●ラウンド16の屈指の好カードがともに月曜日の朝に開かれることに。まずはブラジルvsノルウェー。ニッポンに逆転勝利したブラジルだが、実はノルウェー相手に一度も勝ったことがない。以前、ワールドカップで対戦したときも敗れている(あれはグループリーグで負けても問題ない状況だったとは思うが)。で、今回のノルウェーはハーランドやウーデゴールといった攻撃のタレントを擁し、優勝候補の一角にも挙げられている。なんと、試合はボールを保持するノルウェーと、守ってカウンターをくりだすブラジルという展開に。まさか、ブラジルがそんな戦い方を強いられるとは。ノルウェーはブラジル相手にどんどんボールを回す。それが序盤だけではなく、一試合続く。ノルウェーのボール保持率は67%、パスの本数はブラジルの倍近く。ノルウェーは怪物ハーランドの個人能力で2ゴールを奪って、ブラジルを一蹴した。ブラジル 1-2 ノルウェー。
●前半10分にブラジルが獲得したPKをギマランイスが決めていたら、違った展開になったかもしれない……いや、どうかな。高さで圧倒できるノルウェーだが、簡単にボールを放り込まず、可能な限りボールを保持する。後半34分にシンプルなクロスからハーランドが頭で決めて先制、後半45分にふたたびハーランドがペナルティエリア手前からズドンと豪快に打ち込んで2点目。攻撃の戦術はハーランド。ハーランドを見ていると、子どもの試合に大人がまじっているかのよう。規格外のフィジカル。ノルウェーが後半開始時に前線の両サイドを交代したのはどういう意図だったんだろう。予定していた交代なのか。
●驚いたのはアンチェロッティ監督が後半からネイマールを投入したこと。トップレベルでのプレイから離れて久しいネイマールが代表に選ばれたことも意外だったが、こんなに大事な場面で使うとは。そしてネイマール投入後に、ノルウェーが2ゴールを決めてしまう。これで試合は決まったと思ったが、アディショナルタイムの後半53分にブラジルがふたたびPKをゲット。VARで見ても「不要なPK」としか思えなかったが、PKキッカーはネイマール。なにかキーパーを煽った後、PKを決めて、その後、にっこりとして投げキッス。いやいや、あんた、いま負けようとしてるんだけど! 場違いも甚だしい。蛇足としか思えない茶番劇。アンチェロッティは稀代の名将だけど、こういうところはなんといえばいいのか。全方位的な配慮の一環? ともあれ、ブラジルは「伝説」の予感を漂わせないまま大会を去った。
●もう1試合はメキシコvsイングランド。場所はメキシコのホーム、標高2240mのアステカ・スタジアム。空気が薄い。序盤から現代フットボールとは思えないほど選手間の距離が広く、ハイプレス合戦もコンパクトな守備陣形もなし。このスタジアムでメキシコは13年間負けていない。地の利は圧倒的にメキシコ。率いるのは元日本代表監督のアギーレ。優勝候補のイングランドも苦戦は必至。実際、「オーレ!」の掛け声とともにメキシコがペースを握っていたのだが、前半36分、サカのクロスにベリンガムがヘディングでゴール。ここはメキシコのディフェンスがルーズになっていたと思う。で、その直後、メキシコのボールロストからイングランドが攻めて、ふたたびベリンガムが2点目。この連続失点が痛かった。
●これで試合が壊れるかと思いきや、メキシコは魂のフットボールでキニョーネスが1点返す。さらに後半、イングランドのクアンサーが危険なタックルで退場。これで試合がおもしろくなるかと思いきや、メキシコは不用意なPKを与えて、ハリー・ケインが決めてふたたび2点差に。さらに場内の雰囲気に押されるように、こんどはメキシコにもPKが与えられて、ラウル・ヒメネスが決めて2対3。あとはメキシコが攻め続け、イングランドがよれよれになりながら守る時間が続いて、タイムアップ。メキシコ 2-3 イングランド。
●感想を一言でいえば、メキシコの自滅か。地の利も数的優位もあったのに。イングランドは勝ち進んだけど、かなり疲弊したはず。
ワールドカップ2026北中米大会 ラウンド16 ブラジルvsノルウェー、メキシコvsイングランド
