●この試合はしっかり見た! ワールドカップの決勝トーナメント1回戦の好カード、イングランドvsコンゴ。試合はお互いに主導権を握ろうとするチーム同士がぶつかり合うナイスゲームとして始まった。コンゴはグループリーグ第3戦のウズベキスタン戦で先制されながらも終盤に大爆発して逆転勝利を収めたチーム。当初は5バックを採用していたらしいが、ウズベキスタン戦の4バックの成功を受けて、イングランド相手にも4-3-3の攻撃的な布陣で立ち向かった。コンゴ代表といっても、プレミアリーグなどでプレイする選手たちから構成され、メンバーの大半はヨーロッパ生まれ。コンゴにルーツがあるが、ヨーロッパで生まれ、ヨーロッパでプレイする選手たちなのだ。当然、プレイは洗練されている。キーパーからボールをつなぐ際は、両サイドバックが高いポジションを取り、配給力のあるボランチが一枚、センターバックの間に下りてきて3バック調になる。序盤からすっ飛ばしてきて、なんと、前半7分にチペンガが左の浅い角度からキーパーのニアを豪快にぶち抜いて先制ゴール。
●この後もお互いに攻め合って、あわやコンゴの2点目もありえた。イングランドは個の突破力による仕掛けは有効なのだが、チーム全体としてのダイナミズムや連動性がもうひとつ。一部の選手は体が重そうに見える。後半の後半になると、イングランドが攻めて、コンゴが守る展開に。ここで決定的な役割を果たしたのが、イングランドのエース、ハリー・ケイン。後半30分、ふわりとした、なんでもないクロスに対して、するするとフリーになったケインがゴールから遠ざかりながらのテクニカルなヘディングで同点ゴール。さらに後半41分、ペナルティエリア手前からケインがぬるっと持ち込んで豪快な右足弾をゴール右上に突き刺して逆転。ほとんどチャンスとも言えない状態から、ケインが個人の能力で問題を解決してしまった。イングランドが逆転勝利。コンゴ側から見ると、ニッポンvsブラジル戦を思い出すような展開。
●後半だったかな、イングランドのトゥヘル監督が選手に対して激高している場面があった。どうやらスローインを後ろにした場面らしい。
●ハイドレーション・ブレークのブーイングはすっかり定着している。
●大半の選手が外国生まれなのはコンゴだけではない。強豪モロッコも同様。アルジェリアやカーボベルデ、チュニジア、セネガルなど、アフリカ勢の多くのチームでは外国生まれの選手が大勢選ばれている(例外はエジプト、南アフリカ)。かつてサッカー界にアフリカ脅威論が囁かれた時代があったが、実際にはアフリカ系の才能はどんどんヨーロッパに取り込まれ、ヨーロッパの代表チームのアフリカ化が勢いよく進んだ。すると、その次はヨーロッパで生まれヨーロッパで育成されたアフリカ系の選手たちが、ルーツのある国の代表選手に選出されるようになった。アフリカからヨーロッパへ、そしてヨーロッパからアフリカへ。だが、この後はどうなるのだろう。今、コンゴにルーツのある欧州の選手たちがコンゴ代表になれても、次の世代はもう親も欧州生まれになってしまい、コンゴ代表の資格を喪失するのではないか。そう考えると、コンゴの今後は難しい(←それ言いたかったの!?)
