October 19, 2018

「戦時の音楽」(レベッカ・マカーイ著/新潮社)

●レベッカ・マカーイの短篇集「戦時の音楽」(新潮社)を読む。ぜんぶで17篇が収められており、基本的にそれぞれ独立した内容ながら、戦争によって翻弄される人々と音楽家たちが共通するテーマになっている。一篇ずつ時間をかけて読んだが、どれもすごく巧緻で、味わい深い。特に印象に残ったのは、冒頭の「これ以上ひどい思い」。ルーマニア出身で戦禍を逃れて生き延びた9本指の老ヴァイオリニストを、その弟子の息子でアメリカに生まれた少年の視点で描く。少年の自意識と、周囲の大人が見る少年像の微妙な行き違いがとてもいい。やるせないユーモアも特徴で、特に「ブリーフケース」は秀逸。理不尽に政治犯として捕らえられたシェフが、行進する囚人の列から逃げおおせる。すると、囚人の数がひとり減っていることに気づいた兵士たちは、通りかかりの大学教授を捕まえて、問答無用でコートやシャツをはぎ取って囚人の列に加えて去ってしまう。残されたシェフは、教授のコートやブリーフケースを手にして、その日から教授になりすまして偽りの人生を生きる。奇想天外なんだけど、ある種の真実味が含まれている。
●著者は1978年、アメリカ生まれ。父がハンガリー動乱でアメリカに亡命したハンガリー人言語学者、祖母はハンガリーで著名な女優、小説家だったそう。この短篇集を読むと、まるで著者本人が父母や祖父母の代の東欧を生き抜いてきたかのような印象を受ける。

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●ONTOMOの10月特集「ハロウィン」に、「ハロウィンに聴く! オペラに登場する怖い魔女トップ3」を寄稿。よろしければ、どぞ。

October 18, 2018

ニッポンvsウルグアイ代表@親善試合

ウルグアイ●さて、森保ジャパンは先日のパナマ戦に続いてウルグアイ代表と埼玉スタジアムで対戦。今度は世界5位の強豪。スアレスはいないものの、カバーニをはじめそうそうたるメンバーがそろっている。ニッポンがそうであるように、ウルグアイにしてもUEFAネーションズリーグの発足に伴いヨーロッパの代表との対戦が困難になっており、韓国とニッポンと戦う「アジア・ツアー」に出向いた。そして韓国に敗れてしまった後、このニッポン戦を迎えた。
●で、ニッポンのメンバーだが、予想通り、パナマ戦と大きく変わり、Aチームと思われるチームが組まれた。ほぼこれが現時点の森保ジャパンの基本メンバーか。布陣は4-2-3-1。GK:東口-DF:酒井宏樹、吉田、三浦弦太、長友-MF:遠藤航、柴崎(→青山)-堂安、南野、中島(→原口)-FW:大迫。攻撃陣の堂安、南野、中島が小柄な選手ばかりなのが気になっていたが、こうして酒井と吉田のような屈強な選手が入ると、チーム全体の骨格がぐっとたくましくなる。結局、ディフェンスラインは三浦以外はワールドカップ・メンバーが戻って来た。一方、攻撃陣は大迫以外は一気にモデルチェンジ。アジアカップは来年1月に開催されるということで、欧州リーグのシーズン中に選手が所属チームを離脱しなければいけないという問題があり、それを考えても、よりメジャーなリーグへと移籍を望む選手たち、つまりオランダ、オーストリア、ポルトガルという「育成感」のあるリーグでプレイする選手がアジアカップに挑むのは納得のゆく話。
●で、試合は大味な展開になって、なんと、ニッポンが4対3で勝利することに。ニッポンの攻撃はスペクタクルそのもの。そうそう見ることのできないクォリティの高い攻撃で、いくらホームとはいえウルグアイ相手にこんなことができてしまうということに驚くほかない。1点目、中島からの高速パスを受けた南野がすばやいターンからシュート。なんという精密さ。大迫はますますポストプレイに磨きがかかっている。でも前を向いたときの迫力が足りないのだな……と思っていたら、中島のシュートをキーパーが弾いたところに大迫がつめてゴール。後半、堂安の代表初ゴールは完璧。堂安自身のパスカットから酒井とのコンビネーションで相手を交わして落ち着いてゴールに流し込む。4点目は相手のミスからだが、堂安のシュートをキーパーが弾いたところに南野が叩きつけてゴール。
●とまあ、華麗な攻撃を堪能したのだが、一方で3失点する脆さも既視感たっぷり。特に2失点目、三浦がカバーニに気づかずバックパスをする大チョンボには頭を抱えるしか。これもニッポン代表らしいというか。監督も攻撃陣もがらっと変わったけど、試合そのものはワールドカップのベルギー戦のコピーみたいにも見える。オープンな戦いで目を見張るようなゴールを決めるけど、あっさりと失点して、2点くらいのリードはいつひっくり返されてもおかしくないイメージ。結果的に勝てたのは幸い。ウルグアイも公式戦なら武闘派ぶりを発揮しただろうけど、アウェイの親善試合ならベルギーみたいに戦ってくれるということか。でも、韓国とニッポン相手に連敗して、しかも大量失点したというのは不本意だろう。
●打ち上げ花火のような試合の陰で、柴崎が本調子に遠そうなのは気になるところ。