ワールドカップ2026北中米大会 ラウンド16 パラグアイvsフランス
●さて、ワールドカップはラウンド16に突入。いつもよりトーナメントの試合数が多いので、決勝トーナメント1回戦を終えた時点でベスト16が出そろうことになる。開催国が3つとも残っているのは立派。ラウンド16の対戦カードは、カナダvsモロッコ、パラグアイvsフランス、ブラジルvsノルウェー、メキシコvsイングランド、ポルトガルvsスペイン、アメリカvsベルギー、アルゼンチンvsエジプト、スイスvsコロンビア。アジア勢は消えた。ドイツやオランダといった強豪国もすでに敗退している。山によってだいぶ大変さは違うのは確か。
●で、少し早起きしてパラグアイvsフランスを追っかけ再生で観戦。眠かったけど、試合を見たら目が覚めるかと思えば、さらに眠くなってしまうひどいゲームで、人によっては今大会最低のク○試合と呼ぶかもしれない。パラグアイは抜け目ない詐欺師のような戦い方を徹底した。5バックでベタ引きするのは問題ない。これも戦術のひとつ。ただ、ラフプレイを連発するのと、相手を挑発してレッドカードを誘発させようとしたり、審判との無用な駆け引きがあったりして、とてもVAR時代とは思えないクラシックな戦い方。最大の疑問はウズベキスタン人の主審で、パラグアイのラフプレイ連発に対して一枚のカードも出さなかった。
●ただ、ラフプレイや挑発を除けば、パラグアイの戦い方は一本筋が通っていた。5バックといっても両サイドバックによる攻撃参加を前提としておらず、本当にゴール前に密集地帯を作って、ひたすら体を張って守り続ける。でも、これじゃあボールを奪ってもカウンターも出せないじゃないの。と、思いきや、たまに前線の選手の驚異的なキープ力でチャンスの片鱗くらいは作り出す。もしかするとフランス相手に一泡吹かせるんじゃないか……と期待させる凄味があった。後半25分にエムバペのPKでフランスが先制した後も、かすかに期待感を抱かせたが、そのままタイムアップ。パラグアイ 0-1 フランス。試合が終わると両チームの選手たちは険悪な雰囲気に。パラグアイのキーパーがエムバペに握手を求めたが、エムバペは完全無視。試合中、エムバペはどんなに挑発されても、笑みを浮かべて相手にしなかった。
●フランスのPKの場面、キッカーはエムバペなのだが、デンベレがボールを持ってペナルティスポットに立った。パラグアイの選手たちはわらわらとスポットの周囲に集まり、スパイクで土を荒そうとする(やれやれ)。デンベレはパラグアイの選手がなにをするかわかっていて、土を守っていたのだった。
●前評判通り、フランスはおそらく最強のチームだと思う。こんなおかしな試合で負けなくてよかったと思うけど、心のどこかでパラグアイを応援する気持ちがなかったとは言えない。
樫本大進×小菅優×クラウディオ・ボルケス トリオ 2026
●2日は東京オペラシティで樫本大進(ヴァイオリン)、小菅優(ピアノ)、クラウディオ・ボルケス(チェロ)によるトリオ。改修工事があったのでオペラシティのコンサートホールは久々。ボルケスはドイツ出身で、ペルーとウルグアイ出身の両親を持つ。旧知の間柄の3人による親密なトリオ。曲は前半がモーツァルトのピアノ三重奏曲第7番ト長調K564、武満徹「ビトゥイーン・タイズ」、シューベルトの三重奏曲変ホ長調「ノットゥルノ」、後半がメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番ニ短調。
●名手ぞろいで一見、華やかな印象だが、とくに前半は寂しさや孤独といった要素を強く感じさせる。3曲とも作曲者の晩年の作品ということもあるのかもしれない。モーツァルトのピアノ三重奏曲第7番は、たとえばピアノ・ソナタ第16番変ロ長調K570などと同じで、長調なんだけど内省的な性格が強い曲。武満の「ビトゥイーン・タイズ」は偶然にも先月に葵トリオで聴いたばかり。ゆっくりと流れる時間のなかで時々刻々と変化する潮の満ち引きのイメージだが、波の連想も働く。つづくシューベルト「ノットゥルノ」にも寄せては返す波ような表現があって、つながっている。この曲も寂しげな音楽。後半のメンデルスゾーンはぐっと開放感が増して、情熱的でスリリング。3人のビジョンがぴたりと重なって、ひとつの音楽に結実したという印象。アンコールにベートーヴェンのピアノ三重奏曲第1番作品1-1より第2楽章。
