今週の音楽家はこの人だっ!


03月31日

ヨーゼフ・ハイドン
Joseph Haydn
(MAR/31/1732--MAY/31/1809) 生きてれば264歳

 モーツァルト、ベートーヴェンとともにウィーン古典派を代表する作曲家。交響曲、弦楽四重奏曲のスタイル確立に功績大。現状では残念ながらCOOLって感じでは受け入れられてはいないんだが、なにかとアイディアと工夫を盛り込んだ曲が多く、実はヲタク心をくすぐる現代的な作曲家とも言えるかも。「ロンドン」「軍隊」「時計」「驚愕」など標題付きのシンフォニーはもちろん、第102番、第99番、第88番(これは標題ないこともないか)など、名曲大洪水状態。

03月27日

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
Mstislav Rostropovich
(MAR/27/1927--) 69歳

 旧ソ連の大チェリスト、指揮者。昨年、ついに聖典バッハの無伴奏チェロ組曲全曲を録音、映像でもリリースされている。LDではカザルスとの出会いや、それぞれの楽曲解説など、饒舌なほど本人により語られていておもしろい。ここでの姿は伝えられる諸々の話とは異なり?極めて敬虔。録音場所となったフランスの教会の光景の美しさもあって価値大。

03月26日

ピエール・ブーレーズ
Pierre Boulez
(MAR/26/1925--) 71歳

 フランスの作曲家、指揮者。前衛を代表する作曲家として「ル・マルトー・サン・メートル」などを残し、自作自演等、録音も多し。昨年は東京でも代表作の一つ「レポン」が作曲者の指揮で日本初演された。「レポン」もそうなんだが、「ワーク・イン・プログレス」といった形で、一旦発表した作品にもさらに改作して一つの作品を完成させていく。この辺、ちょっとウェブに通ずるところもなくはなし。20世紀音楽を中心に指揮者としても昔活動アンド最近復活。でも昔の「ハルサイ」なんかのほうがインパクトは大きいかも。

03月25日

アルトゥーロ・トスカニーニ
Arturo Toscanini
(MAR/25/1867--JAN/16/1957) 生きてれば129歳

 伝説的イタリアの指揮者。バルトークと同日生まれってあたり、この日は厳格な完全主義者の日なのか。スカラ座、メトロポリタン歌劇場にて活躍、新時代を築き上げる。録音も多数残る。でも最近はどれくらい聴かれてるんだろか。いずれ伝説として名前は残しつつも、残された音は聴かれなくなるのかもしれない。伝説は忘却の一歩手前って話もある、指揮者・演奏家の場合。

03月25日

ベラ・バルトーク
Bela Bartok
(MAR/25/1881--SEP/26/1945) 生きてれば115歳

 ハンガリーに生まれ晩年にアメリカへ。大作曲家&大ピアニストもアメリカ時代は悲惨で、そのあたりの事情は「バルトーク晩年の悲劇」(みすず書房)に詳しい。文字どおり超人的な耳の能力を持っていたことも書かれているが、ほとんど超自然的現象だったりする。主知的で厳格な音楽を書いたには違いないんだが、聞き手の耳を喜ばせるエンタテインメントな要素を忘れていたわけではなく、「管弦楽のための協奏曲」(通称オケコン)「弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽」(こちらは通称ゲンチェレ)あたりが典型かと。3つのピアノ協奏曲、2つのヴァイオリン協奏曲、6つの弦楽四重奏曲、数多くのピアノ独奏曲等々、名作多数。リスペクト度AAA。堕落した人間にとっては時には疎ましく感じられることもないとは言わんが(笑)

03月21日

ヨハン・セバスティアン・バッハ
Johann Sebastian Bach
(MAR/21/1685--JUL/28/1750) 生きてれば311歳

 日本で一番演奏される作曲家はモーツァルトまたはベートーヴェンのどちらか。で、3番手は大バッハの指定席と決まっている。バッハの作品でまず何から聴くかってのは簡単。ほとんどすべてが傑作の高品質保証100%エラー・フリーな作曲家なのだ。あ、でもちょっとウソかも。個人的にはチェンバロ(ピアノ)用の曲をもうちょっと書いてほしかったって気持ち大。組曲でも変奏曲でもフーガでもいいから。カンタータは山ほどあるから老後の楽しみにでもとっておくか、と。