ワールドカップ2026北中米大会 決勝トーナメント1回戦 イングランドvsコンゴ
新国立劇場 リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」新制作

●29日は新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの「エレクトラ」新制作。演出はヨハネス・エラート。平日夜の公演。この日は深夜にワールドカップのニッポンvsブラジル戦もあったので高密度。大野和士指揮東京フィル。エレクトラにアイレ・アッソーニ、クリソテミスにヘドヴィグ・ハウゲルド、クリテムネストラに藤村実穂子、オレストにエギルス・シリンス、エギストに工藤和真。音楽面は充実。この作品にはオーケストラの切り裂くような鋭利さと潤いのある豊麗さの両面が必須だと思うが、東フィルが好演。アッソーニの題名役は、超越的というよりは人間的な苦悩や葛藤を感じさせるエレクトラ。むしろハウゲルドの妹クリソテミスのほうが超然としてパワフル。
●「エレクトラ」は父アガメムノンを殺した母クリテムネストラに対する娘エレクトラの復讐譚だが、この物語には本来前史があって、アガメムノンはトロイア戦争のために娘イフィゲニアを生贄に捧げている。クリテムネストラは娘の復讐としてアガメムノンを殺した。この前史を考えると、クリテムネストラにも正義があるわけで、エレクトラの母殺しに共感できなくなるわけだが、シュトラウスのオペラはそこを描いてはいない。むしろ閉じた物語で、毒親と子の閉じた密室の家庭劇といった感がある。ヨハネス・エラートの演出は舞台上を狭く使って閉塞感のある家庭の情景を切り取るもので、トーンとしてはダーク&ポップ。室内の左右に設置されたブランコ、クマちゃんのぬいぐるみたち、ピンクの公衆電話、白塗りのピエロたちなど、思わせぶり。開幕前から「ドクン、ドクン……」と心臓の鼓動音らしき重低音が流されていた。これらにどんな狙いがあるのか、知ったところで「なるほど」と思えるかどうかはわからない。賛否両論あるはず。ただ、情報量の多さという点では歓迎。隙間が埋まらない伝統演出よりは、饒舌な現代演出のほうが楽しめる。みんな、ブランコを漕ぐ。大人がブランコを漕ぐ場面って、それだけで心がざわざわするのはなぜなのか。
●監視の女に森谷真理、下女に清水華澄、田崎尚美といった実力者たちの名前が並んでいたが、それぞれクリソテミス、クリテムネストラ、エレクトラ役のカバーを兼ねていた。
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●ワールドカップは決勝トーナメント1回戦が猛スピードで消化されている。ドイツがPK戦の末にパラグアイに敗れたのは番狂わせ。
ワールドカップ2026北中米大会 決勝トーナメント1回戦 ブラジルvsニッポン
●ニッポンがこれまでに一度も勝っていないワールドカップの決勝トーナメント1回戦。よりによって相手がブラジル、しかも午前2時キックオフ。しょうがないのでライブで中継を見たが、なんとも言えない気分だ。ニッポンが前半にカウンターから佐野海舟の見事なゴールで先制し、そのままリードして前半を終えたところまでは森保監督の狙い通りだったと思う。しかし、後半11分にカゼミーロの頭で同点ゴールを決められ、以降は防戦一方になったところで、アディショナルタイムの後半51分にゴール前でボールを奪われて細かいつなぎからガブリエウ・マルティネッリが逆転ゴール。そのままブラジル 2-1 ニッポンの結果に。
●2006年ドイツ大会でも決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦し、玉田が先制ゴールを奪ったが、その後、大崩れして1-4で敗れた。同じ逆転負けでも、その頃とは違って、今回は現実的な勝利のチャンスがあったとは思う。とくに前半はニッポンのペースで、前田大然らの前線からのプレスも効いていたし、ブラジルがボールを回していても、連動性の高い守備で落ち着いて対応できていた。危険な縦パスへの対処もほぼできていた。なんなら2点目を獲る可能性もあったのでは。ただ、ブラジルの監督はアンチェロッティ。わざわざイタリア人の名将を呼んだだけあって、後半の修正はリアリズムに徹したもの。中盤を制圧して相手を崩そうとはせずに、左右両サイドからのクロスをどんどんと入れる形に。