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バックナンバー8 ●2000


  といぼっくす「あのころ……日本のマエストロたち」
 とても気持ちのいいアルバムを一枚ご紹介。現在レコード店の新譜コーナーに並んでいるのだが、しかしこれはどこに並べられたものか。アルバム・タイトルは「あのころ……日本のマエストロたち」、ユニット名は「といぼっくす」、CDには「ポップス」とジャンルが記されているが、ワタシは「Jクラシック」のコーナーで見つけた。まず、誰の曲が入っているか列挙してみよう。吉松隆、細野晴臣、坂本龍一、武満徹、渡辺貞夫、清水靖晃、それにこのバンドメンバーである長生淳、磯田健一郎、啼鵬。曲名とジャケットはこちらにて。
 まったくジャンル無用のアルバムだが、それでもクラシック音楽ファンとこのアルバムとの親和性は非常に高い。アコースティックなサウンドだから、というだけの理由ではなく、ここには室内楽の喜びが横溢しているからだ。演奏者も主にクラシック畑の腕達者な面々(サックスの大城正司、フルートに木ノ脇道元、ギターに高田元太郎、チェロに町田妙子、バンドネオンに啼鵬、ほか)。「近頃、どーも安心して聞ける、優しい音楽が少ない」とはプロデューサーである磯田健一郎の言だが、このように構えることなく自然体で、ゆったりと身を委ねられるアンサンブルというのはとても貴重なものである。選曲もいい。特に30代の人間には懐かしい曲が多いのではないか。
 ウマい、でも濃密な空間というのとは違う。優れた現代版「サロンの音楽」という、クラシック好きにとって(ディスクであれライヴであれ)もっとも見つけるのが難しい種類の音楽がここにある。 (00/12/19)

  CDマガジン「ウィーン・フィル 世界の名曲」創刊
 ウィーン・フィルの演奏でクラシックの名曲をそろえたCDマガジンが創刊された。タイトルはずばり「ウィーン・フィル 世界の名曲」で、イオン発行、アスキー発売。これはCDマガジン、すなわち本+CDという構成になっているわけである。書籍部分には初心者向けのよくできた曲目解説があるものの、カラー16ページと絞った作りで、やはり主役はCD。創刊号ではDECCA音源のカラヤン指揮チャイコフスキー/三大バレエ組曲が収められている。
 テレビでCMが流れるクラシックCDマガジンというのもなかなかスゴいのだが、全50巻が隔週刊で出てくるというボリュームが圧倒的。しかし最大の特徴は「近所の本屋で買える書籍」というところかもしれない。大型CDショップやクラシック専門店に通い、CDの置き場に頭を悩ます人のためのものではなく、これはフツーの音楽好きがふらっと立ち寄った書店で気軽に買える商品なのだ。952円なら雑誌や文庫本一冊分の価格。この敷居の低さが魅力であり、だからこそ音源として定評のある名演が採用されていることに価値がある。(00/10/25)

■関連サイト: http://www.ongaku24.com/

  ドミンゴのLAオペラ、ワーグナー「指環」にILMのSFXを起用
 プラシド・ドミンゴが芸術監督を務めるロサンジェルス・オペラが、ILMの特殊効果を使ったワーグナー「指環」を上演すると発表した。ILM(Industrial Light & Magic)というのは映画監督ジョージ・ルーカスが創設したあのILMである。「スターウォーズ」「ジュラシックパーク」「ディープインパクト」等々、数多くのハリウッド映画で特殊効果を担当している。これを舞台でやろうというのだから、ロサンジェルス・オペラならではというべきか。
 きっとトネリコの大木から抜かれたノートゥングは青く光るライトセーバーになってるにちがいない(笑)。ワルハラ城が崩れ落ちていくシーンとか、ワルキューレの騎行だとか、魔窟ニーベルハイムとかいくらでも派手な演出ができそうである(しかし生の舞台でどうやってCGを使うんだろうか)。
 公演は2003年5月の「ラインの黄金」で幕開けし、2シーズンかけて全4部を上演する。指揮は2001年7月から同オペラ首席指揮者に就任するケント・ナガノ。演出はムスバッハ。歌手陣は未発表の模様。(00/09/25)

