2018年10月16日

CDプレーヤーvsレンズクリーナー

CDプレーヤー
●つい先日のことだ。CDプレーヤーにディスクを挿入すると、「キュキュ、キュルルルルルル……」と戸惑っているような回転音が発せられて、数秒後にディスクが吐き出された。まるで、どうしようもなく不味い食い物を口に入れてしまい「オエッ!」と吐き出すかのような挙動である。CDが古くて腐っているのかというと、そんなことはない。リリースされたばかりの新譜だ。ためしに別のディスクを入れると、あるものは飲み込んでくれたり、あるものは吐き出したりする。が、件の新譜はどうしても飲み込んでくれない。今後は「趣味に合わない音楽は再生しません」というCDプレーヤーなりの宣言なのか。
●さて、どうするか。いくらデジタルオーディオに移行しているとはいえ、まだまだディスクでしか聴けない音源は山のようにある。プレーヤーを買い替える? まだCDプレーヤーは販売されているのだろうか。というか、これ、昔ながらの単品コンポ用の巨大弁当箱形のプレーヤーなんだけど、今にして思うと単にCDからデジタル信号を読み出してアナログ変換して出力するだけの専用機器がどうしてこんなに大きくて重いのか不思議。手のひらサイズのPCでWindows 10が動くこの世の中で。ぶつぶつ……。
●しかしこういう事態はよくある。今までにもミニコンポとかゲーム機で、ディスクを読み込まなくなる現象になんども対処してきた。ずっと前に購入したCD型のレンズクリーナーがあったはずだと思って探すと、「湿式マルチレンズクリーナー」なるものが見つかったので、これを入れてみることに。最初はやっぱり「キュキュ、キュルルルル」と音を発して「オエッ!」と吐き出したが、なんどもなんども押し込むと、やがておとなしくディスクを飲み込んだ。ここで再生ボタンを押すと、ディスクが回転してレンズをクリーニングしてくれるという仕組み。しっかりと念を押して2回クリーニングする。どうしても飲みたくないといっている苦い薬を無理やり飲ませたような気分。で、件のディスクを入れてみると、ちゃんと読み込んだ。どのCDを入れてもきちんと再生する。すごいじゃないか。レンズクリーナーがCDプレーヤーに打ち勝った、今日のところは。

2018年4月12日

「クラシカロイド」コンピのジャケット 元ネタ集

ClassicaLoid presents ORIGINAL CLASSICAL MUSICS アニメ「クラシカロイド」で「ムジーク」となったクラシック音楽を原曲で聴いてみる No.1

●No.2

●No.3

●No.4

●No.5

●No.6

●このNo.6が秀逸だと思う。元のジャケのふたりもなんだか妙な感じだし。


2018年2月14日

CBSソニー時代の好きなジャケ

●リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」というと、まっさきに思い出してしまう「騎士ジャケ」。マゼールがクリーヴランド管弦楽団を指揮したリヒャルト・シュトラウスの交響詩集。マゼールは後にバイエルン放送交響楽団と同曲を再録音してしまったため、Apple Musicなど配信ではそちらの新録音ばかりがヒットしてしまうのだが、より聴きたくなるのはこちら。この国内盤は2枚組になっていて、DISC2には「ドン・ファン」「ティル」「死と変容」が収められている。で、ジャケットの裏表紙はDISC2のジャケット(骸骨とドン・ファン、ティルを思わせる3人の横顔が並ぶヤツ)になっているのがすばらしい。
●CBSソニー時代のジャケットには忘れがたいものがいくつもある。強烈なのはバーンスタインのストラヴィンスキー「春の祭典」。アンリ・ルソー風の密林に姿を見せる巨大なストラヴィンスキーの顔。このジャケットを最初に目にしたのは中学生か高校生くらいの頃だと思うが、最初、この巨大な顔がストラヴィンスキーであることがわからなかった。作曲家の顔なんて知らなかったので。この丸メガネのオッサン、だれ?みたいな。
●こちらはバーンスタインのホルスト「惑星」。曲名の書体に時代を感じるが、レトロフューチャーなテイストは今見てもカッコいい。抽象的な画だが、LPレコードの盤面と太陽系の図を重ねて表現しているのが巧み。SF的なイメージもうっすらと想起させる。
●いわゆる歴史的名盤、ブーレーズとクリーヴランド管弦楽団の「春の祭典」。これも後に再録音が出て存在感は相対的に薄まってしまったが、時代を伝える貴重なドキュメント。画面を分割して9コマ漫画みたいになっている。同じCBSソニーでグールドの「ゴルトベルク変奏曲」旧盤などにも見られるが、画面を細かく分割してリズミカルな柄を作り出すという手法は、LPレコードの大きなサイズだから生まれた発想で、はじめからCDだったらこのアイディアは出てこなかったんじゃないか。
●グールドはどれもこれも名ジャケットばかりだが、あえてアーティスト写真を用いていないものを選ぶとすると、好きなのはハイドンのピアノ・ソナタ集。なんというか、ハイドンっぽい。明るくて楽しげで、つい手に取りたくなる。書体もいいし、56 58 59 60 61 62 と6曲の番号が等間隔で横に並んでいるデザインも秀逸。