October 17, 2018

ジョヴァンニ・アントニーニ&読響、ムローヴァのベートーヴェン

●16日はサントリーホールでジョヴァンニ・アントニーニ指揮読響。イル・ジャルディーノ・アルモニコ、バーゼル室内管弦楽団との録音で鮮烈な演奏を聴かせ、ベルリン・フィルにも客演したアントニーニを、日本のオーケストラで聴けるという僥倖。しかもヴィクトリア・ムローヴァが共演。特別客演コンサートマスターにベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の第一コンサートマスターで、アントニーニとも共演している日下紗矢子を配して万全の構え。
●プログラムはハイドンのオペラ「無人島」序曲、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(ムローヴァ)と交響曲第2番。期待通り、突風が吹き荒れるようなヴァイタリティあふれる快演。オーケストラはとてもコンパクトで10型(コントラバス3)、ヴィブラートを抑え、金管やティンパニに鋭いアクセントを付け、通常のモダン・オーケストラでできる範囲でのヒップな演奏だったが、まったく奇抜ではなく、どんな意匠を施すかというアイディアの一段先にあるベートーヴェンの音楽そのものに触れたという実感。ありていに言えば、パッションということなんだけど。ヴァイオリン協奏曲、ソロが登場するまでの長いトゥッティの間に、途中からムローヴァも加わって弾き出すと、そこで空気がハッと変わるのを感じずにはいられない。アントニーニの指揮ぶりはかなり独特で、膝を折ってしゃがんだり、両腕を左右対称に開いて肘から先ですくい上げるかのような、一見戯画的な姿なんだけど、出てくる音楽とスムーズに連動している。
●ヴァイオリン協奏曲、聴いている間はこの曲がベートーヴェン中期の最高傑作なんじゃないか、と信じることができる。初耳のカデンツァは、第1楽章、第3楽章ともにオッターヴィオ・ダントーネの作なんだとか。新鮮。ソリストのアンコールにバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番のサラバンド。21時前に終演したが、すさまじい密度の濃さで充足。
●なぜかニッポン代表の試合は行きたいコンサートと重なる率がすごく高い。なんとか結果バレせずに帰宅して、これから録画観戦。