これが効果的で、ニッポンは跳ね返すのに精いっぱい。奪ったボールをカウンターにつなげない。同点ゴールを奪われた後、森保監督はコンディション面でも厳しそうな両サイドを交代したのだが、左は中村敬斗から鈴木淳之介へ、右は堂安から菅原へと代わり、かなり守備的な布陣になってしまった。これではふつうの5バックではないの。が、しかたがないのだ。選手がいない。久保は初戦でけがをしたまま。もともと三笘と南野が不在の中、攻撃の中心選手をさらに欠いているという選手層の薄さがここで出てしまった。その後、田中碧、町野、小川を投入したが、攻撃のスイッチは入らず。アンチェロッティが打った妙手に対して、こちらは手駒が足りずに対応できなかったという印象。
●先発はGK:鈴木彩艶-DF:冨安健洋、谷口彰悟、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、鎌田大地-堂安律、中村敬斗-伊東純也、前田大然-FW:上田綺世。彩艶はずっと大活躍。今大会、ラウンド32でいきなりブラジルと当たったのは正直不運ではある。大会前からのけが人の多さが悔やまれるのはザッケローニのときと似ていて、もやもやとした終わり方になる。やはりこのレベルの相手と互角に戦うには、選手層の厚みがまだまだ足りないのか。
調布国際音楽祭 バッハ・コレギウム・ジャパン「狩のカンタータ」
●28日は調布国際音楽祭へ。調布市グリーンホールでバッハ・コレギウム・ジャパン「狩のカンタータ」。指揮は鈴木優人。バロック音楽の名曲を集めたプログラムで、こういった公演を聴くチャンスは意外とない。しかも豪華出演者陣がそろい、かなりぜいたく。前半はバッハの管弦楽組曲第1番、ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲「海の嵐」と「ごしきひわ」(アンドレアス・ベーレン)、ブランデンブルク協奏曲第5番(チェンバロに鈴木雅明)、後半はヘンデルの二重協奏曲第3番の第1~第3曲から、バッハの狩のカンタータ「楽しき狩こそわが悦び!」、ヘンデルの二重協奏曲第3番の第6曲。声楽陣はディアナに森麻季、パラスに松井亜希、エンデュミオンに櫻田亮、パンに大西宇宙。
●前半は、まろやかな音色によるバッハで始まる愉悦のひととき。ヴィヴァルディの「海の嵐」と「ごしきひわ」は2種類のリコーダーを用いて。軽やかで爽快。後半の趣向がおもしろくて、ヘンデルの二重協奏曲第3番の第1~第3曲からそのままつなげて「狩のカンタータ」に入った。ヘンデルの第3曲を演奏中にソプラノの森麻季が入場してきたので「あ、これってつながるんだ」と気づく。両曲とも左右に配置された狩のホルンが大活躍(福川伸陽、信末碩才、根本めぐみ、伴野涼介)。オペラ的な「狩のカンタータ」に対して、ヘンデルの二重協奏曲が序曲のような役割を果たした形。さらに「狩のカンタータ」のおしまいから、ヘンデルの二重協奏曲の第6曲へとつながって、華やかなフィナーレに。音楽祭のしめくくりの公演にふさわしい祝祭感。優人さんからの挨拶があって、アンコールとしてヘンデルの二重協奏曲の第6曲をもう一度。左右の狩のホルン合戦が一段とはじけた調子で、大いに盛り上がった。
●調布国際音楽祭、2013年にスタートしてから、しっかりと続いて地元に定着しているのは立派。手作り感とクオリティの高さを両立しているのがすごい。
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●別の話題をひとつ。Nintendo Switch用のソフト「オペラキング」なるものを発見。動画を見て笑った。秀逸、なのか。
ワールドカップ2026北中米大会 グループリーグを終えて
●参加48チームから決勝トーナメントに進む32チームを選ぶのが今大会のグループリーグ。つまり16チームを落とすために、ここまで72試合もやってきたわけだ。各組1位と2位に加えて、3位の成績上位8チームが上に進めるということで、勝点3の韓国とイランがボーダーライン上にいた。当初、韓国はほぼセーフ、イランもなんとかなるか……と思っていたのだが、ほかのグループの結果が裏目に出て、両者とも敗退に。最初の数日間、アジア勢は無敗だったので新しい風が吹くかと思いきや、結局、9チーム参加したアジア勢で決勝トーナメントに進めたのは日本とオーストラリアのみ。しかし、アメリカ入国や滞在を巡る逆風のなかでイランの3引分けは大健闘とも言える。
