っていたように見えたので、VARでゴールが取り消されるはずだと思った。どう見てもラインを割っていたように見えたので、こちらも喜ぶことなく冷静に待っていたら、な、なんと、VARの結果ゴールが認められた! ええっ。が、これはもちろんビデオで確認したのだから判定は正しいのだ。肉眼ではラインを割っているように見えても、上から見ればボールの端がわずかながらラインに残っていたっぽい。ビデオ判定がなければ認めてもらえなさそうなゴールで、これはテクノロジーの恩恵。
●さすがのスペインも逆転されると前半がウソのように動きが悪くなり、しばらく一進一退の時間帯が続く。スペインは選手交代で攻勢を強め、ニッポンは遠藤、冨安といった守備のキープレーヤーを投入。終盤はふたたび一方的にスペインが攻める展開になったが、ニッポンは権田の好セーブもあって守り切った。まさかの逆転勝利、ドイツ戦の再現。ニッポンはグループ1位で決勝トーナメント進出を決めた。ニッポンのボール保持率は17.7%。これはワールドカップ史上、もっとも低い保持率での勝利なのだとか。かねてよりボールを保持するスタイルを「自分たちのサッカー」に掲げていたチームが、保持しないことの有利さを大舞台で証明するとは。
●コスタリカ対ドイツ戦も、前半終了時にはドイツがリードしていたが、後半にコスタリカが逆転する時間帯があった。そのわずかな時間、ニッポンとコスタリカが進出、スペインとドイツが敗退するという順位が実現していたのだが、ドイツが追い付き、さらに逆転してしまった。ドイツがしぶとく勝ってくれたおかげで、スペインは負けても2位通過できるという状況だったので(しかも2位通過のほうが後の対戦相手が楽)、最後の最後はスペインも無理をする必要はなかった。もっとも、ピッチ上の選手たちはコスタリカが逆転したことも、ドイツが再度逆転したことも知らなかったかも。逆にドイツの選手たちは、まさかニッポンがスペインに勝つとは思っていなかっただろうから、勝利したのに敗退が決まったことをすぐには受け入れられなかったかもしれない。
ニッポン 2-1 スペイン
娯楽度 ★★★★★
伝説度 ★★★★★
December 1, 2022
イランvsアメリカ クラシックvsモダン ワールドカップ2022 グループB
●ふう。今日は純粋にサッカーの話題だ。今回のグループステージでも必見のカード、イラン対アメリカ。もともと両国の関係から注目度の高い試合だが、両チームとも勝てばグループステージ突破が決まるという熱い状況での対戦になった。地の利を生かしてイランは観客席を味方につけるが、案外とアメリカのサポーターも多いのが驚き。ワールドカップならではのひりひりするようなタフなゲームになった。主審も簡単には笛を吹かないジャッジ。見ごたえのある試合に。
●両チームのカラーは対照的。イランはケイロス監督が復帰したのがはたしてよかったのかどうか……。堅守速攻のクラシカルなスタイル。開始早々こそ観客席に後押しされて攻め合いになったが、すぐに守りの姿勢に。一方、アメリカはコレクティブなモダン・サッカー。全員が欧州のクラブに所属し、ビッグクラブの選手も何人かいるうえに、全体が若く、スピードも運動量もある。前回対戦したときに感じたことだが、わりとニッポンと似ている(そのときはこちらが一枚上手とは思ったが)。イランは守ってボールを奪っても、周囲の選手のサポートが少なく、攻撃がつながらない。トップのアズムンの運動量があまりに乏しい。次第にアメリカの攻撃に耐えられなくなり、前半38分、プリシッチに決められて失点。
