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October 1, 2026

キリンチャレンジカップ2026 ニッポンvsベネズエラ代表

ニッポン!●さて、28日に開かれたキリンチャレンジカップ2026のニッポンvsベネズエラ戦だが、いつものように森保監督は選手を大幅に入れ替え、先発に主力選手はごくわずか。GK:小久保玲央ブライアン-DF:渡辺剛、瀬古歩夢、鈴木淳之介-熊坂光希、鎌田大地-中野就斗、相馬勇紀-佐藤龍之介、齋藤俊輔-FW:後藤啓介。ここまで選手が入れ替わると、ウルグアイ戦での成熟したチームとはまったくの別物。ウルグアイ戦では両者のハイレベルな戦いに驚嘆したが、それに比べると数段チーム力が落ちる。もっとも、相手の圧力もウルグアイほどではなく、前半はスコアレス。
●この試合のキーワードは奇妙な「ちぐはぐ」。森保監督は後半頭から大幅に選手を代えて、鈴木彩艶、上田綺世、田中碧、久保建英、伊東純也を投入。これでピリッとした雰囲気になり、一気に攻撃は活性化したことはしたのだが、後半1分にいきなり失点。ええっ……。幸い、後半4分に伊東のクロスに上田が飛び込んで同点ゴール。前半にプレイ機会の少なかった小久保玲央ブライアンを下げて鈴木彩艶を投入したのは意外だったが、珍しく(雨のせいか)鈴木彩艶のミスが目立つ。なんだか小久保に申しわけない気分に。交代枠は11人あったが、3回の交代回数を使い切った後に渡辺剛が負傷し、終盤は10人で戦うことになった(試合開始早々に熊坂が負傷交代したのは不運)。歯車がかみ合わない。
●極めつきは試合終了直前。後半46分、ペナルティエリア内まで攻め込んだ久保が相手と交錯して倒れてボールを奪われるが、笛は鳴らず、そのままベネズエラがカウンターアタックへ。ニッポンのペナルティエリア内まで進入したラミレスを鈴木淳之介がファウルで倒してしまいPKに。が、ここでVARチェックが入る。鈴木淳之介のファウルは明らかだったが、その前の久保の倒れた場面がファウルだということになって、ベネズエラのPKがニッポンのPKに変更されてしまった! なんという気まずさ。当然、ベネズエラ側は猛抗議。それはそうだろう。映像で見れば判定に疑問の余地はなく、ルール通りの対応なのだが、ピッチ上の選手たちは映像を見ていない。完全にフェアな判定なのに、これではどう見ても疑惑のPKだ。親善試合だったのが救い。PKを上田が決めて、ニッポン 2-1 ベネズエラで決着。後味の悪い勝利になってしまった。
●せっかくマリノスのストライカー、谷村海那が代表デビューを果たしたのに、すぐに10人になってしまったので、ほとんど前線でプレイできず。今、大卒からJFL(4部リーグに相当、アマチュアの最高峰)に進む選手はたくさんいると思うが、谷村もそのひとりで、JFLからJ3、J2、J1へと昇りつめて、28歳で代表デビュー。マリノスではゴールを絶賛量産中。中央で頭で合わせる形の多い9番タイプだが、高さやパワーが図抜けているというよりは、ディフェンスとの駆け引きが巧みで、ポジショニングで勝負する選手というイメージ。もう一度、本来のポジションでプレイするチャンスがほしい。