■関連サイト: Los Angeles Opera

  ニューヨーク・フィル、自主制作盤「バーンスタイン・ライヴ!」発売へ
 これまでも自らのライヴ音源を用いていくつかの自主制作盤を発売してきたニューヨーク・フィルが、今度はレナード・バーンスタインの10枚組「Bernstein LIVE!」を発売する。いずれもこれまで未発売だった音源。
 曲目詳細と録音年は公式サイトに譲るが、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典派からケージ、ヴァレーズ、コープランド、ブーレーズなど同時代音楽まで、この指揮者のレパートリーの幅広さ(時代的に)を示すもの。アイヴズの交響曲第2番世界初演や、デュ・プレのニューヨーク・フィル・デビューとなったシューマンのチェロ協奏曲など歴史的な公演をいくつか含んでいる。
 価格は$195.00+送料(日本へ1セットなら$34.50)。(00/09/25)

■関連サイト: New York Philharmonic

  BOOKS:「モーツァルトはどう弾いたか」(久元祐子著/丸善ブックス)
 「モーツァルトはどう弾いたか」(久元祐子著/丸善ブックス)を読んだ。ピアニストとして活動する著者が、演奏家の視点からモーツァルトの人と音楽に迫る一冊。タイトルからも分かるように、焦点はピアニストとしてのモーツァルト、モーツァルト時代のピアノに当てられている。モーツァルトの手紙などの文献を頼りにその音楽活動を追いながらも、とりあげられる事例は具体的であり、モーツァルトのピアノ音楽を(特にピアノ・ソナタを)愛好する人にとっては示唆に富む内容。たとえば、「トルコ行進曲」のテンポはどう設定すればよいのか(ご存知のように、ピアニストによって1.5倍くらいは速度が違う)。幻想曲ニ短調の最後の数小節は本来未完であり他人の手が入った楽譜が一般に出版されているが、これはどうすればよいのか。時折左手のパートがすっぽり抜け落ちている戴冠式協奏曲を印刷譜通りに弾くことに意味はあるのか。
 この本の親切なところは一部ネットとの連動をはかっているところで、文字だけでの言及では伝わらないような事柄をウェブ上に音を置いて、耳で確かめられるようになっている。これは技術的にはシンプルなことであっても、非常に効果的で実際的なやり方。
 それにしても、大変なことである、モーツァルトを弾くのは。ピリオド楽器派の隆盛のおかげで、今じゃワタシらはこの時代の音楽を弾くことの難しさについて、すっかり耳年増状態。まず、楽器そのものが大きく違う。さらに紙に固定された出版譜というもののありかたが違う。当時の奏者(しばしば作曲者本人)にとっては自明ゆえに楽譜に書かれていない情報がある。やれやれ。
 だから「モーツァルトはどう弾いたのか」、すごく知りたい。が、結局のところは分からない。しかし分からないが、演奏家は何らかの態度表明は迫られるわけで、評伝的なアプローチによったり記譜法を解釈しながら、形にしていく。その過程の一つをここに見出しながら紐解いていくのもいい。(00/08/16)


  クラシックのコンピレーション・アルバムを企画しよう! アメリカ編
 「コンピレーション・アルバム」ってのがある。何かテーマを掲げて、いろんな既存の音源を集めてタイトルを作るもので、クラシックにもヒット作は結構多い。最近で言うと classical ever! とか、ちょっと前だと「アダージョ・カラヤン」とか。いかにもありそうなのは「マタニティ・クラシック」、「モーニング・バロック」といった類。なかにはかなりトンデモなのも実在してて、「アフター・スキー・クラシック」とか「プッチーニでパスタ」なんてのも見たことがある(ウケ狙いだな)。
 で、そんな「コンピレーション・アルバム」をあなたも企画してプロデューサーになろうっていうコンテストを、米ユニバーサル・クラシックが開催している(→こちら)。グランプリ賞金は1500ドル。もちろん実際に商品化されるのが前提。だからちゃんとユニバーサル系レーベル(グラモフォン、DECCA、フィリップスなど)から音源を具体的に選ばなきゃいけない。
 なかなかおもしろそうでしょ? ただしコンテスト規則を読むと残念ながら米国在住者が対象なのだ。どうっすか、一つ日本のレコード会社さんも同様の企画をやってみては。「どんな音源があるか」ってのが一般の参加者に分かるように、ちゃんとウェブの商品データベースを先に整備しておかないとダメなのが難点ではありますが。 (07/18/00)