●後半頭からイランはアズムンを下げてサマン・ゴドスを投入。最初からこうすればよかったのに。タレミが核となって攻める。アメリカは後半半ばから5バックにして守り切る姿勢にチェンジ。高さとパワーで勝るイランはロングボールを用いながら、猛攻を繰り出す。ただ、これが拙攻気味で、プレイが雑なのと、選手の連動性が足りないために、決定機が少ない。気になったのは終盤になるとイランが主審のほうを向いてプレイすること。この状況で不要なアピールは損なのに。結局、アメリカが逃げ切った。イランはアジアではめっぽう強い反面、ワールドカップは6度目の挑戦にして一度も決勝トーナメントに進出できていない。中東中心の「アジアの戦い」に最適化しすぎていて、FIFAの「世界の戦い」になると勝手が違うのかな……と思わなくもない。ともあれ、アジアの好敵手イランが勝利できなかったのは本当に残念。アジア勢ではいちばん可能性が高いと期待していたのだが。
イラン 0-1 アメリカ
娯楽度 ★★★
伝説度 ★
November 27, 2022
ニッポンvsコスタリカ さらば伝説……? ワールドカップ2022 グループE
●あーあ、サッカーって、こういうスポーツだったよなあ……(嘆息)。試合前はなんとなく楽観的になっていた、すなわち、ドイツ戦の逆転勝利でテンションMAXのニッポンがコスタリカを一蹴する。でも、案外、熱い試合の後は0対0のドローなんてこともあるかも。なんて思っていたら、0対1で負けてしまった!コスタリカがたった一本打った枠内シュート、ほぼ唯一のチャンスでゴールが決まり、試合が決まる。サッカーでこういう試合は無数にあるものだが、ここでそれが来るのか。
●まず先発だが、森保監督はメンバー5人を入れ替えてきた。一般的にいえば、かなり大胆なターンオーバーだが、ワタシはほぼ全員入れ替えるんじゃないかと予想していたので、むしろおとなしいと思ったほど。ただ、トップの上田、左の相馬はかなり意外な起用。ここで南野が先発しないのはよほど本調子に遠いのか。浅野、三苫も先発確定かと思いきやベンチ。GK:権田-DF:山根(→三笘)、板倉、吉田、長友(→伊藤洋輝)-MF:遠藤、守田-堂安(→伊東)、鎌田、相馬(→南野)-FW:上田(→浅野)。酒井と冨安は負傷でベンチ外。
●前半の冒頭だけは勢いよくニッポンが攻め込み、期待を抱かせたものの、その後は見せ場の少ない展開に。お互いに慎重で、前線からのプレスも弱い。前半、ニッポンにシュートらしいシュートはなかったのでは。コスタリカは5バック。前半途中からニッポンは3バックに変更。ドイツ戦ではハマった策だが、これはあまり功を奏したようには見えず。後ろでは容易にボールを回せるのだが、前に収まりどころがなく、上田のポストがまるで機能しない。
●後半の頭から、上田を浅野に、長友を伊藤に交代。その後、山根を三笘に代えて攻撃力を高めるのだが、なかなか三笘が高い位置で前を向いてボールをもらえない。前にスペースが欲しい三笘と、チャンスがあれば前に出たい左センターバック伊藤の組合せがよろしくない。それでも終盤に三笘が2度、ドリブルで相手を抜き去ってペナルティエリア奥深くまで侵入する得意の形を作った。あれを2回やって2回ともコピーのように成功してしまうというのもすごい話だが、どちらも中で決められなかったのにはがっかり。後半、ニッポンのチャンスはかなり増えたが、途中からニッポンの守備が少し軽くなった時間帯があり、そこでコスタリカは唯一のチャンスを決めてしまった。あと、ニッポンはファウルで止める場面がやたらと多いのは気になった。