September 30, 2026

アントニオ・パッパーノ指揮ロンドン交響楽団のマーラー「復活」

アントニオ・パッパーノ ロンドン交響楽団 マーラー「復活」
●28日はサントリーホールでアントニオ・パッパーノ指揮ロンドン交響楽団。藤倉大の「アンバー・アルケミー」(Amber Alchemy)(世界初演)とマーラーの交響曲第2番「復活」からなるプログラムで、休憩なし。野村ホールディングス創立100周年記念公演と銘打たれ、藤倉作品もこれを記念して委嘱された新作。この後、ロンドンでも再演される。野村グループのロンドンのオフィスの屋上で目にした養蜂に触発されて書かれたという。事前にミツバチのイメージを知らずとも、群れをなす小さな生体が自在に飛翔するような印象を受けたと思う。巧緻なオーケストレーションによる鮮麗な作品。
●パッパーノのマーラーを聴くのは初めて。弦は対向配置だが、よくある並びと少し違って、第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、コントラバスの並び。棒を使わずに指揮。第1楽章からじっくり重めの足取りで、骨太で強靭なサウンド。オーケストラの機能性を活かした壮烈なスペクタクルがくりひろげられる。とくにブラス・セクションには驚嘆。ホールの空間が飽和するほどの凄まじい音圧なのだが、余裕すら感じる。独唱者はソプラノのマリア・ベングトソン、コントラルトのノア・ベイナルト。まろやかな声による第4楽章「原光」にほっとする。合唱は東京混声合唱団。80名規模でP席に陣取る。おそらくこれまでに聴いた「復活」のなかで、最上級の精緻な合唱。全体として、魂の叫びというよりは、明るい光で照らされたポジティブなマーラーだったと思う。
●舞台裏のバンダも含めて、これだけ大編成のオーケストラが来日してくれたのは僥倖。壮大な終楽章の後、客席は盛大な喝采。楽員退出時も熱のこもった拍手が続き、パッパーノのソロ・カーテンコールに。たっぷりと客席と喝采を受け止める様子に好感。
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●同時刻に開催されたニッポンvsベネズエラ戦の話題はまた明日にでも。
●東京はずっと雨が続いている。これで35日連続(!)の降水が観測され、最長記録を更新したのだとか。ガルシア=マルケスの「百年の孤独」でも、マコンドにずっと雨が降り続けたという記述があった。どれくらい続いたのか、確認してみたら4年11か月と2日だった。これくらい雨が続くと、小雨になっても人は「晴れる兆し」とは受け止めず、「大降りになる前兆」だとみなすという。なんという洞察。

September 29, 2026

バッハ・コレギウム・ジャパン 「英雄」とレクイエム ベートーヴェンへの道 vol.2

鈴木優人 バッハ・コレギウム・ジャパン
●27日は東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパン第174回定期演奏会~「英雄」とレクイエム ベートーヴェンへの道 vol.2。鈴木優人指揮で、前半にベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」、後半にケルビーニのレクイエム ハ短調。両曲は葬送行進曲とレクイエムというつながりがあるのみならず、ベートーヴェンの追悼のためにケルビーニのレクイエムが演奏されたという関連性がある。BCJならではの刺激的なプログラム。前半の「英雄」は二日前にルイージ&N響で聴いたばかりだが、それでもフレッシュな気持ちで聴けるのがこの曲。ピリオド楽器が生み出す音色はベールを一枚剥がしたような生々しさ。軋みを上げて驀進する活力みなぎるベートーヴェン。第4楽章コーダの唐突な祝祭性に改めて圧倒される。
●後半のケルビーニのレクイエム ハ短調は初めて聴いたけど、大きな発見。独唱者なしで、合唱とオーケストラのみによるレクイエム。オーケストラにフルートが入らないのも特徴的。しかも第1曲のイントロイトゥスではヴァイオリンも入らないので、ずいぶんと渋く、くすんだ色調で始まる。ブラームスの「ドイツ・レクイエム」を思い出さずにはいられない。一方で、第3曲ディエス・イレは劇的。なんと、タムタム(銅鑼)の一撃が入る。血沸き肉躍るオペラ調の曲想で、こちらはヴェルディのレクイエムのご先祖様か。19世紀後半の二大レクイエムの源流に出会った気分。第4曲オッフェルトリウムは対位法を駆使した見事なクライマックス。なるほど、ベートーヴェンがケルビーニを高く評価していたはずだと納得。おしまいのアニュス・デイのあとは完全な沈黙を保ってから拍手が沸き起こった。これだけ立派な作品だと、むしろ今なぜケルビーニがあまり演奏されないのかが気になってくる。