2018年1月29日

ジ Ji

●最近のクラシックのアルバム・ジャケットはアーティスト写真がそのまま載ったような退屈なビジュアルばかり……とお嘆きの方を元気づけてくれそうな新譜がこちら。ワーナーからリリースされたバッハのゴルトベルク変奏曲なのであるが、強烈だ。こいつはぐっと来るぜー。
●ジャケットだけじゃなくて、アーティスト名もインパクト大。ピアニストの名前はジ。一文字だけ。欧文表記だとJi。対検索エンジン的に不利になりそうな名前だが、韓国生まれでアメリカに学んだ売り出し中の若手。ブニアティシヴィリとかアンデルシェフスキといった難しい名前が覚えられない人も大丈夫。ジ。10回繰り返さなくても覚えられる! 演奏的には相当な暴れん坊バッハの予感。
●それにしてもジは短い。短い名前つながりでヨーヨー・マとデュオを組んでみてはどうか。マとジのふたりでマジと読みます、みたいな。

2018年1月17日

「スターウォーズ/最後のジェダイ」のオリジナル・サウンドトラック

●「スターウォーズ/最後のジェダイ」、映画本編の感想は先日書いた通りなのだが、今回は映画を見る前にオリジナル・サウンドトラックをCDで購入した。音楽を聴くだけならApple Music等の有料ストリーミング配信で聴けばいいのだが、「映画を楽しむ」というイベント気分を盛り上げるにはまだまだ物理ディスクは有効だ。なんといっても、手で触れるし。それに「スターウォーズ」シリーズそのものが懐古趣味と隣り合わせなので、やはり紙のブックレットが欲しくなる。映画本編からの写真が何点も掲載されていて、写真のチョイスにも納得感あり。映画を見終わった後、ジョン・ウィリアムズの音楽を流しながらブックレットを開いて、「ああ、この場面はあれがああでこうしたんだよなー」と余韻に浸るためのお土産として満足。
●輸入盤のジャケットは上にあるようにシンプルなロゴのみのデザインになっている。国内盤だとドーンと主要キャラクターたちの絵柄が載っていて、初回特典としてステッカーなどのオマケが付く。どちらがいいかは好みの問題ではあるけど、自分は輸入盤のように宇宙空間背景で中央に大きくSTAR WARSロゴが入っているほうが気持ちが高まる。
●で、オーケストラだが、以前は「スター・ウォーズ」といえばロンドン交響楽団だったのだが、前作から事情が変わった。特にオーケストラの名前は記載されず、代わりにメンバー表が載っている。つまりハリウッドのスタジオ・オーケストラということになるかと思うのだが、何人かの名前をググってみると、それぞれのメンバーがどういう人たちか、ある程度はわかる。1番ホルンはLAフィル首席のアンドリュー・ベイン。コンサートマスターはロングビーチ交響楽団で長年コンサートマスターを務めるロジャー・ウィルキーという人。第2ヴァイオリンのトップはLA室内オーケストラ所属、1番オーボエはオレンジ郡のパシフィック交響楽団首席奏者、といったように近隣オーケストラに所属する人たちがいる一方、大活躍の1番トランペットは主に映画やテレビで活躍するレコーディング・アーティストのようで、人材の豊富さを感じさせる。こういったことも簡単にわかる時代になった。