●サッカーの難しいところは、終わった後でなにを言っても結果論でしかないということ。ドイツ戦で森保監督が後半から3バックに変更し、守りが弱くなるのを承知で次々と攻撃の選手を入れたのは名采配と称えられたが、同じことを10回やって5回勝てるかといえば、たぶん勝てない。浅野のあのトラップとシュートはまれにしか発動しないし、ドイツはあんなにシュートを外さない。コスタリカ戦の森保采配は意味不明に思えるが、同じことを10回やって5回勝てるかと問われると、まあ勝てるんじゃないかという気はする。コスタリカの勝利への道筋はすごく狭かったのはたしか。イランのケイロス監督は初戦で臆病な采配をしてイングランド相手に大敗して叩かれたが、第2戦でウェールズ相手に完勝すると胴上げされてヒーローになっていた。昨日の愚か者は今日の英雄。そう思ったものだが、森保監督はその逆でこれからずいぶん批判されるのだろう。足りなかったものを指摘するのは容易だし、ミスももちろんたくさんあった。サッカーはミスのスポーツ。両チームがミスをしなければすべての試合は0対0で終わると言ったのは誰だったか。
●アジアの健闘ぶりが光っているように見えた大会序盤だが、ニッポンはこれでだいぶ決勝トーナメント進出が厳しくなった。少なくともスペイン戦で勝点が必要だと思うが、細かい条件はこの後のスペイン対ドイツ戦が終わってから見ればいいのか。ここまでのアジア勢を見てみると、サウジはアルゼンチンに勝ち、ポーランドに敗れた。オーストラリアはフランスに敗れ、チュニジアに勝った。イランはイングランドに敗れ、ウェールズに勝った。韓国はウルグアイに引分け。カタールは連敗。まあ、普段の大会でアジア勢が勝つ試合はとても少ないので、ここまで大健闘しているのはたしか。問題は決勝トーナメントに何チームが進出できるか。
ニッポン 0-1 コスタリカ
娯楽度 ★★
伝説度 ★★
November 24, 2022
ドイツ対ニッポン ドーハの歓喜、そして伝説へ……? ワールドカップ2022 グループE
●Goooooooooooal!!!!!!! GolGolGolGolGolGol Gooooooooooooooaaaal!!!!! で、伝説だ。堂安ゴル。浅野ゴル。特に逆転の浅野ゴル。本物の伝説のゴールだ。これは2002年10月11日に世田谷区の砧公園の草サッカーでワタシが決めた伝説の俺ゴール以来の伝説のゴール。伝説を連呼してゲシュタルト崩壊を起こすほどの伝説すぎる伝説。
●まさかニッポンがドイツ代表相手にワールドカップで逆転勝利を収めようとは。しかも、ここまでさんざん批判されてきた森保監督だが、この試合は森保采配で勝ったようなもの。脱帽するしか。先発は怪我人の影響を除けば想定通り。GK:権田-DF:酒井(→南野)、板倉、吉田、長友(→三笘)-MF:遠藤、田中碧(→堂安)-伊東、鎌田、久保(→冨安)-FW:前田大然(→浅野)。前半は完全にドイツのペース。ほとんどの時間帯でドイツがボールを支配し、個の力の差を痛感。ニッポンは試合の入り方は悪くなく、序盤は前田と鎌田でプレスをかけながら組織的に粘り強く守り、ボールを奪ったらカウンターという形が見えていた。前半8分に右サイドの伊東から鋭いクロスが入り、なかで前田が決めるという形があったが、これはオフサイドでノーゴール。ただ、その後はたまにニッポンがボールを奪っても、攻撃につなげられず、すぐにまた守って耐えるという展開に。守備にエネルギーを使って消耗するばかり。ドイツの攻撃は効率的で力強く、パスを回しながら空いたスペースにどんどん選手が走り込む。なんどもピンチを迎え、前半33分、権田のファウルからPKをとられてギュンドアンが先制ゴール。その後もドイツになんどもゴールを脅かされ、このまま失点を重ねて大敗してもおかしくないという流れ。前半を1失点で凌げたのは幸運だったと思う。