  クラシックもようやくDVD時代へ突入
 プレステ2を購入した知人が「ゲームをしていない」と言う。では何に使っているのかと尋ねると、DVDで映画を観ているのだそうである。気がつくと、周囲でのDVD普及率は確実に上昇している。近所のレンタル・ビデオ屋ではついにDVDレンタルまで開始した。
 で、ようやくクラシック音楽の分野にもDVDタイトルがそろってきた。皆が「売れない」と嘆き、なかなか新タイトルがリリースされなかったLD末期からこのDVD普及までに至る、数年間のクラシックの映像タイトル(ほとんど)空白時代がやっと終わってくれそうなのだ。
 というわけで、この半年間くらいにリリースされたDVDタイトルから、主だったものを拾ってみよう。まずは東芝EMIからは97年のバレンボイム/ベルリン・フィルの「ワルトビューネ」。野外コンサートの開放的な気分を楽しめるピクニック・コンサート。「名指揮者たちのリハーサル〜こうして音楽は作られる」は、クライバー、ショルティ、フリッチャイらのリハーサル風景を収めたものでLD発売時にも一部で大いに話題になった。ワーグナーの「ニーベルンゲンの指環」はレーンホフ演出、サヴァリッシュ/バイエルン国立歌劇場の公演。DVDだとあの大作がわずか8枚に収まってしまう。
 映像タイトル枯渇感を一気に癒してくれたのはユニバーサル・クラシックの一連のタイトル。オペラを中心に、以前から定評のあるタイトルを多数リリース。レヴァイン/メトの「アイーダ」、カラヤンの「オテロ」、ベームの「フィデリオ」、ドミンゴ&ストラータスの「道化師」、ベーム指揮ポネル演出の「フィガロ」、クライバーの「こうもり」等々、ほとんどがクラシック映像タイトルの名作といっていいもの。
 ソニークラシカルからは「カラヤンの遺産」シリーズ。ベルリン・フィルとのベートーヴェン/第九(86年)や、ウィーン・フィルとのドヴォルザーク/「新世界より」(85)などが発売中。
 これらは以前にLDなどでリリースされていたもののDVD化だが、8月にはNAXOSの「アルトハウス・ムジークDVD」のような新シリーズも登場する。99年ザルツブルク音楽祭のベルリオーズ「ファウストの劫罰」なんかが観れちゃうのだ。
 「もうすぐDVDの時代になる」と言い出したのは一体何年前のことだったか。長く待たされたねえ。クラシック好きがプレステ2の再生能力に満足できるかどうかは別問題として、間接的ではあってもゲーム機が新しいマーケットを作ってくれたというのは否めないだろう。 (07/18/00)


  サイトウ・キネン「マエストロ・オザワの65歳祝賀チャリティ・コンサート」
 サイトウ・キネン・フェスティバル松本実行委員会は9月1日、長野県松本文化会館にて「マエストロ・オザワ65歳を祝う会」を開催する。小澤征爾65歳を祝って、ロストロポーヴィチが中心となって開くチャリティ・コンサートである。ロストロポーヴィチ自身によるハイドン/チェロ協奏曲、ヴァイオリンのヴェンゲーロフを独奏に招いたサン・サーンス/序奏とロンド・カプリチョーソ、バーバラ・ボニーのレハール/ヴィリアの歌など、豪華出演者が登場、祝賀気分を盛り上げる。オーケストラはロストロポーヴィチ指揮サイトウ・キネン・オーケストラメンバー有志。 (07/18/00)