●サウジアラビアにもチャンスはあった。初戦でウルグアイに引分け、第2戦のスペインには大敗したが、3戦目のカーボベルデ戦で勝てば先に進めた。この試合、サウジにも惜しいチャンスがいくつかあったのだが、終盤でだいぶ押し込まれて0対0のドロー。カーボベルデは3引分けなのだが、同組2位になって決勝トーナメント進出。そういうルールだから仕方がないが、同じ勝点の韓国やイランとは明暗が分かれた。
●コンゴvsウズベキスタンにも注目していた。この試合、ウズベキスタンは大量得点で勝たないかぎり、先に進めない状況だったが、すごいテンションでコンゴに立ち向かって前半に先制。後半30分くらいまでは勝ちゲームの流れだったと思うが、終盤、コンゴに同点ゴールを決められると、一気に崩れて逆転ゴールまで決められてしまった。ウズベキスタンが勝つか引き分ければ、ボーダーライン上にいる韓国とイランへのアシストになったのだが。
●アジアのなかで戦っていると韓国やイランはもちろんのこと、サウジアラビアやウズベキスタン、さらにはカタールやヨルダンも手ごわい相手だと感じるのだが、ワールドカップになると見え方がずいぶん違ってくる。敵地で戦ったときにはしばしば不条理なほどに強いのだが……。
ワールドカップ2026北中米大会 グループF 第3節 ニッポンvsスウェーデン
●ワールドカップ2026、グループリーグの第3戦はニッポンvsスウェーデン。ニッポンはここまで1勝1分、スウェーデンは1勝1敗。勝点4の日本代表は負けても3位で決勝トーナメントに進めるという状況。1位を争っているオランダがチュニジアと対戦することを考えると、たとえ勝っても1位は難しそう。一方、スウェーデンは勝利か引分けでオーケー。そう考えると、いかにも引分けになりそうな状況で試合が始まり、実際に1対1の引分けで終わった。ただ、内容はそう単純でもない。一言でいえば、あまりニッポンは強くなかった。思ったよりスウェーデンの時間帯が長く、終盤は耐える展開になってしまった。
●大幅なターンオーバーも考えられる状況だが、森保監督は一部の選手を入れ替えたのみ。GK:鈴木彩艶-DF:瀬古、板倉、伊藤洋輝-MF:田中碧、鎌田-菅原、中村敬斗-堂安、前田大然-FW:上田。佐野海舟を外してきたのは意外。右に菅原を入れて、代わりに堂安を2シャドーの一角に入れた。左は中村。ここに前田を入れて中村を休ませるかとも思ったが。久保の不在が痛い。スウェーデンは3-4-3で似たような布陣だが、3トップにギェケレシュ、イサク、エランガを並べる攻撃的布陣。それぞれ所属はアーセナル、リヴァプール、ニューカッスル。欧州だと中堅国くらいのイメージでもこれくらいのレベルの選手がそろうわけで、脅威。スウェーデンの対ニッポン対策は明快で、中盤で争わず、後方からロングボールを前線に入れる。一時期、ニッポンはアジアでオーストラリア代表にずいぶんこれをやられたわけだが、悔しいことにこれが有効なのだ。こちらは必死に跳ね返して防ぐのだが、消耗度は高い。向こうは失敗してもカウンターを食らう心配がない。前半39分になぜか板倉が谷口と交代。ハーフタイムまで待てば、交代回数を1回使わなくて済んだが、なにかコンディションに問題があったのか。レフェリングの不安定さも逆風に。前半は膠着したゲームでスコアレス。
●後半11分、ニッポンが美しいゴールで先制。菅原から堂安、上田、堂安とボールがわたってスルーパスに前田が走り込んでゴール。完全に相手を崩す。ここで波に乗る可能性もあったと思うのだが、その6分後にエランガがペナルティエリア右隅くらいから対角にすごいシュートを決めて同点。個の力に物を言わせた。その後、ニッポンは小川、伊東を入れ、さらになぜかセンターバックの渡辺剛、まかさのレジェンド長友を投入。これら交代策が実らず、終盤はほとんどスウェーデンの攻撃に耐えていた。なかなかマイボールにできない上に、奪っても前につなげずカウンターが発動しない。長友のところにボールが来るとハラハラする。これで負けたら森保監督が批判されることは必至。しかし、スウェーデンも無理をして攻める理由はないわけで、試合は無事に1対1で終わった。