●後半頭から、森保監督は久保に代えて冨安を投入して、布陣を3バックに変更。久保は前半から相手のフィジカルに屈する場面が目立ったので交代はあるかと思ったが、コンディション不良だった冨安を入れるとは。この布陣の変更が効いた。3バックとはいえ、センターバック3枚にウィングバックに長友、酒井が残るという5バック調になった。前半、ニッポンの守備時にドイツがひとり余る形が多かったので、その穴をふさぐ効果もあったが、それ以上に後ろに一枚増えたことで、後方からボールをつないでビルドアップができるようになった。もちろん前の選手はひとり減るので、そのまま5バック調で進めるはずはなく、森保監督はここから徐々に攻撃の選手を増やしていく。後半の最初の10分くらいを守った段階で長友を下げてドリブラーの三笘を投入、同時に前線の前田と浅野を交代。ただ三笘が前を向くチャンスがなく、守備に追われがちだったが、後半26分に田中碧を下げて堂安を入れたことで一気に攻撃的な布陣になった。後半30分、ようやく前を向いた三笘が左サイドから切れ込むと思わせてスルーパス、これを南野が中央に折り返す。キーパーのノイアーがこれを弾いたところに走り込んだ堂安が押し込んで同点ゴール。
●続く後半38分、自陣でのフリーキックから板倉がロングボールを前線に入れると、阿吽の呼吸で飛び出た浅野が神技的なトラップから直線的に突進、ディフェンスも付いていたが、そのままノイアーのニアサイド、肩の上をぶち抜くゴールで逆転。これまで代表では浅野はトラップやシュートの技術的な精度で見劣りすると思っていたのだが、いちばん重要な場面でスーパープレイ。最高のジャガーポーズを見せてくれた。ドイツは終盤はキーパーのノイアーも前線に上がって捨て身の攻撃。6分のアディショナルタイムがあったが、ニッポンは攻撃の選手だらけの布陣でなんとか守り切って勝利。前半と後半でまったく違ったゲームになった。前半、ニッポンは相手に押されてディフェンスラインが下がりがちで、ラインが間延びしているなと感じていたが、後半は逆にドイツがコンパクトさを欠き、中盤で日本に自由を与えてしまった。前半の優位な内容が影響したのか、守備があまりに淡白すぎた。
●先制された後、集中的に2ゴールを奪って逆転するという流れはアルゼンチン対サウジアラビアの番狂わせとそっくり(内容はぜんぜん違うと思うけど)。これでいくらか「アジアで開催される大会」らしくはなっただろうか。もっとも、ニッポンは勝点3を得ただけで、まだなにも決まってはいない。次のコスタリカ戦では、これまでの親善試合同様、きっと森保監督はドイツ戦の控え組中心のメンバーを出してくるのだろう。キーパーすら変えるのでは。
ドイツ 1-2 ニッポン
娯楽度 ★★★★★
伝説度 ★★★★★
November 23, 2022
アルゼンチン対サウジアラビア よもやの伝説が誕生 ワールドカップ2022 グループC
●せっかくカタール開催なのに、カタール、イランと中東勢が連敗して迎えたアルゼンチン対サウジアラビア。だれもが中東勢3連敗(=アジア3連敗)を予想していたと思う。この試合、テレビ中継がなく、abema.tvでのネット中継のみ。正直なところ、ワタシも期待しておらず、前半途中から試合を観た。アルゼンチンがメッシのPKで1点を先制している。あー、これはまたアジアがボカスカとやられるパターンなのか……と思ったら、はっ。なんだなんだ、サウジアラビア、すごく高いディフェンスラインを敷いている。前日のイランとはまったく違って、引いて守るつもりなどまったくなく、かなりリスクをとった戦い方をしているではないの。もうこれは先日のイランが反面教師になったのでは。ベタ引きして6点取られるくらいなら、真正面からぶつかって3点取られるほうがまだ可能性がある。事実、サウジアラビアはラインの裏を何度も突かれるが、ルナール監督にとってはこれは取らなきゃいけないリスク。
●そんなルナール監督の戦術が実ったのが後半3分。カウンターアタックからアルシェハリが細かなボールタッチでペナルティエリアに侵入、ファーに流し込んだシュートがゴール右隅に決まって同点ゴール。もうここしかないというコース。すると、場内の雰囲気が一変、スタジアム全体が揺れるほどの太い声でサウジアラビアへの声援が鳴り響く。サウジの選手たちは見違えるほど動きがよくなり、客席の熱狂に煽られてアルゼンチンゴールを目指す。それまでの試合がウソのようにアルゼンチンは守勢に回り、相手のプレスにミスをする場面が増える。後半8分、こぼれ球を拾ったアルドサリがペナルティエリア内に切れ込み、右足を振り抜くとボールはキーパーの手を弾いてネットを揺らす。まさかの逆転。場内は異様な雰囲気になり、さらにサウジの攻勢が続いたほど。ここですぐに守りに回らなかったのがよかった。