03月20日

スヴャトスラフ・リヒテル
Sviatoslav Richter
(MAR/20/1915--) 81歳

 旧ソ連の大ピアニスト。ここのところ来日公演がなかなか難しい状況になっているが、さすがにこの歳では無理もないかも。前回は来日までしながらも結局コンディションが整わず公演は中止になってしまった。録音では、バッハ/平均律はグールドと双璧をなす名演と言われる。

03月14日

ゲオルク・フィリップ・テレマン
Georg Philipp Telemann
(MAR/14/1681--JUN/25/1767) 生きてれば315歳

 バロック後期の作曲家。18世紀においてはJ・S・バッハ以上の名声を獲得していた。作品数が多い上に、作品番号による整理がイマイチ進んでいないこともあって、なかなか全貌の把握難しめ。とりあえず、「ターフェルムジーク」(食卓の音楽)が、組曲、協奏曲、独奏曲等様々な要素を盛り込んでいてオススメ。ま、基本的には何を聴いても楽しめるってことで。

03月12日

ハンス・クナッパーツブッシュ
Hans Knappertsbusch
(MAR/12/1888--OCT/25/1965) 生きてれば108歳

 今世紀の代表的指揮者の一人。ワーグナー、R・シュトラウスなどなどドイツ音楽を中心に功績。おおらか系。名前が長すぎて覚えられんという人は「クナ」と省略しても可(笑)。

03月11日

ヘンリー・カウエル
Henry Cowell
(MAR/11/1887--DEC/10/1965) 生きてれば109歳

 今世紀のアメリカ音楽を語るに欠かせない実験系作曲家。ジョン・ケージ、ルー・ハリソンらへの道を開拓。「エオリアン・ハープ」や「バンシー」ではもっぱらピアノの内部奏法(鍵盤じゃなくて中の弦を弾くんです)で音楽を奏で、「マノノーンの潮流」ではトーン・クラスターを先駆的に使用、「ペルシャ組曲」「富士山の雪」といった非西洋音楽への傾斜、電気鍵盤打楽器「リズミコン」を発明する非伝統かつ手作り志向など、まさに実験派アメリカ音楽の源流ここにあり。

03月10日

アルテュール・オネゲル
Arthur Honegger
(MAR/10/1892--NOV/27/1955) 生きてれば104歳

 スイス国籍のフランスの作曲家。交響曲あり、声楽曲あり、室内楽あり、でもよく聴かれるのは交響的運動第1番「パシフィック231」、同第2番「ラグビー」か、と一瞬思ったが最近のトレンドは劇的オラトリオ「火刑台のジャンヌ・ダルク」だな。対位法好きな人。

03月08日

ルッジェーロ・レオンカヴァッロ
Ruggero Leoncavallo
(MAR/08/1857--AUG/09/1919) 生きてれば139歳

 ナポリ生まれの作曲家。なんと言ってもオペラ「道化師」(パリアッチョ)が有名。マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」と抱き合わせでヴェリズモ代表。「道化師」は「衣装をつけろ」など歌の魅力ももちろんだが、物語的にも見るところはあって、劇中劇の構造の中での階層的な現実が干渉しあうという「ありがちなんだけど、やっぱりおもしろい」テーマがミソ(オペラにおける劇中劇はR・シュトラウスの「ナクソス島」とかファリャの「ペドロ親方」等、ポピュラー)。映画的に作られたカラヤンのLDでは、カラヤン自身が名もない登場人物として画面に一瞬出てくるが、これはオペラの中でドラマを見る客と演ずる登場人物の劇中劇に、さらに指揮者と言うもう一段外側のドラマ(すなわちわれわれ聴衆のレベルの現実)を入れ子状に配置しようという大胆な試みだった……かもしれない。メタフィクション・オペラ、なんちて。