2017年10月25日

Gramophone Awards 2017

●思い切り旧聞なのだが、先月発表された英グラモフォン誌のGramophone Awards 2017を振り返っておこう。通販&ダウンロード販売サイトのPresto Classicalの一覧が見やすい。Recording of the Yearはイザベル・ファウストのヴァイオリン、ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集(Harmonia Mundi)。カデンツァをアンドレアス・シュタイアーが書いているのが話題。
●Artist of the Yearはワシリー・ペトレンコ。キリルじゃなくて、ワシリーのほう。指揮者で「ペトレンコ」といえば、今やベルリン・フィル次期首席指揮者のキリルのほうが先に思い出されるが(来日も果たしたことだし)、ほんの少し前までは日本ではワシリーのほうが知名度が高かったんじゃないだろうか。ロイヤル・リヴァプール・フィルの首席指揮者なのでイギリスで注目度が高いのは自然なことだが、なにせキリルが録音に関心が薄いためレコーディングの世界では断然ワシリー優位。ふたりともこれからますます活躍するだろうから、今後「ふたりのペトレンコ」問題はややこしくなりそう。しかもワシリーがヴァシリーとで表記が揺れてて、それがまた厄介。
●オーケストラ部門はジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコのハイドン・シリーズ第4弾 Il Distratto で、交響曲第60番「うつけ者」他(alpha)。アントニーニがここでも受賞。室内楽部門はシレジア弦楽四重奏団によるバツェヴィチの弦楽四重奏全集(Chandos)が選ばれているのが目をひく。受賞効果でどれくらい売れるものなんすかね。

2017年9月13日

The Best of Applause

The Best of Applause●Apple Musicの機能を使って、The Best of Applause というプレイリストを作ってみた。情熱的な拍手、期待感に満ちた拍手、静寂からゆっくりと立ち昇る拍手、意外な展開を見せる拍手など、クラシック音楽ファンならだれもが夢中になってしまうような、そんな名拍手を集めた。クライバー、アバド、小澤、チェリビダッケ、ベネディッティ・ミケランジェリなど、偉大な巨匠たちに捧げられた、歴史的名拍手の数々がここに。これを聴けば、きっとあなたも今すぐ拍手をしたくなる!

Apple Music : The Best of Applause

2017年6月30日

ソニーがアナログレコードの国内生産を29年ぶりに再開

アナログレコード●ソニー・ミュージックエンタテインメントが日本国内でのアナログレコードの自社生産を29年ぶりに再開するとか。これまでは東洋化成や海外企業に外注していたのが、今後は自社にアナログレコード用のプレス機を導入して、いずれは外部レーベルからの受注生産も考えているという。レガシーメディアとはいえ、アナログレコードは趣味性の高さで完全に生き残っている。つい最近、ベルリン・フィルもラトルとのベートーヴェン交響曲全集をLPレコード10枚組で発売したばかり。結構なお値段なのだが、なぜかCDよりも高級感が漂っていて、そんなものかと思ってしまう。この調子だとCDのほうがLPよりも先に絶滅するんじゃないだろうか。たとえストリーム配信がどんなに広がろうとも、LPの愛好家には無関係だろうし。
●ところで、ワタシはCDが初めて登場したころの興奮を今でも覚えている。それまでずっとLPレコードには悩まされてきた。いちばん困ったのはスクラッチ・ノイズ。曲のいいところで「プチッ!プチッ!」とか鳴って、せっかく音楽に没入していたのに現実の世界に引き戻されるのが嫌でしょうがなかった。しかも高価だったんすよ、LPレコードは。そのノイズが一過性のものなのか、恒久的な傷のせいなのか、いったん気になるともう音楽なんて聴いてられない。盤面をきれいにするためのいろんなクリーナー類を買ったりしたけど、あんまり本質的な解決に至ってなかった気がする。あと、片面の収録時間が短いから、A面の終わりで楽章の途中でフェイドアウトして、続きを裏返してB面の頭から聴き直すみたいなのも勘弁してくれよって感じだった。そんなときに登場したのがCDだ。
●すごいと思ったね。レコード屋さんに行くと、CDとLPの聴き比べイベントなんかやってて、いかにCDが高音質かをアピールしている。今でも忘れられないのだが、ベルリオーズの幻想交響曲で、同じ録音をLPとCDで聴き比べるっていうのをやってくれたんすよ、近所のレコード屋さんで。もう、これは頭にガツーンと来た。うわ、CD、なんてクリアなサウンドなの! ぜんぜん違う。
●でも今になったら、LPのほうがCDよりも音がいいんだみたいな話になってたりして、あのときの頭ガツーンはなんだったんすかね。レコード屋でみんな呆然としながら幻想交響曲のCDを聴いてたはずなんだけど。記憶の捏造?

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