●後半30分頃からサウジははっきりと守りの姿勢に入る。もともとサウジは堅守速攻を伝統とするチーム。こちらがリードしていて、なおかつ相手に焦りが生じる時間帯なら、守りに入る価値があるというのがルナール監督の判断なのだろう。サウジはイエローカードもたくさんくらい、選手の負傷や倒れ込みなど、あらゆる手段を使って逃げ切りを図る。本来ならここからでも逆転しかねないのがアルゼンチンだが、コンディションもよくなく、集中力と判断力も低下してしまい、そのままタイムアップ。またしてもアディショナルタイムが長く、14分くらいあっただろうか。今大会から厳密にアディショナルタイムを取っているようだが、これと中東のスタイルが組み合わさるとものすごく試合が長くなる。もはやサッカーは90分ではなく、100分、いや110分と思ったほうがいいのか。ともあれ、最後はギリギリではあったが、サウジアラビアがアルゼンチンに逆転勝利を収めて、伝説を作った。脱帽。明日、日本もドイツに対して普段の戦い方をするしかないし、それで負けたところで力不足なだけの話。もうこの大会でイランのようなベタ引きをするチームはひとつもないと思う。
アルゼンチン 1-2 サウジアラビア
娯楽度 ★★★
伝説度 ★★★★
November 22, 2022
イングランド対イラン 失望の5バック ワールドカップ2022 グループB
●ワールドカップ2022カタール大会が開幕した。初日、開催国のカタールがエクアドルに完敗して、いきなり水を差された感もあるが、二日目はアジア最強国の一角イランがイングランドと対戦。イランにはポルトガルリーグ得点王のタレミやオランダリーグ得点王の経験もあるジャハンバクシュもいる。アジア予選ではぶっちぎりの強さ。期待していたが、イランの布陣を見てがっかり。5バックで引いて守って耐える戦法。ケイロス監督、そりゃないよ……。普段から王者の戦いをしているチームが、守って耐える戦術をとったらどうなるか。ぜんぜん守れない。
●前半だけでイングランドはベルンガム、サカ、スターリングの3ゴール。イランのキーパーの負傷による中断もあって、前半アディショナルタイムが14分もあって、もうテンションはただ下がり。後半もイランは失点を重ね、終わってみれば6対2(イランの2点目は微妙な判定のPK)。こんなのはワタシの知ってるイランじゃない。みんなで守ると好きなだけ相手は攻めてくるし、たまにボールを握っても相手は恐れない。後半も10分以上のアディショナルタイムがあり、前半と合わせるとまるで延長戦があったような長さ。やれやれ。
●せっかくのカタール開催なのにアジア勢(しかも中東勢)は連敗スタート。この後、サウジアラビア対アルゼンチン、オーストラリア対フランス、日本対ドイツが控えているわけだが、はたして……。
●今大会、カタールが人権問題で欧州から批判されていること、レギュラーシーズン真っ最中の秋に変則開催したことなどあって、大会が盛り上がるかどうかが疑問視されている。というか、すでにカタールで開催したこと自体が失敗だったという気分が蔓延しているのでは。いったいなぜカタールなのか(前回のロシアもだけど)。FIFAが目先の利益を追い続けた結果、ワールドカップの価値は下がっていると感じずにはいられない。もし今大会を成功に導くものがあるとすれば、それは競技そのもの、すなわち伝説のプレーであり、伝説の試合しかない。
イングランド 6-2 イラン
娯楽度 ★
伝説度 ★
(満点は星5つ)