●「そんなの、なんの意味があるの?」と思われる方はスルー推奨。以前のエントリーで、数学者ラッセル・ジェラードの研究によれば、「1872年から2001年までの189ヶ国、22,130試合の代表チーム」について、ホームチームは一試合あたり2/3ゴールの優位を持つ、という話をご紹介した。2/3ゴール、つまり0.67ゴール。相当、大きい。これは代表チームに限ったもので、しかも100年以上にわたる189ヶ国の結果であるから、現代の一般的なリーグ戦とは事情が違うだろうことは容易に推測できる。国際試合では主審への圧力はかなりきつくなるし、質の低い審判は雰囲気に呑まれてホーム優位の笛を吹く(と信じられているし、そうとしか思えない)。それと過去に遡るほどアウェイチームの移動の負担は大きく、コンディション面で不利を負う。現代の国内リーグならアウェイ側の移動負担はもっと小さいはず。
●で、Jリーグはどうなのか。以前の記事では記憶で「0.25~0.3ゴール程度」のホーム優位と書いたが、この際だから確認しておこう。Jリーグのサイトを見ると「1993-2012通算データ」(J2は1999~)が掲載されているので、本日掲載時点の数字をもとに超ラフに計算してみた。J1とJ2では入れ替えがあるわけだが、行ったり来たりしているチームについてはJ1所属時にはJ1の、J2所属時にはJ2の統計に含めることにする。
●まずJ1から。「1993-2012通算データ」での総試合数は5424試合。ホームチームの得点は8742、失点は7562。1試合あたりにすると、0.22ゴールのホーム優位がある。0.67に比べればずいぶん小さい。しかし1ゴールの重みを考えると、大きいような気もする。
●続いてJ2。「1999-2012通算データ」での総試合数は4192試合。ホームチームの得点は5770、失点は4973。1試合あたりにすると、0.19ゴールのホーム優位がある。J1よりもややホームの優位性は小さいように見える。この差についてはいろんな考え方があるが、ここでは深追いしない。早計は禁物。
●ついでに1試合あたりの平均ゴール数も数えておくと、J1は3.01ゴール、J2は2.56ゴール。J2のほうがカウンター狙いの守備重視のサッカーが多いということだろうか。あるいはJ1のほうが上位と下位の実力差が大きいのか。
●しかし、J1の0.22ゴール/試合、J2の0.19ゴール/試合のホーム優位といっても、実は意外とシーズンごとにばらつきがある。2012はまだシーズン途中なので、2011から遡るとこんな感じ。
J1 | J2 | |
---|---|---|
2011 | 0.26 | 0.19 |
2010 | 0.19 | 0.24 |
2009 | 0.27 | 0.09 |
2008 | 0.27 | 0.16 |
●2009年はJ2のホーム優位性がほとんど消えかけていた。この年は18クラブで3回戦総当りをやったので、各クラブなんと年間51試合も戦っている(したがって、チームによってホームゲームがアウェイゲームより1試合多いところと少ないところがあるという不思議なことになっていた)。試合数の多さはホームの優位性の減少になんらかの関係があるのだろうか?