▼詳細:サイトウ・キネン・フェスティバル公式サイト「マエストロ・オザワ 65歳祝賀チャリティ・コンサート」
http://www.matsumoto.ne.jp/user/skf/news/news-charity.html


  ロンドン響の自主レーベル LSO Live 登場!
 近年、オーケストラ自らがCDを制作するというケースが目立つ。もともと豊富にライヴ音源を持っているということに加えて、ネットを通じて彼ら自身が販売のためのチャンネルを手にしたということも背景にあるだろう。  ロンドン交響楽団が立ち上げた LSO Live レーベルもその一つ。都内の一部輸入ショップにはすでに店頭に並び、売れ行きもなかなかのもののようである。で、やはりというか当然というか、ロンドン響公式サイトでは、これらのCDをオンラインで販売している。
 今回リリースされているのは3タイトル。いずれも首席指揮者のコリン・デイヴィスが振った、ドヴォルザークの交響曲第8番、同第9番「新世界より」、ベルリオーズの「ロメオとジュリエット」(2枚組)。ドヴォルザークの2点は昨年9、10月のライヴ、ベルリオーズは今年の1月といった具合に、鮮度の高さがウリ。加えて廉価でもある。
 同楽団の2000年シーズンのプログラムを眺めながら、次はどのような録音が出てくるのかと、さらに期待を高めてしまう。(05/02/00)

▼詳細:ロンドン交響楽団公式サイト
http://www.lso.co.uk/


  ついに出るのか!? 究極の音楽ゲー
 ゲーセンに溢れる様々な音楽系ゲームを見よ。ワンコインでお手軽にギタリストになれたりキーボード・プレーヤーになれたりするという快楽。今や音楽ゲーはゲーセンの主役の一つとなってるわけだが、その盛り上がりぶりを目にしたことのあるクラシック・ファンには一つの期待、あるいは不安(笑)を胸に抱いたに違いない。「いつか、指揮者ゲーが登場するのではないか……」と。
 そう、ずばり、それ。ゲーセンではなくてプレステ用に今夏発売予定の「マエストロムジーク」は、指揮者ゲーなのだ! しかも専用コントローラー付き(電子指揮棒っすね)。画面に流れる楽譜の表示を見ながら、タクトを振って「カルメン」序曲やら「ウィリアム・テル」序曲を指揮しちゃうのである。演奏結果に対して4段階評価が出たり、あまりに酷いとブーイングの末にゲームオーバーになってしまうなど、なかなかいいところを突いているのだ。発売はグローバル・A・エンタテインメント(→参照:ファミ通.com)。
 さあ、カルロス・クライバーにでもレナード・バーンスタインにでもなるがよいっ! ベータ版があがったら、ぜひ一度取材させてください(爆)>グローバル・A・エンタテインメント様。(03/31/00)

※コナミからの独占販売という形で発売されることになったようっすね(→詳細)(07/26/00)



  サイトウ・キネン・フェスティバル松本、今年の演目を発表
 サイトウ・キネン・フェスティバル松本の2000年度のプログラムが公式サイトで発表された。
 8月26日(土)から9月10日(日)までの夏のフェスティバルでは、音楽監督小澤征爾の指揮で、バッハのロ短調ミサ、およびベートーヴェンの交響曲第2番+第5番のオーケストラ・コンサート、さらには「ふれあいオーケストラコンサート」としてベートーヴェンの第9番他を演奏。
 また「冬の特別公演」が今年も東京と松本で開催される。こちらはマーラーの第9番が演目。引き続き来年年初には同曲でアメリカ公演を開く。
 なお、気になるチケット発売日については5月2日現在、「6月中旬予定」となっているのみ。争奪戦参加予定の方は公式サイトからメール配信サービスに登録すべし! (05/02/00)

▼詳細:「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」公式サイト
http://www.matsumoto.ne.jp/user/skf/index-j.html