September 28, 2026

ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団のベートーヴェン第1番&第3番「英雄」

ファビオ・ルイージ N響
●25日はNHKホールでファビオ・ルイージ指揮N響。プログラムはベートーヴェンの交響曲第1番と第3番「英雄」。N響創立100年記念事業の一環として、来年のベートーヴェン没後200年に向けて行われる交響曲全曲シリーズの幕開けとなる公演。5人の指揮者で分担する全曲シリーズで、トップバッターが首席指揮者ルイージ。
●ルイージのベートーヴェン、以前に交響曲第6番「田園」と第7番を聴いている。オーソドックスな造形で、HIPではなく、温かい音色で流麗。前へ前へと進む。「英雄」は進むにつれて熱を帯びた。第2楽章や第4楽章は構築性のなかに息づく伸びやかな歌謡性が印象に残る。
●このベートーヴェン・シリーズ、この後は来月にエッシェンバッハが第8番&第5番「運命」、11月にソヒエフが第2番&第6番「田園」、12月にデュトワが第4番&第7番、ヤノフスキが「第九」というラインナップになっている。N響と縁の深い指揮者陣が並び、重量級の顔ぶれ。だれが何番を振るか、どうやって決めたんだろう。「みんな、それぞれ希望があると思うから、全員でzoomミーティングして決めようぜ!」って、わけにもいかないか。

September 25, 2026

キリンチャレンジカップ2026 ニッポンvsウルグアイ代表

ニッポン!●ワールドカップ北中米大会ではモヤモヤした敗退で終わった日本代表だが、2027年1月のAFCアジアカップに向けて、いよいよリスタート。アジアカップではカタールが2連覇をしており、ニッポンは2011年以来の優勝を目指す。新たな門出だ……と言いたいところだが、諸般の事情で森保監督が半年限定で続投することに。布陣は変わらず、選手の入れ替わりもわずか。このウルグアイ代表戦は気の抜けたビールみたいな試合になるのではないか。と、試合開始前は思っていたのだが、始まってみるとバチバチにやり合う激しいゲームになった。うまい、強い、速い。ハイレベルなプレイの応酬で、親善試合らしからぬ意地のぶつかり合いに。ウルグアイも一部選手は相当熱くなっていた。考えてみれば、両チームの選手ともシーズン序盤で気力も体力も充実している。ニッポンはびっくりするくらいハイレベルだと改めて思ったし(判断のスピードが速く、縦にも速い、簡単にボールを下げない)、一方でウルグアイもモンスターぞろいで、こんな相手に勝つのは並大抵のことじゃないなと思った、勝ったんだけど!
●序盤にニッポンは代表デビューの松木玖生が、右サイドからカットインしてファーに突き刺すシュートで先制。左サイドで中村敬斗がたびたび見せるプレイの逆バージョンみたい。というか、そんなウィンガー調のポジションで使える選手だったとは。所属のサウサンプトン(イングランド2部)でも、このポジションなの?
●しかし、前半42分、ビルドアップ時のミスからボールを奪われて、痛恨の失点。キーパーの早川が一度は足先で防いだが、こぼれ球をアラウホに決められた。後半はニッポンのミスが目立つようになり、厳しい展開になるかと思ったが、ウルグアイがチャンスに決めきれず。後半46分、途中出場の塩貝が上田とのコンビからキーパーと一対一となって、勝ち越しゴール。さらに試合終了直前にも伊東のスルーパスに抜け出した上田が決めて3点目。ニッポン 3-1 ウルグアイ。ウルグアイの監督はディエゴ・フォルラン。
●先発はGK:早川友基-DF:瀬古歩夢、板倉滉、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、佐野航大-松木玖生、中村敬斗-堂安律、鈴木唯人-FW:前田大然。途中出場は鈴木淳之介、相馬勇紀、伊東純也、鎌田大地、田中碧、久保建英、上田綺世、塩貝健人。塩貝はパスを出せる場面でも強引な突破でボールをロストしていたが、得点の場面では上田にボールを預けたことでフリーになれた。強引さは持ち味だけど、もっとシンプルにプレーしたほうが点を獲れるはず。前田の前線からの鬼プレスは健在。佐野の兄弟ボランチが実現。代表戦で同じポジションに兄弟で出場した例は過去にあるのだろうか。
●これまでの代表ウィークは一週で2試合を行っていたが、今シーズンからは9月と10月の代表ウィークがひとまとめにされて、二週で4試合になった。移動時間が長い日本代表にはありがたい。反面、各国リーグ戦の中断は長くなる。