●ニッポンは中村敬斗の技巧的なシュートが惜しかった。鈴木彩艶のビッグセーブあり。全体にニッポンは守備から攻撃への切り替えがうまくできず、選手のコンディションも下がり気味か。もともと中心選手を3人ほど欠いているところに、久保がケガで抜け、センターバック陣も板倉や冨安をだましだまし使っている状況で、選手の頭数が足りない。伊東も交代出場直後にうずくまっていたが大丈夫なのだろうか。試合後のインタビューで長友が達成感いっぱいの表情で「マンマミーア」を連発していたが、すごく違和感があった。次のブラジル戦で勝った後に言うのならわかるのだが。今日の試合は大事なところがうまくいかなかったゲームだと思う。ニッポンはグループを2位で通過、ブラジルより休養が一日少ない中三日で決勝トーナメント1回戦に臨む。
東京国立近代美術館 杉本博司 絶滅写真

●東京国立近代美術館の企画展「杉本博司 絶滅写真」へ。杉本博司の銀塩写真約60点が展示されている。「絶滅写真」とは銀塩写真の技術が絶滅しつつあるというニュアンスか。いくつか主要なシリーズがあって、上は「劇場」シリーズのひとつ、「ガルニエ宮、パリ」(2019)。パリ・オペラ座だ。舞台上は明るく、真っ白。反射を防ぐために角度を付けて撮っている。写真の写真を撮るとは。しかも銀塩写真をスマホで撮っている。

●こちらは同じシリーズの「ユニオンシティ・ドライブイン、ユニオンシティ」(1993)。こちらもスクリーンは真っ白。光ってるけど、なにもやってない劇場がこんなふうにいくつも並んでいた。

●こちらは「海景」シリーズの一枚で、「カリブ海、ジャマイカ」(1980)。海、空、水平線が並ぶ。写真の技術的な部分はわからないので、絵画と同じように眺めるしかないのだが、多くの海の絵画に水の流れや光のきらめきや風を感じるのに対し、この海は時の流れが止まって固定化されているかのよう。固体みたいな質感。

●「ナポレオン・ボナパルト」(1999)。ほかにもダイアナ妃やフィデル・カストロ、昭和天皇らの肖像が並ぶ。ん、なんなんだこりゃ、と思うわけだが、これはロンドンのマダム・タッソー蝋人形館の蝋人形を撮影している。一種の複写物のそのまた複写物が、かえって生きているように見えるという不思議。
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●ワールドカップはDAZNのハイライトで追いかけている。前にも書いたように参加国と試合数が増えたので、グループリーグ期間中は自重せねば。今日から一日に6試合も行う。6試合×4日間の24試合でグループリーグ第3節を片付けるわけだ。大盤振る舞いというか、大安売りというか……。
ドナルド・ラニクルズ指揮ドレスデン・フィル、亀井聖矢

●23日はミューザ川崎でドナルド・ラニクルズ指揮ドレスデン・フィル。なんと、ラニクルズはこれが初来日なのだとか。これはびっくり。ラニクルズはスコットランド出身の指揮者だけど、印象としてはほとんどドイツの名指揮者。長くベルリン・ドイツ・オペラの音楽総監督を務め、ベルリン・フィルにもたびたび客演している。25/26シーズンから同楽団の首席指揮者を務めているそう。ドレスデン・フィルもライブではたぶん初めて聴くので、新鮮。弦楽器は音域順に並ぶストコフスキ配置。
●プログラムはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」(亀井聖矢)とブラームスの交響曲第4番。ドレスデン・フィルはすっきり端正なサウンドで、とくに弦楽器の落ち着きのあるくすんだ音色が印象的。重厚かと思いきや、重心はかなり高めで、ノーブルな雰囲気。前半の「皇帝」では亀井聖矢が磨き抜かれたテクニックを披露。きわめてブリリアントなソロで、これ以上はないというほどきらびやかなベートーヴェン。客席は即座にスタンディングオベーションをする人がたくさんいて、人気は健在。ソリスト・アンコールにシューベルト~リストの「ます」。華麗。オーケストラの楽員たちがざわめいていた。後半、ブラームスの交響曲第4番は滋味豊か。自然な音楽の流れが心地よい。終楽章は一段ギアを上げて熱い演奏に。アンコールはハンガリー舞曲第5番。すっかり手の内に入った様子の自在の演奏で客席をわかせた。
●ラニクルズは珍しいサウスポーの指揮者。前半の「皇帝」は指揮棒を持たなかったので左利きであることは目立たなかったかもしれないが、後半のブラームスは左手に指揮棒を持って登場。パーヴォ・ベルグルンド亡き今、左で振る指揮者はラニクルズと出口大地しか知らない。