03月07日

モーリス・ラヴェル
Maurice Ravel
(MAR/07/1875--DEC/28/1937) 生きてれば121歳

 ウチのホームページの表紙を飾ってるのがこの人です(03/20当時)。近代フランス音楽を代表する天才作曲家。洗練の極致にしてカッコよさ最高。幻想を(「ラ・ヴァルス」とか「夜のガスパール」とか)、子供の世界を(「マ・メール・ロワ」とかオペラ「子供と魔法」とか)、そしてスペインを愛した(スペイン狂詩曲とか「スペインの時」とか)。また、エキゾティシズムもキーワードの一つ。歌曲集「シェエラザード」、マダガスカル島の土人の歌、ギリシャ民謡集など。名曲中の名曲として広く知られる作品、「ボレロ」「ダフニスとクロエ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」も傑作。でもたった一曲だけ選べと言われた、迷わずピアノ協奏曲ト長調だな、ワタシの場合は。

03月06日

ロリン・マゼール
Lorin Maazel
(MAR/06/1930--) 65歳

 今、この人はやっぱり田崎真珠のCMに出てくるオッサンってことになってるんでしょうか。偽善者とか悪役指揮者とか悪口を言う人も多いが(笑)、それでも音楽家としての能力の高さは誰もが認めるところ。幼少の頃の神童ぶり、ベルリン・ドイツ・オペラ時代での一目置かれぶり、クリーヴランド時代の大胆解釈ぶり、ウィーン時代の目の下に隈を濃くしながらの獅子奮迅ぶり、と輝かしい。実は、結構好きなのか。ウィーン国立歌劇場を追い出され、ベルリン・フィルのカラヤンの後継者を逃して以来、話題少なめかと思ったら、最近契約レーベルを変えて復活の模様。前に、ウィーン・フィルを率いて来日公演したとき、舞台の袖から出てきた時、すげー黒々とギラついていたのが印象的だった。古めの録音聴くとわかるけど、元来かなりフカシ系の個性派指揮者のはず。

03月04日

ベルナルト・ハイティンク
Bernard Haitink
(MAR/04/1929--) 67歳

 日本一、人気のない大指揮者かも(すまぬ)。言い訳のように「実力派」なんて形容されたりしますなあ。オランダはアムステルダム生まれで、ブリタニカには「メンゲルベルクの伝統を受け継ぐ」なんて書いてありますが、全然違うんでは(笑)。マーラー、ブルックナー、ベートーヴェンなど。確実かつ丁寧って見るか、退屈って見るか、視点の問題でせうか。でも数少ないウィーン・フィルの定期演奏会なんかでもよく呼ばれるし、ベルリン・フィルとはマーラーの全集録音中だし、やっぱり信頼のブランド。

03月01日

フレデリック・ショパン
Frederic Chopin
(MAR/01/1810--OCT/17/1849) 生きてれば186歳

 TVドラマで薄幸の少女がピアノに向かって弾くときはショパン。ピアノのために残した傑作、数知れず。ピアノのレパートリーとしては超重要だが、「ピアニストには2種類いる。ショパンを弾くピアニストと、ショパンを弾かないピアニストだ」と言ったのは誰だっけか。弾かない派としては、たとえばブレンデル。ショパンを弾くとなると勉強することが多すぎて他のレパートリーを十分弾けなくなるから弾かんのだ、とか何とか言ってた。こんな風に二分されるのも特殊性があるからなんだろう、リスナーにも聴かないって人、結構いる。「ゲーデル・エッシャー・バッハ」の著者ダグラス・ホフスタッターは、「メタマジック・ゲーム」の中で、バラード第4番の冒頭のリズムについて数理的な分析をしていた。情緒だけじゃなくて仕掛けも凝ってるっての期せずして音楽以外の本で知った。

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