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バックナンバー7 ●1999-2



  MIDIオケ、ふたたび。今度はマーラーの「第5」
 以前、本ページでMIDIによるオーケストラで演奏されたモーツァルト・アルバム、「MOZ@RT 1999」をご紹介したが、今度はマーラーの交響曲第5番がリリースされた(発売:eyes)。YANA氏のディレクションで、「演奏」は黒瀧泰道氏。コンセプトとしては前作と同様、まずMIDIでありながらも「観賞用」の音楽として制作されている。しかし、オーケストラの代用品としてMIDIを使うのではなく、MIDIによる表現の可能性を突き詰めながら、同時にあくまで音楽はマーラーの音楽であるというのが目指されている着地点であろう。たった一人で交響曲を奏でるというシンプルな表現意欲からスタートしたMIDIクラシックの現在の到達点がここにあると言えるかもしれない。Roland音源SC-88Pro/SC-8850で再生することのできるMIDIデータも収録。まずは、発売元サイトに置かれたmp3サンプルでその音を確かめてみては。 (12/07/99)


  英グラモフォン賞発表! マッケラスの「ルサルカ」が大賞に
 イギリスの音楽誌グラモフォンによるGramophone Awards が発表されている。受賞ディスクは以下のように。例年のことではあるが、これに比べると日本は名曲&メジャーアーティスト、メジャーレーベル志向であると感じさせられるわけだが、一方でこんなに賞を細分化しちゃってて大丈夫なのかなという気も。20世紀**部門は21世紀になったらどういう扱いになるんでしょうねえ(笑)。
レコード・オブ・ザ・イヤー&オペラ部門ドヴォルザーク/歌劇「ルサルカ」マッケラス/チェコ・フィル、フレミング(S)Decca
古楽部門聖ヤコブのためのミサ曲バンショワ・コンソートHyperion
バロック器楽部門ジャケ・ド・ラ・ゲール/チェンバロ作品集CerasiMetronome
バロック声楽部門A・スカルラッティ/Il primo omicidioヤーコプス/ベルリン古楽アカデミーHarmonia Mundi
オーケストラ作品部門ブルックナー/交響曲第4番ヴァント/ベルリン・フィルRCA
協奏曲部門ショパン/ピアノ協奏曲アルゲリッチ(p)デュトワEMI
器楽曲部門ライヴ・アット・カーネギー・ホールヴォロドス(p)Sony
室内楽曲部門シューマン/ピアノ・トリオフロレスタン・トリオHyperion
声楽曲部門ベートーヴェン歌曲集ゲンツ(Br)Hyperion
20世紀オーケストラ作品部門ヴァレーズ作品全集シャイー/コンセルトヘボウ管Decca
20世紀器楽曲部門ベリオ/セクエンツァアンサンブル・アンテルコンタンポランDG
20世紀声楽曲部門アイスラー/ハリウッド・ソングブックゲルネ(Br)Decca
20世紀オペラ部門ニールセン/歌劇「仮面舞踏会」シルマーDecca
現代音楽部門武満徹/夢の引用ナッセン/ロンドン・シンフォニエッタDG
リサイタル部門アイ・ウォント・マジックフレミング(S) レヴァイン(p)Decca

 この他に Naxos British Music Seriesに「エディターズ・チョイス」、フィリップスのGreat Pianists of the 20th Centuryに特別賞が授与されている。(11/08/99)


  ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、ウェブでオリジナルCD BOXを発売
 オンラインの販売では、いろんな中間的な流通段階を省略できてしまう。CDのオンラインショッピングはそのポピュラーな好例だが、もっとダイレクトな例もある。それが最近ちょっとずつ目立つようになってきた、オーケストラによる自主製作盤。大体において、歴代の音楽監督や客演指揮者による名演を集めたオリジナルBOX SET。その嚆矢となったのはニューヨーク・フィルの The Historic Broadcasts 1923-1987(10枚組)やThe Mahler Broadcasts 1948-1982 (12枚組)だったと思う。
 で、そのニューヨーク・フィルが新たにリリースしたのがAn American Celebration(10枚組)。自国アメリカの音楽を収めているわけで、となればさすがニューヨーク・フィル、ネタには事欠かない。ロジンスキ、モントゥー、ミトロプーロスといった40〜50年代から、現代のマズアに至るまで、音源は豊富にある(まあ、最近じゃ嫌でも自国の現代音楽を定期演奏会に入れなきゃいけないことになってるみたいだし……)。指揮者としてはバーンスタイン、ブーレーズあたりももちろん登場。作曲家ではガーシュウィン、コープランドもあれば、ウィリアム・シューマンやエリオット・カーターもあり、アイヴズ、ホヴァネスもあり、ミニマル系もありといった具合で、今世紀アメリカをバランスよくまとめたといった印象。ニューヨーク・フィルのe-Storeで購入できる。
 また、ニューヨーク・フィルに刺激されてというわけではないだろうが、フィラデルフィア管弦楽団も同団創立100周年を記念して12枚組のCDボックスを発売した。Historic Broadcasts and Recordings 1917-1998 ということで、ストコフスキからオーマンディ、ムーティ、オーマンディらの歴代シェフによる演奏に加えて、錚々たる客演指揮者、歌手陣、ソリストたちも登場する。
 自前の音源でネット経由で広く販売するこの方法、これから他の楽団にも広まっていくかもしれない。(11/08/99)