October 16, 2018

CDプレーヤーvsレンズクリーナー

CDプレーヤー
●つい先日のことだ。CDプレーヤーにディスクを挿入すると、「キュキュ、キュルルルルルル……」と戸惑っているような回転音が発せられて、数秒後にディスクが吐き出された。まるで、どうしようもなく不味い食い物を口に入れてしまい「オエッ!」と吐き出すかのような挙動である。CDが古くて腐っているのかというと、そんなことはない。リリースされたばかりの新譜だ。ためしに別のディスクを入れると、あるものは飲み込んでくれたり、あるものは吐き出したりする。が、件の新譜はどうしても飲み込んでくれない。今後は「趣味に合わない音楽は再生しません」というCDプレーヤーなりの宣言なのか。
●さて、どうするか。いくらデジタルオーディオに移行しているとはいえ、まだまだディスクでしか聴けない音源は山のようにある。プレーヤーを買い替える? まだCDプレーヤーは販売されているのだろうか。というか、これ、昔ながらの単品コンポ用の巨大弁当箱形のプレーヤーなんだけど、今にして思うと単にCDからデジタル信号を読み出してアナログ変換して出力するだけの専用機器がどうしてこんなに大きくて重いのか不思議。手のひらサイズのPCでWindows 10が動くこの世の中で。ぶつぶつ……。
●しかしこういう事態はよくある。今までにもミニコンポとかゲーム機で、ディスクを読み込まなくなる現象になんども対処してきた。ずっと前に購入したCD型のレンズクリーナーがあったはずだと思って探すと、「湿式マルチレンズクリーナー」なるものが見つかったので、これを入れてみることに。最初はやっぱり「キュキュ、キュルルルル」と音を発して「オエッ!」と吐き出したが、なんどもなんども押し込むと、やがておとなしくディスクを飲み込んだ。ここで再生ボタンを押すと、ディスクが回転してレンズをクリーニングしてくれるという仕組み。しっかりと念を押して2回クリーニングする。どうしても飲みたくないといっている苦い薬を無理やり飲ませたような気分。で、件のディスクを入れてみると、ちゃんと読み込んだ。どのCDを入れてもきちんと再生する。すごいじゃないか。レンズクリーナーがCDプレーヤーに打ち勝った、今日のところは。

October 15, 2018

ニッポンvsパナマ代表@親善試合

ニッポン!●12日、新潟のビッグスワンで開催されたニッポンvsパナマ代表を録画観戦。今回のインターナショナル・マッチ・ウィークは、パナマとウルグアイと対戦。実はこの間、ヨーロッパではUEFAネーションズリーグという新たな大会が開かれている。欧州の各国代表チームは従来のような単なる親善試合ではなく、公式戦として欧州代表チーム同士のリーグ戦を戦うことになったんである。これがいろいろと物議を呼んでいるのだが、それはまた別の話として、おかげでニッポン代表としては欧州のチームと親善試合を組むのが難しくなってしまった。今後、親善試合には北中南米との対戦が増えざるをえないわけで、森保ジャパンは前回のコスタリカ戦、中止になったチリ戦に続いて、パナマとウルグアイと試合をする。うーん、これって、どうなんでしょうね。
●で、注目の先発メンバー。前回に続いてはっきりと世代交代を進め、森保色を打ち出しているが、一部ロシアW杯メンバーも戻ってきた。世代間の融合が目的なのは明確。フォーメーションは4-2-3-1。GK:権田-DF:室屋成、冨安健洋、槙野、佐々木翔-MF:三竿、青山(→柴崎)-伊東純也(→堂安)、南野(→北川航也)、原口-FW:大迫(→川又)。全体に巧い選手、速い選手が多く、一方でフィジカルの強さではかなり物足りない。酒井宏樹や吉田麻也といったロシア組のファイターはベンチ。おそらく森保監督はウルグアイ戦にAチーム、パナマ戦にBチームのような感じで、なるべく多くの選手に出場機会を与えるつもりなのだろう。なにしろ不可抗力でチリ戦が中止になってしまったので、監督のプランは一手分、遅れている。若い選手+若くないけどまだW杯で十分に成し遂げていない野心の残っている選手たちでチームの骨格を作り、そこに実績のあるロシア組をチャレンジャーとして呼んで、少しずつチームに融合させていくというプランは理にかなっている。
●パナマは個のフィジカルやスピード、技術は本来十分にあるチームのようだが、コンディションは100%には遠そう。ニッポンがパスをつないで中盤を支配する展開が続く。パス回しはスムーズ。持ち味を発揮していたのはベテランの青山で、中距離パスの精度の高さを生かして、一本のパスでビッグチャンスを生み出せるのが魅力。前半42分の先制点はまさにその形で、青山から南野への縦パスから、南野がすばやいターンで相手を交わして、冷静にゴールに流し込んでゴール。後半20分、南野のシュートのこぼれ球を伊東が決めて2点目。後半40分は原口のドリブルから中央でフリーの川又にボールが渡り、タックルを受けながらも川又の放ったシュートは相手に当たりコロコロとゴールへ。オウンゴールで3対0。攻撃も機能し、守備も無失点で終えて完勝した。追加招集で呼ばれた川又は、かつてのホームスタジアムで活躍を見せた。
●大きな収穫は19歳、冨安健洋の代表デビュー。ベルギーのシント=トロイデン所属の188cm。現時点でこのポジションは吉田麻也の実績がずば抜けているが、可能性を感じる。直近の代表の大きな目標は来年1月のアジア・カップ。ここが森保ジャパンの新しい選手たちにとっての試金石となる。