September 24, 2026

オーケストラ・アンサンブル金沢 2027/28シーズンプログラム発表 記者会見

オーケストラ・アンサンブル金沢 2027/28シーズンプログラム発表 記者会見
●19日午前、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の2027/28シーズンプログラム発表記者会見にリモートで参加。会場は石川県立音楽堂の音楽資料室で、広上淳一OEKアーティスティック・リーダー(中央)、表正人石川県立音楽堂館長(右)、床坊剛OEKゼネラルマネージャーが登壇(写真はOEK提供)。現地の会見にリモートも加わるハイブリッド方式で、使用ツールはZoom。
●新シーズンは4月に開幕し、定期公演は3シリーズで計16公演。広上淳一指揮によるベートーヴェン全交響曲シリーズが第1番で完結すると同時に、シューベルト全交響曲シリーズが「未完成」でスタートする(27年9月)。「シューベルトに特別な思い入れがある。全曲演奏は今回が初めて。歳を重ねた今、OEKとともに取り組みたいと思った」とマエストロは語る。目をひくのは初共演の指揮者が4人もいること。しかもその4人がウェイン・マーシャル(27年6月)、濱田芳通(27年10月)、上岡敏之(28年1月)、米田覚士(28年3月)といった陣容で、若手からベテランまで多彩。濱田芳通指揮のバロック・プログラムではカウンターテナーの彌勒忠史も登場して強力。売り出し中の米田覚士はウィーン古典派に武満、プロコフィエフ「古典」を組み合わせる。
●ほかに客演勢ではエンリコ・オノフリ(27年11月)がベートーヴェンの第7番ほか。超久々に登場する小泉和裕(27年10月)もベートーヴェンで、第2番&第6番「田園」。ソリストでは亀井聖矢がカプースチンのピアノ協奏曲第4番で川瀬賢太郎と共演する(28年1月)。これは人気を呼びそう。

September 21, 2026

ロレンツォ・ヴィオッティ指揮東京交響楽団のフランツ・シュミット「7つの封印の書」

ヴィオッティ 東京交響楽団
●19日はサントリーホールでロレンツォ・ヴィオッティ指揮東京交響楽団。フランツ・シュミットのオラトリオ「7つの封印の書」を、ルイージ指揮N響の一週間後に聴くことになろうとは。なんという偶然。N響の側にはルイージの最重要レパートリーを創立100年に演奏するという動機があるわけだが、東響にとってこの曲は自分たちが日本初演を担った作品。しかも新シェフのヴィオッティはかつてアーノンクール指揮のもとで同曲の合唱を歌った経験がある。両者ともに必然の「7つの封印の書」。
●ふだん聴くチャンスのない作品だけあって、2度目に聴いたほうがより作品に親しめることはまちがいない。なにしろルイージ&N響の最上級の演奏で予習しているわけで、こんなに贅沢な話もない。環境がもたらす違いとしては、NHKホールではオルガンが天の高みで鳴るイメージだったが、サントリーホールでのオルガンはあらゆる音響の中心に位置する巨大な存在。ヴィオッティ指揮東響は明るさと温かみ、豊かさを感じさせるサウンド。見通しがよく、響きは明快。東響コーラスの次第に高まる「ハレルヤ」は鳥肌もの。フランツ・シュミットの音楽は簡明さと複雑さの両極から感情を揺さぶってくる。荘厳さ以上にエモーショナルな要素を感じた。ヨハネにマキシミリアン・シュミット、神の声にフランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ、ソプラノにクリスティーナ・ランツハマー、メゾソプラノにカトリオーナ・モリソン、テノールにパトリック・グラール、バスバリトンにクレシミル・ストラジャナッツ、オルガンに大木麻理。
●N響とは違い、こちらは休憩あり。作品本位で考えれば休憩なしに理があるとは思うものの、現実的には休憩ありが親切。休憩なしだと終盤に席を立たざるを得ない人が少なからず出てしまうので。心配事がひとつ減る分、演奏に集中できるのは大きな利点。
●で、この曲、音の構築性や音響美だけで楽しむことも不可能ではないけど、フランツ・シュミットの音楽はテキストと分かちがたく結びついている。2度目に聴いて改めて強く感じたのは「ヨハネの黙示録」の二元論的な世界観。善/悪、神/サタン、神に忠実な者/そうでない者、命の書に記された者/火の池(炎の海)に放り込まれる者。常に世界は二分され、中間的な立ち位置を許さない。世界に神の裁きが下され、災厄で人々は滅び、死後に復活し、命の書に記された者は永遠の命を手にするが、そうでないものは火の池へ。救われる者とそうでない者は厳しく峻別される。前回も書いたけど、ここは信仰とヒューマニズムの間の緊張関係があらわになる部分だ。ある意味、こういった二元論は時流に即しているとも言える。だが、そんな世界で自分はきっと火の池に放り込まれる側になると予感する者は、これをどう受け止めればいいのか。その摩擦はどこまで行っても残るんじゃないかな。20世紀の宗教音楽でこの曲の対極に位置するのが、死後に敵との邂逅が待つブリテンの「戦争レクイエム」だと思う。
●世間は五連休。いつも当欄は暦通りの更新だけど、ずいぶん間が空いてしまうので中日に更新。