----------
●ワールドカップはベスト16が出そろった。いよいよ、ここから。
●宣伝を。ぶらあぼに取材記事「INTERVIEW 平野一郎(作曲)× 成田達輝(ヴァイオリン) 禅の思想が息づくヴァイオリン協奏曲、世界初演へ」を寄稿。今、インタビュー取材の仕事は受けていないのだが、これは例外。楽しく、やりがいのある仕事だった。
ワールドカップ2026北中米大会 決勝トーナメント1回戦 イングランドvsコンゴ
●この試合はしっかり見た! ワールドカップの決勝トーナメント1回戦の好カード、イングランドvsコンゴ。試合はお互いに主導権を握ろうとするチーム同士がぶつかり合うナイスゲームとして始まった。コンゴはグループリーグ第3戦のウズベキスタン戦で先制されながらも終盤に大爆発して逆転勝利を収めたチーム。当初は5バックを採用していたらしいが、ウズベキスタン戦の4バックの成功を受けて、イングランド相手にも4-3-3の攻撃的な布陣で立ち向かった。コンゴ代表といっても、プレミアリーグなどでプレイする選手たちから構成され、メンバーの大半はヨーロッパ生まれ。コンゴにルーツがあるが、ヨーロッパで生まれ、ヨーロッパでプレイする選手たちなのだ。当然、プレイは洗練されている。キーパーからボールをつなぐ際は、両サイドバックが高いポジションを取り、配給力のあるボランチが一枚、センターバックの間に下りてきて3バック調になる。序盤からすっ飛ばしてきて、なんと、前半7分にチペンガが左の浅い角度からキーパーのニアを豪快にぶち抜いて先制ゴール。
●この後もお互いに攻め合って、あわやコンゴの2点目もありえた。イングランドは個の突破力による仕掛けは有効なのだが、チーム全体としてのダイナミズムや連動性がもうひとつ。一部の選手は体が重そうに見える。後半の後半になると、イングランドが攻めて、コンゴが守る展開に。ここで決定的な役割を果たしたのが、イングランドのエース、ハリー・ケイン。後半30分、ふわりとした、なんでもないクロスに対して、するするとフリーになったケインがゴールから遠ざかりながらのテクニカルなヘディングで同点ゴール。さらに後半41分、ペナルティエリア手前からケインがぬるっと持ち込んで豪快な右足弾をゴール右上に突き刺して逆転。ほとんどチャンスとも言えない状態から、ケインが個人の能力で問題を解決してしまった。イングランドが逆転勝利。コンゴ側から見ると、ニッポンvsブラジル戦を思い出すような展開。
●後半だったかな、イングランドのトゥヘル監督が選手に対して激高している場面があった。どうやらスローインを後ろにした場面らしい。
●ハイドレーション・ブレークのブーイングはすっかり定着している。
●大半の選手が外国生まれなのはコンゴだけではない。強豪モロッコも同様。アルジェリアやカーボベルデ、チュニジア、セネガルなど、アフリカ勢の多くのチームでは外国生まれの選手が大勢選ばれている(例外はエジプト、南アフリカ)。かつてサッカー界にアフリカ脅威論が囁かれた時代があったが、実際にはアフリカ系の才能はどんどんヨーロッパに取り込まれ、ヨーロッパの代表チームのアフリカ化が勢いよく進んだ。すると、その次はヨーロッパで生まれヨーロッパで育成されたアフリカ系の選手たちが、ルーツのある国の代表選手に選出されるようになった。アフリカからヨーロッパへ、そしてヨーロッパからアフリカへ。だが、この後はどうなるのだろう。今、コンゴにルーツのある欧州の選手たちがコンゴ代表になれても、次の世代はもう親も欧州生まれになってしまい、コンゴ代表の資格を喪失するのではないか。そう考えると、コンゴの今後は難しい(←それ言いたかったの!?)