October 12, 2018

ベートーヴェンの「第十」

●リチャード・クルーガーという人が書いた小説 Beethoven's Tenth (ベートーヴェンの「第十」)が話題を呼んでいるようだ。著者はピューリツァー賞も取っているノン・フィクションで知られる人だが、これは純然たるフィクション。ベートーヴェンの交響曲第10番が発見されるという設定で、曲のタイトルは劇的交響曲「ウィリアム・テル」。作曲は1814年。ウィリアム・テルというとロッシーニを連想してしまうが、設定上これはそれより前の話で、「第九」の「歓喜の歌」とのシラーつながりという着想のよう。レナード・スラットキンらが推薦文を寄せている。ぜひ読んでみたいので、どこかの出版社で邦訳を刊行してほしい!
●ちなみに「もしもベートーヴェンが交響曲第10番を書いていたら……」という小説は、これまでにもある。当欄ではずいぶん前にトマス・ハウザー著の「死のシンフォニー」というミステリーを紹介している。これも幻の「第十」を巡る話だったと思うのだが……どんなオチだったっけ?(すっかり忘れてる)

October 11, 2018

新国立劇場 モーツァルト「魔笛」(ウィリアム・ケントリッジ演出)

zauberflote.jpg●10日は新国立劇場でモーツァルトの「魔笛」。大野和士芸術監督就任第一作となる2018/19シーズン開幕公演。2005年にブリュッセルのモネ劇場でウィリアム・ケントリッジが初めて本格的なオペラ演出に取り組んだ定評あるプロダクションが東京にやってきた。今回は一回限りのレンタルではなく、新国立劇場が上演権を購入するという形なんだとか。そしてケントリッジによれば、現在は2005年当時よりも映像技術が格段に進化しているので、大々的に映像に手を入れて、最先端の技術にふさわしいように組み立て直されたという。ちなみに、その後、ケントリッジはショスタコーヴィチ「鼻」とベルクの「ルル」を演出しているのだが、両者ともMETライブビューイングで上映されている(当ブログでも紹介した)。
●というわけで、最大の見物はドローイング、アニメーションを巧みに用いた舞台。「魔笛」の光と闇の二元論的な世界観にふさわしい黒と白の対比、歌手の動きと連動して描かれる光の線、鳥や望遠鏡、天体、プロビデンスの目など映写されるさまざまなモチーフなど、とても洗練されていてクール。ここからシンボリックな意味合いを読み解くこともできるのだろうが、純粋に舞台として変化に富み、視覚的に飽きさせないというだけでも感嘆。くりかえし観ることができる舞台。というか、洗練されているがゆえに、「魔笛」という物語の奇天烈さが際立つ。指揮はローラント・ベーアで、ピットには東フィル。キレのあるシャープなモーツァルト。もうひとつ躍動感が欲しかった感も。ときどきピアノの即興がさしはさまれるのがおもしろい。最初、モーツァルトのソナタ第4番K.282のアダージョ(だったかな)がピットから聞こえてきてびっくり。歌手陣ではサヴァ・ヴェミッチのザラストロが立派。豊かな声量と威厳があって役柄的にも納得。タミーノにスティーヴ・ダヴィスリム、パパゲーノにアンドレ・シュエン。ルックス的にはこのふたりはむしろ逆なんだけど、イケメンなパパゲーノがいてもいい。鳥の扮装じゃなくてよかったー。夜の女王に安井陽子、パミーナに林正子、パパゲーナに九嶋香奈枝、モノスタトスに升島唯博。
●それにしても、シカネーダーの台本はぶっ飛んでいる。日頃、モーツァルトのオペラについてダ・ポンテ台本にも文句を言ってるが、シカネーダーはそんなレベルじゃない。いま舞台でだれがなにをやろうとして、どこに行こうとしていて、そこにどうしてその人が登場するのか、といった舞台の「てにをは」レベルの事柄がわかりづらくて、何回観てもさっぱり腑に落ちない。いや、わかるんすよ、通り一遍の事柄は。でもこれって、やっぱりフリーメーソンの内輪受けみたいなところがあったんじゃないかなー。で、わからない大きな要因としては、当時の人々のザラストロ観と、現代人であるワタシたちが見たザラストロ観に相当な乖離があるということなんだろう。このオペラへの入門書向けの説明として「前半と後半で善玉と悪玉が入れ替わってしまっている」みたいな記述がよくあるわけなんだけど、たぶん、本当はそんなアクロバティックな見方を必要としていない。現代の視点としては、ザラストロの光の教団はカルトそのもの。いかがわしいから「光」とか「善」を連呼する。この人たちの集団ではミソジニーが浸透していて、女はダメだから男が指導してやらなきゃいけないとか平気で言うし、タミーノとパパゲーノに無意味な試練を与えて、その報酬として両者に女を与えている。ストーリー上、自分で考えて行動することを放棄したダメ男たちが「なんでもお見通しの指導者」に洗脳されて教団に取り込まれるという敗北が描かれている。そうとしか読めない話なんだけど、大問題としてモーツァルトの音楽はまったくそう言っていないという齟齬がある。音楽だけは神の領域。
●闇に対抗する光って、おおむね不信感を伴うもの。「スター・ウォーズ」だってそう。最初はジェダイ=光=正義で問題なかったけど、どっかでジェダイの連中って胡散臭いな、カルトだなって、みんな思うわけじゃないすか。フォースの修行するぞ、修行するぞ、修行するぞって言ってるし(言ってない)、やたら自己犠牲を求めるし。闇も怖いけど、実は光も怖い。つまり「魔笛」はおおむね「スター・ウォーズ」と同じことを教えてくれる(←どんな結論だそれ)。