September 18, 2026

東京都現代美術館「多田美波―光、凛と ゆれる」

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●東京都現代美術館の「多田美波―光、凛と ゆれる」展へ。抽象彫刻家・造形作家の多田美波(1924–2014)の大規模個展。初期の絵画から「光造形」と呼ばれるシャンデリアなどの照明作品も含む約70点が展示。なかには現存しない作品の再制作、再構成も含まれている。上の写真は、中央の「スペース・アイ No.4」(1975)などが集中的に展示されている一室。柔らかい光と反射、透明感、くすんだ色調が作り出す心地よい空間で、ここでゆっくりと時を過ごしたくなる。

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●これは「周波数 37303030MC」(1963/東京国立近代美術館蔵)。意味ありげな周波数の数字を添えた作品がいくつもあるのだが、共通する最初の3桁「373」は「美波」だろうから、さしたる意味はないのかも。「373」に続く「03030」は「オッサン、オサレ~」だろうか(きっと違う)。

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●これは床に大きく広がる「オートシンクローネ」(1973/2026)。10×10のユニットの集合体で、それぞれにポコッとした半球状のふくらみがある。水泡のような、気泡のような。半球に周囲の像がさまざまな模様で映りこむ。オリジナルは現存せず、残された型と設計図から再制作されたそう。無機的な質感から有機的なイメージが立ち昇ってくるおもしろさ。

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●初期の絵画なんだけど、なにを描いているか、わかるだろうか。ぱっと見、工場とか鉄塔のイメージか。正解は変電所。1950年代に変電所を題材にした絵画をいくつも描いていたという。当時の変電所は、今よりずっと存在感のあるものだったのだろう。産業と労働のシンボルか。

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●天井からぶら下がっているのが、「翔」(1986/2026)。その名の通り軽やかな飛翔感が漂うが、ステンレス製で総重量360kgと聞くと、真下にいるのが落ち着かなくなる。もともとは神奈川県南足柄市市庁舎の天井に設置されていたが、近年に撤去され、今回再制作されたもの。
●多田美波作品は各地のホテルや公園、駅、劇場などにも残されている。知らず知らずのうちに目にしているわけだが、ワタシらにとって、いちばんなじみ深い場所に展示されているのは、以下の作品では。東京芸術劇場コンサートホールの1階席ロビーにある「調」(1990)。先日、サラダ音楽祭に足を運んだついでに撮ってきた。
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飯尾洋一(Yoichi Iio)

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