  紙ジャケで登場! ドイツ・グラモフォンから「ヴィンテージ・コレクション」
 ドイツ・グラモフォンの膨大な音源の中から選りすぐられた名盤20点が、紙ジャケ仕様で発売される。もちろんジャケット・デザインは基本的にLP初発売時のものを採用、レーベル面もそれぞれ当時のLPのデザインをもとにしている。解説が初出時のものだったり、タスキやコピーまで再現されていたりで、懐かし度は非常に高いのだ。
 ラインナップは、古いところではフルトヴェングラー/ベルリン・フィルのベートーヴェン「運命」(47年)、新しいところでクライバー/ウィーン・フィルの同じく「運命」、ポリーニとアバドのブラームス/ピアノ協奏曲第2番など。赤字に金文字のカラヤンのヴェルディ/レクイエムとか、指揮棒を前に突き出した壮年期のベームをジャケットにしたモーツァルトの第40番&第41番とか、詳しくは(そしてジャケットの絵は)ユニバーサル・クラシックのサイトをご覧あれ。
 オリジナル・イメージ・ビット・プロセシングによるリマスタリングってことなので音質面にも期待。発売は12月22日とまだまだ先なんだが、完全限定盤で店頭予約は10月31日までなので。
 同じ音源でも、紙ジャケになると妙に物欲を刺激されてしまうのが謎。(10/10/99)


  バーバラ・ボニー、東海村臨界事故を憂慮して公演中止
 10月12日に予定されていたバーバラ・ボニー リサイタルの水戸公演がジェー・シ ー・オー東海事業所の臨界事故の影響で中止となった(→主催者による発表)。事故の性質から考えても12日の時点で水戸において事故の何らかの影響があるとは考えにくく、芸術館側でも安全性についてアーティスト側に説明し協議を重ねたというが、アーティストの強い意向によって中止となった。
 結局、呼吸器系感染症の理由により来日公演そのものが中止されてしまったので、すでに臨界事故の影響を云々しても意味がなくなってしまった。「水戸への切符や宿を手配していたのに!」という気の毒な方も。
 危険の可能性を指摘することは容易で、安全を保証し納得させることは難しい。(10/10/99)


  国際ハイドンターゲ99、インターネットライヴ中継!
 毎年9月にオーストリアのアイゼンシュタットで開かれる「国際ハイドンターゲ」が、インターネット生中継されている。期間は9月9日〜19日まで。トレヴァー・ピノック、アダム・フィッシャー、アントニー・ホルステッド、スミ・ジョー、リチャード・ヒコックスらが出演、集中的にハイドンの諸作品が取り上げられる。
 あくまで生中継なので、時差を考えると夜の公演を日本で見てみるにはフツーの人々にはちょっと厳しいところではあるが、ネット上のクラシック系イヴェントとしてはなかなかの快挙なんではないだろか。(09/12/99)


  ミラノ・スカラ座、2000年の来日公演を発表
 2000年、すなわち来年の9月、ミラノ・スカラ座が5年ぶりに来日する。たぶん国内の紙媒体では来月詳細発表となっていると思うんだが、当のスカラ座がすでに自前のウェブで猛烈大っぴらに世界に向けてスケジュールを公表しちゃっているので(苦笑。でもありがち)ご紹介→http://lascala.milano.it/1999_00/giappone/index.html
 指揮はもちろんムーティで、問題の演目は上記urlのように、「リゴレット」(NHKホール)と「運命の力」(東京文化会館)。「運命の力」は今年2月にプレミエが行われたプロダクション(デ・アナ演出)。来日公演ではグレギーナ、リチトラ、ディンティノといったプレミエとは異なるキャストが登場(ホセ・クーラを期待してた人には残念)。「リゴレット」のほうはレナータ・ブルゾン、アンドレア・ロスト、ラモン・ヴァルガスといった豪勢なキャスト。
 来日公演では他にコンサートとバレエが一演目ずつ。ヴェルディのレクイエム(NHKホール)とジゼル(東京文化会館)。

 なお、12月からの1999/2000年シーズンのプログラムももちろん掲載されている(http://lascala.milano.it/1999_00/opera/index.html)。今年もイタリア・オペラを避けて、ムーティ指揮の「フィデリオ」で開幕。一日だけドミンゴ登場の「アドリアーナ・ルクヴルール」、コンロンの「ヴォツェック」、シノーポリの「ナクソス島のアリアドネ」、チョン・ミュンフンのバーンスタイン/「ウェスト・サイド・ストーリー」、テイトの「ピーター・グライムズ」など演目は非常に多彩。アンサンブル・モデルンを呼んでノーノの「プロメテオ」(去年秋吉台で日本初演されたアレです)まで上演しちゃうのだ。(08/24/99)


 
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