新国立劇場 リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」新制作

●29日は新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの「エレクトラ」新制作。演出はヨハネス・エラート。平日夜の公演。この日は深夜にワールドカップのニッポンvsブラジル戦もあったので高密度。大野和士指揮東京フィル。エレクトラにアイレ・アッソーニ、クリソテミスにヘドヴィグ・ハウゲルド、クリテムネストラに藤村実穂子、オレストにエギルス・シリンス、エギストに工藤和真。音楽面は充実。この作品にはオーケストラの切り裂くような鋭利さと潤いのある豊麗さの両面が必須だと思うが、東フィルが好演。アッソーニの題名役は、超越的というよりは人間的な苦悩や葛藤を感じさせるエレクトラ。むしろハウゲルドの妹クリソテミスのほうが超然としてパワフル。
●「エレクトラ」は父アガメムノンを殺した母クリテムネストラに対する娘エレクトラの復讐譚だが、この物語には本来前史があって、アガメムノンはトロイア戦争のために娘イフィゲニアを生贄に捧げている。クリテムネストラは娘の復讐としてアガメムノンを殺した。この前史を考えると、クリテムネストラにも正義があるわけで、エレクトラの母殺しに共感できなくなるわけだが、シュトラウスのオペラはそこを描いてはいない。むしろ閉じた物語で、毒親と子の閉じた密室の家庭劇といった感がある。ヨハネス・エラートの演出は舞台上を狭く使って閉塞感のある家庭の情景を切り取るもので、トーンとしてはダーク&ポップ。室内の左右に設置されたブランコ、クマちゃんのぬいぐるみたち、ピンクの公衆電話、白塗りのピエロたちなど、思わせぶり。開幕前から「ドクン、ドクン……」と心臓の鼓動音らしき重低音が流されていた。これらにどんな狙いがあるのか、知ったところで「なるほど」と思えるかどうかはわからない。賛否両論あるはず。ただ、情報量の多さという点では歓迎。隙間が埋まらない伝統演出よりは、饒舌な現代演出のほうが楽しめる。みんな、ブランコを漕ぐ。大人がブランコを漕ぐ場面って、それだけで心がざわざわするのはなぜなのか。
●監視の女に森谷真理、下女に清水華澄、田崎尚美といった実力者たちの名前が並んでいたが、それぞれクリソテミス、クリテムネストラ、エレクトラ役のカバーを兼ねていた。
--------
●ワールドカップは決勝トーナメント1回戦が猛スピードで消化されている。ドイツがPK戦の末にパラグアイに敗れたのは番狂わせ。
ワールドカップ2026北中米大会 決勝トーナメント1回戦 ブラジルvsニッポン
●ニッポンがこれまでに一度も勝っていないワールドカップの決勝トーナメント1回戦。よりによって相手がブラジル、しかも午前2時キックオフ。しょうがないのでライブで中継を見たが、なんとも言えない気分だ。ニッポンが前半にカウンターから佐野海舟の見事なゴールで先制し、そのままリードして前半を終えたところまでは森保監督の狙い通りだったと思う。しかし、後半11分にカゼミーロの頭で同点ゴールを決められ、以降は防戦一方になったところで、アディショナルタイムの後半51分にゴール前でボールを奪われて細かいつなぎからガブリエウ・マルティネッリが逆転ゴール。そのままブラジル 2-1 ニッポンの結果に。
●2006年ドイツ大会でも決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦し、玉田が先制ゴールを奪ったが、その後、大崩れして1-4で敗れた。同じ逆転負けでも、その頃とは違って、今回は現実的な勝利のチャンスがあったとは思う。とくに前半はニッポンのペースで、前田大然らの前線からのプレスも効いていたし、ブラジルがボールを回していても、連動性の高い守備で落ち着いて対応できていた。危険な縦パスへの対処もほぼできていた。なんなら2点目を獲る可能性もあったのでは。ただ、ブラジルの監督はアンチェロッティ。わざわざイタリア人の名将を呼んだだけあって、後半の修正はリアリズムに徹したもの。中盤を制圧して相手を崩そうとはせずに、左右両サイドからのクロスをどんどんと入れる形に。これが効果的で、ニッポンは跳ね返すのに精いっぱい。奪ったボールをカウンターにつなげない。同点ゴールを奪われた後、森保監督はコンディション面でも厳しそうな両サイドを交代したのだが、左は中村敬斗から鈴木淳之介へ、右は堂安から菅原へと代わり、かなり守備的な布陣になってしまった。これではふつうの5バックではないの。が、しかたがないのだ。選手がいない。久保は初戦でけがをしたまま。もともと三笘と南野が不在の中、攻撃の中心選手をさらに欠いているという選手層の薄さがここで出てしまった。その後、田中碧、町野、小川を投入したが、攻撃のスイッチは入らず。アンチェロッティが打った妙手に対して、こちらは手駒が足りずに対応できなかったという印象。