  独力でシューリヒトの映像を公開したという快挙
 ネット時代にはこんなこともできちゃうのかと改めて感心。小林徹さんが開設する個人サイト New Carl Schuricht HomePage では、往年の名指揮者カール・シューリヒトの映像を公開したのだ。ストラヴィンスキーの「火の鳥」を振る17秒間の映像を2種類。「たったそれだけ?」なんて思っちゃいけない。映像は雄弁である。風格と気品に溢れる指揮姿をモニタで見られるという幸福。
 もちろん、これは権利者の了解をとって公開されたものである。この「火の鳥」の映像の存在自体はマニア間では知られていた。小林氏は、まず、シューリヒトのライヴ録音を多数リリースしているarchiphonにコンタクトを取り、そこからSDR(南西ドイツ放送協会)での窓口を紹介してもらう。小林氏はシューリヒト夫人からの許諾を得て、その手紙をSDR Mediaに提出、個人のファンによる非営利の活動を前提に交渉した結果、SDR Mediaの許諾と状態の良いビデオテープのコピーを獲得した。一定のロイヤルティが求められ、これは小林氏が個人的に支払った。
 放送局からビデオを提供してもらい、それをネットで公開するなど、普通に考えれば到底できそうもないことである。それを個人的な努力によって実現したのだから、まさしくこれは快挙なのだ。(03/31/00)


  タイムワーナーとEMIの音楽部門が合併! 「ワーナーEMIミュージック」設立へ
 いったい何度驚けばいいんだろうか。つい先日、タイムワーナーはAOLと合併すると報道されたばかりではないか(それもどちらかといえばAOL傘下にあの巨大企業タイムワーナーが入るという、信じられないような話だった。時代は変わる)。それが今度は、タイムワーナーとEMIグループが音楽部門で新会社を設立、「ワーナーEMIミュージック」が誕生する。どんな冗談みたいな話があっても驚いちゃいけない。新会社の出資比率は半々、しかし取締役会ではCEOを含めワーナー側から過半数が出ているので、ややワーナー主導ということか。
 で、クラシック音楽的にはワーナーグループはTeldec、Erato他のレーベルを、EMIグループにはもちろんEMI、さらにはヴァージンクラシックスなどのレーベルを持つ。資本提携だけでレーベルまでが合併するなんていうことはないだろうが、大きな収益をもたらしているとは考えにくいクラシック系レーベルがどうなるのかは気になるところ。98年にはポリグラムがシーグラムのユニバーサル・ミュージック・グループに買収されており、音楽業界の寡占化がこれでまた一段階進んだことになる。
 しかし一番気になるのは、ネットワークでの音楽配信の可能性だろう。ワーナーEMIミュージックがオンラインサービス会社AOLの傘下となるのであれば、誰もが期待するのはこの部分。一足先にソニーミュージックは日本でbit musicを立ち上げているではないか。パッケージからネットワークへ。感じるのは新時代への期待か、得体の知れないものへの不安か? (01/25/00)


  ウエストミンスター、大ディスコグラフィ登場!
 歴史的な名レーベル「ウエストミンスター」の全貌を明かすモニュメント、「ウエストミンスターのアーティストたち」(ユニバーサルビクター発売、3654円)が12月16日に発売される。
 CD2枚+ブックレットという構成であるが、注目すべきはその112ページからなるブックレット。ここに含まれている「ウエストミンスター米オリジナルLPディスコグラフィ」が大労作なのだ。なにしろ、現在ウエストミンスターのオフィシャルな内部資料はほとんど残っていない。アメリカで発行されたカタログ、注文書の類を集め、残されたオリジナル・マスターテープに添付されたレコード番号を参照し、さらには各国のコレクターたちの協力を得て、レコード番号順のディスコグラフィがようやく作られたのだ(それでもどうしても不明の部分は残り、一部は空欄のままとされている)。労力の面でも、採算性の面でも、よくぞこのようなものが発売されるに至ったなというのが率直な印象(この価格設定で採算がとれるとは考えにくい)。
 1949年から1965年までの、この名門レーベルがたどった軌跡を描く「ウエストミンスター・レコード〜その誕生から終焉まで」など、同ブックレットには他にも興味深い読み物が並ぶ。CD2枚はサンプラーといった性格のもの。主役はブックレットである。初回限定のみの発売。(12/07/99)


 
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