October 10, 2018

「アフリカのことわざ」(東邦出版)

●これは好企画。「アフリカのことわざ」(東邦出版)。書名の通り、アフリカのことわざをイラストを添えて紹介するという一冊で、含蓄のある一言から今ひとつピンとこないけどアフリカ感だけは満載の一言まで、実に味わい深い。
●で、本書から「ザ・ベスト・オブ・アフリカのことわざ」を選ぶとするなら、ずばり、これ。首がもげそうなくらいにうんうんとうなずく人も多いのでは。

ラクダは重い荷物には耐えられるが、縛り方の悪いロープには耐えられない(ソマリア)

●働くことに関する真実すぎる真実。そうなんだよなー。たいていの人は仕事そのものの大変さというのは、そこそこは受け入れられるものなんだけど、本質業務から外れた部分の負荷、たとえば段取りがまちがってて余計な苦労を背負うことになったりとか、簡単にできるはずのことを不合理なやり方でするように求められたりとかすると、光の速さで音を上げる。ソマリアのラクダに言いたい。日本のニンゲンたちも同じ気持ちだと。同志よ!(ひしっ)
●ほかにも印象深いことわざがいくつもある。「あなたの怒りがどれほど熱くても、ヤムイモは調理できない」(ナイジェリア)。身につまされるタイプの教え。どんな味か知らないけど、ヤムイモって言葉の響きがいい。「シマウマを追っても必ず捕まえられるわけではないけれど、捕まえた者は追っていた者」(アフリカ南部)。当たり前だって? いやいや、実際のところ、わかっていてもみんな追えないわけじゃん、シマウマを。シマウマ、捕まってくれそうにないわけだし。でも捕まえる人をたまに見かける。
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●お知らせ。ONTOMO連載「耳たぶで冷やせ」Vol.7は、「オペラになったレムのSF小説『ソラリス』を、藤倉大×沼野充義の対談から読み解く」。先日、東京芸術劇場で行われたおふたりの対談レポート。

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飯尾洋一(Yoichi Iio)

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