●先発はGK:鈴木彩艶-DF:冨安健洋、谷口彰悟、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、鎌田大地-堂安律、中村敬斗-伊東純也、前田大然-FW:上田綺世。彩艶はずっと大活躍。今大会、ラウンド32でいきなりブラジルと当たったのは正直不運ではある。大会前からのけが人の多さが悔やまれるのはザッケローニのときと似ていて、もやもやとした終わり方になる。やはりこのレベルの相手と互角に戦うには、選手層の厚みがまだまだ足りないのか。
調布国際音楽祭 バッハ・コレギウム・ジャパン「狩のカンタータ」
●28日は調布国際音楽祭へ。調布市グリーンホールでバッハ・コレギウム・ジャパン「狩のカンタータ」。指揮は鈴木優人。バロック音楽の名曲を集めたプログラムで、こういった公演を聴くチャンスは意外とない。しかも豪華出演者陣がそろい、かなりぜいたく。前半はバッハの管弦楽組曲第1番、ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲「海の嵐」と「ごしきひわ」(アンドレアス・ベーレン)、ブランデンブルク協奏曲第5番(チェンバロに鈴木雅明)、後半はヘンデルの二重協奏曲第3番の第1~第3曲から、バッハの狩のカンタータ「楽しき狩こそわが悦び!」、ヘンデルの二重協奏曲第3番の第6曲。声楽陣はディアナに森麻季、パラスに松井亜希、エンデュミオンに櫻田亮、パンに大西宇宙。
●前半は、まろやかな音色によるバッハで始まる愉悦のひととき。ヴィヴァルディの「海の嵐」と「ごしきひわ」は2種類のリコーダーを用いて。軽やかで爽快。後半の趣向がおもしろくて、ヘンデルの二重協奏曲第3番の第1~第3曲からそのままつなげて「狩のカンタータ」に入った。ヘンデルの第3曲を演奏中にソプラノの森麻季が入場してきたので「あ、これってつながるんだ」と気づく。両曲とも左右に配置された狩のホルンが大活躍(福川伸陽、信末碩才、根本めぐみ、伴野涼介)。オペラ的な「狩のカンタータ」に対して、ヘンデルの二重協奏曲が序曲のような役割を果たした形。さらに「狩のカンタータ」のおしまいから、ヘンデルの二重協奏曲の第6曲へとつながって、華やかなフィナーレに。音楽祭のしめくくりの公演にふさわしい祝祭感。優人さんからの挨拶があって、アンコールとしてヘンデルの二重協奏曲の第6曲をもう一度。左右の狩のホルン合戦が一段とはじけた調子で、大いに盛り上がった。
●調布国際音楽祭、2013年にスタートしてから、しっかりと続いて地元に定着しているのは立派。手作り感とクオリティの高さを両立しているのがすごい。
----------
●別の話題をひとつ。Nintendo Switch用のソフト「オペラキング」なるものを発見。動画を見て笑った。秀逸、なのか。
ワールドカップ2026北中米大会 グループリーグを終えて
●参加48チームから決勝トーナメントに進む32チームを選ぶのが今大会のグループリーグ。つまり16チームを落とすために、ここまで72試合もやってきたわけだ。各組1位と2位に加えて、3位の成績上位8チームが上に進めるということで、勝点3の韓国とイランがボーダーライン上にいた。当初、韓国はほぼセーフ、イランもなんとかなるか……と思っていたのだが、ほかのグループの結果が裏目に出て、両者とも敗退に。最初の数日間、アジア勢は無敗だったので新しい風が吹くかと思いきや、結局、9チーム参加したアジア勢で決勝トーナメントに進めたのは日本とオーストラリアのみ。しかし、アメリカ入国や滞在を巡る逆風のなかでイランの3引分けは大健闘とも言える。
●サウジアラビアにもチャンスはあった。初戦でウルグアイに引分け、第2戦のスペインには大敗したが、3戦目のカーボベルデ戦で勝てば先に進めた。この試合、サウジにも惜しいチャンスがいくつかあったのだが、終盤でだいぶ押し込まれて0対0のドロー。カーボベルデは3引分けなのだが、同組2位になって決勝トーナメント進出。そういうルールだから仕方がないが、同じ勝点の韓国やイランとは明暗が分かれた。
●コンゴvsウズベキスタンにも注目していた。この試合、ウズベキスタンは大量得点で勝たないかぎり、先に進めない状況だったが、すごいテンションでコンゴに立ち向かって前半に先制。後半30分くらいまでは勝ちゲームの流れだったと思うが、終盤、コンゴに同点ゴールを決められると、一気に崩れて逆転ゴールまで決められてしまった。ウズベキスタンが勝つか引き分ければ、ボーダーライン上にいる韓国とイランへのアシストになったのだが。
●アジアのなかで戦っていると韓国やイランはもちろんのこと、サウジアラビアやウズベキスタン、さらにはカタールやヨルダンも手ごわい相手だと感じるのだが、ワールドカップになると見え方がずいぶん違ってくる。敵地で戦ったときにはしばしば不条理なほどに強いのだが……。
